想い 黒淵
我を待て
あの若水の戦いで生贄となる寸前 私は司音にそう言って逝った
あれから7万年 飛び散った元神を再び固める為に費やした時
暗い狐狸洞で目覚めるとおなごの姿の司音がいた
男装のそなたが如何に姿を変えようと私にはすぐに司音だとわかった
だが 時の流れとは恐ろしいもの そなたには許嫁がいた
私の弟 夜華
私は黙ってそなたの話を聞くしかなかった
私の17番目の弟子 司音神君
他の弟子たちが知らない 我らの秘密
兄弟同様に育った折顔上神は何故そなたを私の弟子にしたのだろう
いつから私の想いを知っていたのだ
初めて私のもとに弟子志願で来た時 折顔の仙術ぐらい私が見抜けぬはずか
なかろうに
纏わりつく司音 明るく話す司音 問題ばかり起こしては庇ってしまう司音
おなごだからの気遣いがいつしか大事なおなごに変わっていった
だが 目覚めた私に楽しそうに夜華のことを話す司音
なにゆえ 7万年もかけてそなたのもとへ戻ったか私は思わず聞いた
そなたは微笑みながら黒淵師匠は弟子たちの為に戻られましたと言う
その通り 私はそう答えるしかなかった
水牢から助け出したことも 翼界へ出向いたことも
天劫を受けたことも 落ち込み深酒に溺れるそなたを宥めたことも
そなたは弟子をおもう師匠にしか思わなかったのだな
私ではなく夜華を想うそなた
私の想いは。。。
永遠の桃花から
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