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新米女性管理職 はじめましたvol.4 | プレイングマネージャーは業務過多に陥りやすい構造をしている





1.プレイングマネージャーのつらさはどこにある?


数年前、春。
大変めでたくなく管理職に昇進したわたしは、いわゆるプレイングマネージャーという位置付けにいた。

チームをマネジメントすべきマネージャー職にありながら、メインプレイヤーとしてバリバリプロジェクトをこなすことを求められる立場のことである。


なぜこんなことになっているのか。
人員不足をマンパワーで補い続けた結果だ。


所属しているチームの欠員は、ただでさえ少ない定員に対して、4名。
しかもメインプレイヤー級4名の欠員状態である。
わたしが抜ければ、下位者を指導できるレベルのプレイヤーはほぼいない。

欠員補充は急務だった。人が減ってもプロジェクトは減らない。
そのぶんの業務負担がかかるのは当然のことだったのだが、即戦力レベルの人員の補填は容易なことではない。

この欠員の補填のために、結局、メインプレイヤー時代と全く同量の業務をこなしつつ初めてのマネジメント業務を行うことになったのだが、これがとにかくつらい。

大概の場合、プレイングマネージャーの担当プロジェクト量は減らない。
なぜならどこの会社も、人員に余裕がないからだ。チームの運営をしてもらわないと困る。とはいっても、プロジェクトを回せる人間が減っては本末転倒……
プレイングマネージャーの一番のつらさはここに集約されている。


ーーつまり、プレイングマネージャーとは、大抵、今までこなしてきたプロジェクト量にプラスして、単純にマネジメント業務分が増になっているのだ。



わたしに欠員分の業務をこなさせるのであれば、最早プレイヤーで留めおいて欲しかったなと思う。
そうすればただプロジェクトだけに集中して、猛烈に成果を上げるだけでよかった。

チームメンバーの評価、面談、勤怠管理、交通費等精算管理、ムメンバーが担当しているプロジェクトの進捗管理、一人では業務をこなせない課員のフォロー、上位役職者と役員への報告、他部署との折衝調整………………
目眩がしてくる。担当プロジェクトをこなしながらやる量ではない。

結果、単純に業務量が倍増したわたしがどうなったかというと、これまた単純に残業時間が倍増した。

しかも、残業代は、出ない。(管理職だから)


下手なプレイヤーよりわたしの方が年収低いのである。
つまり、体よく、コスパよく、〈働かせ放題サブスク〉によって、管理業務と実務業務の物量を背負わされたのである。


資本主義社会のお偉方は残酷なことを考える。 

これが、わたしがプレイングマネージャーを〈奴隷労働〉と称する所以である。




しかしながら終わらないなら、終わるようにやるしかない。
だがどんなに効率化を目指したって、業務の絶対量は減らない。
部下指導をおざなりにはできない。
相談されたら対応せざるをえない。
わたしが管理職としての評価を得るには、きっちりマネージャー業務とプロジェクト業務をこなさなくてはならない。
キャパオーバー地獄だ。



2.マネージャー業務を優先した結果、成果が上げられなくなった


果たして、慣れないマネジメント業務をこなすことになったわたしは、経験の浅い部下指導の負担もあり、1日のほとんどをメンバーのフォローと折衝調整に費やすことになった。
担当業務に取りかかれる時間はほぼ定時後。
結果何が起きたかというと、担当業務の質が下がり、人事評価上の目標達成を大幅に下回った。

当然だ。
本来9:00-18:00で捌いていたプロジェクトを18:00-22:00でこなすのだから。
本来なら達成できたはずの成果が上げられない。プレイヤーとしてこんなに屈辱的なことがあるか?
悔しい気持ちに歯ぎしりしながらプロジェクトに取り組んでいる。ストレス以外のなにものでもない。

そういうわけで、プレイングマネージャーに上がったとたん、退勤が毎日22:00になった。
何度もいうが、4時間分の残業代はつかない。
こんなに残業が続いたのは入社3年目以来で、当時は若さと気合い(と憎しみ)で乗り越えていたものが、今となっては、体力ない、気力は限界(憎しみは募る一方)で、朝の出勤がつらくてしょうがない。
頭は回らないし家のことは何一つできていない。 家族とのコミュニケーションを放棄しすぎている。出張で月の半分近く家を開けたときは本当に申し訳ない気持ちだった。なんで家庭を犠牲にしてまで〈働かせ放題サブスク〉させられてるんだ……

悪循環だ。
マネージャーになってから、ホヤホヤ管理職ながらみ与えられた管理業務は一定ラインをこなしてきた。プロジェクトも、ギリギリ一定ラインの質を担保してきた。

それでも足りないと言われる。本来のわたしのパフォーマンス上、もっと発揮できると思われているからだ。素早くリカバリーに動けていないという。もっと細かく部下指導に徹しろという。


うるっっっせぇな!そんなのわたしが一番わかってる!!!!


パフォーマンスを発揮できないことがこんなにフラストレーションになるとは思わなかった。早くしろと言われても手一杯で動けない。これも屈辱的。物理的に身体が空かない。四六時中会議をしてる管理職と、プロジェクトで飛び回るプレイヤーの業務は、本来相反している。

マネージャー業務においても、パフォーマンスが発揮できていないのは同じだ。
本当ならもっと早くフォローしてあげたい。部下をリカバリーできたはず。もっと手前で折衝調整に入れていれば…………

身体が物理的に空かないのだ。
デッドラインを見極めて、ギリギリでねじ込む作業が増えた。
業務精度が落ちているのがわかる。
今までの成果があるぶん、わたしの精神は摩耗していく。


……それに加えてわたしの心を折るのは、他部署からの課員へのクレームと、何より、課員が理解を示してくれなかったときである。



中間管理職ってのは、つくづく報われないよね。







本noteは、戦い続ける〈働く女子〉〈女性管理職〉として、同じく〈戦う女子〉たちにお送りする、日々の奮闘エッセイです。



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