思い出
1970年代前半, 私の父はフランスのSaint-Étienneという街(リヨンから南西に車で30分くらいのところ)で仕事をしていました. そこから少し行ったところにあるSaint-Chamondという小さな町にあるシャトーを会社が借り上げ、そこにしばらく住んでいたそうです.
毎日出されるそこのバゲットがすごく美味しかった(いわゆる、中もっちり、外カリッとタイプ)と度々話していました.
2015年11月, すでに体調がおもわしくなかった父が、もう一度そこのバゲットが食べたいと言い出しました. 父が訪仏することは叶わなかったため、当時パリにいた私がそのシャトーを訪問することに決めました.
今は便利な世の中です. 父から見せてもらったシャトーの前で撮影された40年ほど前の写真を手がかりに、シャトーの名前とSaint-Chamondのどのあたりに存在するシャトーなのかをインターネットを使い調べました.
99%の確信を得た私は、パリからTGVで旅行がてらリヨンへ.
リヨン滞在2日目の朝、ローカル線でSaintーChamondへ.
駅に到着後、地図を見ながら、目的のシャトーがあるだろう場所へ向かう.
Saint-Chamondは小さな町なので、お目当てのシャトーを見つけることは、驚くほど容易でした.
今はもう宿泊施設としては使用されておらず、地元のイベントなどをする際のホールとして貸し出されている模様.
よって、父が滞在中毎日食べていたお気に入りのバゲットを食べることは叶いませんでした.
記念に父の写真が撮影された場所と同じ場所を撮影.
上が父がいた1970年代前半.
下は2015年11月.
シャトーの屋根の形状、煙突の位置、そして手前のなだらかな斜面を見る限り同じシャトーだと確信.
2016年8月に父は他界したので、もう存在しないのですが、長い年月を経ても、同じものが形を変えずに同じ場所に残っているって大切だなと思うのです.