巴雅爾(はがじ)と伊珠(いしゅ)4
家に戻ると巴雅爾に茶を入れ、さっそく寝台の脇にある木箱を開けてみた
中には蒼いあの巴雅爾に貰った衣に似た民族衣装があった
巴雅爾、これは。。
そうだよ 私達が出会った時のあの花嫁衣装だよ
それを着た君を見られなかった、今 見せてくれないか
その姿を目に焼き付けたいんだ
伊珠はうなづき 衣装を持って着替えに行った
巴雅爾 どうかしら
巴雅爾が伊珠の声に振り向くと蒼い衣装の伊珠が立っていた
綺麗だよ 好く似合う
巴雅爾はそう言うと長い間伊珠を見つめ続けた
伊珠、隣りに座してあの羯族の民謡 巴雅爾と伊珠の物語を
歌っておくれ
巴雅爾が伊珠に頼んだ
‘’伊珠が東の高梁畑で巴雅爾をみつめていた
巴雅爾が西の高梁畑で伊珠をみつめていた
巴雅爾は北の高梁畑で伊珠をみつめていた
。。。。‘’
伊珠、私が昏睡していた時、君が謡ってくれたね
私は曲の終わりにふたりは結ばれるのだと言った
君は私とあの者のどちらをより愛しているのか応えてはくれなかった
いま 巴雅爾と伊珠の私達ふたり
君と結ばれたいのだ
君が幸せならそして生きていてくれるのなら会えなくてもいい
私に想い出を残しておくれ
。。。巴雅爾あなたも幸せに生きて お願いだから
ああ わかっている
いいね
伊珠は応えず 巴雅爾の肩に頭を持たれかけた
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