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第15・16・17代川崎市長(2002~2014) 阿部孝夫氏とお茶しました R6.12.22

はじめに お茶会することになったのは

 今年は川崎市の市民団体が開催する地元中心の講座や集会に積極的に参加しました。その中で、阿部孝夫さんが講話する回がありました。阿部さんは、ご自分が講師をした回だけでなく、他の方の回にも聴講者として出席されました。お話が分かり易く、川崎市の歴史から現状のことも詳しく、立て板に水でお話されます。ワークショップでは一参加者としてきさくにお話されていました。
 来年は川崎市長選があります。現市長は選挙に強く、無風選挙なのですが、それでも市長のどの点をどのように評価したらよいか、市民として知ることは大事だと考えていました。どんな観点で現職の仕事を評価すればよいのか、何かヒントが見つかるかもしれない、という思いで、阿部さんにお茶しながらお話を伺いたい旨お伝えし、ご快諾いただきました。

ご著書を読んで予習

 ご著書『「灰色のまち」から「音楽のまち」へ』を読みました。ちょうど川崎市に引越しした1年後くらいに阿部市政だったのか。本当に、何も考えてなかったです。。。。
 行財政改革をされたくだりは、大変興味深く読みました。事業削減など、職員の抵抗も強かったそうです。
 首長は、1期目は前任者からの引継ぎ、2期目で計画、3期目に実行、という話を聞いたことがありました。阿部市政は、3期制限の時限条例を自ら制定しました。精神的・体力的にも3期やるのが精一杯だとおっしゃいます。(そういえば、維新の松井一郎さんもそんなことを仰ってたな)多選は腐敗するのでよくない、という誤認識もお持ちでした。

左は献本の学術書

お茶会でびっくりした阿部市政のこと

 阿部市政当時は子育て真っ最中でした。「音楽のまち」を推進していたことくらいは記憶にありますが、もちろん議会チェックなどするはずもありません。もし、当時今くらいの興味と知識があれば、阿部市政や福田市政を検証できたのに、とも思いました。そうはいっても、当時は携帯電話をやっと使うようになったくらいの段階で、YouTubeも観ていないし、今のようにXで発信するなど、考えもしない時代でした。テクノロジーの発達は、政治に変革をもたらしています!!

財政健全化とイメージアップ戦略

 前任者、高橋清市長が作った赤字を解消することが一つの大きな仕事でした。そのために、事業や人件費の削減、事業の効率化、合理化、民間企業への委託などを積極的に進めました。
 また、工業地帯を抱えていることから、公害のまち、のイメージがついているのを払しょくし、元から存在していた洗足音楽大学や、スポーツチームを盛り上げ、川崎市のブランド化に役立てる施策を次々と実行されました。今はそれがかなり定着していますが、現職福田市長の仕事の結果ではないのです!

市営地下鉄の断念と福田市政

 市営地下鉄を断念したのは、財源が理由とのこと。鉄道建設には国土交通省の許可を申請していましたが、新幹線計画の次の計画として位置づけでした。その後、市として断念したので、今後は不可能だろう、とのことでした。
 東西(南北?)に長い川崎を縦断するのはJR南武線ですが、様々な土地や線路の環境的制約からこれ以上輸送量を増やすことが難しい路線です。これからますます人が増えた場合を考えると、地下鉄は重要な施策だったかもしれません。
 福田市政が公約として中学校給食化を実行しましたが、阿部さんの試算では様々なコストを含めて一食3000円くらいになるはず、と聞いてビックリしました。セントラルキッチン(学校給食共同調理場)を採用したため、その整備などで税金を使ったようです。これはぜひ、数字的に検証したいです。
 他の施策にも税金がドンドン使われ、赤字が増えています。結局、地下鉄を作る財源に近い額が、福田市政に費やされているとのことでした。一点集中で、地下鉄を建設したほうが市の発展に貢献したのではないだろうか?と思いましたが、時すでに遅し。

人件費の削減

 人件費を削減した手腕についてお伺いしたところ、団塊の世代がちょうど退職するタイミングで、1500人ほどの退職者がいたため、次の採用予定人数を増やさないことで人件費を削減し、事業も減らしたそうです。素晴らしい!

市長の権限、意志は行政に色濃く影響する

 お話から、市長の考え方ひとつで市政は変わる、と思いました。議会が財政をチェックするはずですが、それができる議員はとても少ないと思います。阿部市長は幸い、行政改革の意志を持ち、政治家として実行する、という稀有な実力があったおかげで、財政を健全化しながらイメージアップも実現しました。市民としてご尽力に心から感謝します。
 現職の福田市長はとても選挙に強く、政策に反対するような質問はしずらい、というのが現状だと推察します。議員が家業になると、言いたいことが言えなくなる。そして、財政や行政を勉強しなくても、支持者のゴキゲンをとっていれば議席は安泰。これでは市長のやりたい放題になってしまいます。

おわりに 現職の評価は財政で

 5年前に減税活動を始めるまでは、市の財政や施策のことなど全く触れる機会がありませんでした。もし、今ほどそれを分かっていたら、当時、もっと応援できた政策もあったし、逆に福田市政に異議を唱える点もあったのだな、と思いました。
 来年、川崎市長選挙があります。福田市長は4期目を目指しそうです。対抗馬も常に泡沫候補で、選挙に強い市長に歯向かおうとは思いません。しかし、一市民として追認にしても、今期の仕事を評価して一票を投じたいと思います。現職は、その財政でまず評価する。事業が市と市民にもたらした影響は、その後10年ほど経過してみないと本当のところは分からない。これが公共事業なんですね。
 まずは財政状況を決算書をみて判断できるようになりたいと思い、そのあたりから勉強会ができたら、と考えています。

溝の口ノクティプラザのレストラン街にて
ノクティプラザのクリスマスツリー前にて川崎減税会のメンバーと

補 阿部孝夫著『実践的行政管理論』を献本いただいて

 学術書ではありますが、阿部さんの理路整然とした、分かり易い話し方と同じく、とても読み易い本です。今、読書中です。行政について共感できる部分も多いので、なぜ阿部さんは減税政策には否定的なのか、とても不思議なので、その点の謎も探りつつ読み進めています笑

減税あやさん  R6.12.24

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