日本でしか販売されていないV2H機器とCHAdeMO(チャデモ)規格の関係など
V2HとはVehicle to Homeヴィークルツーホームの略称ですが、車から自宅へ電気を送電する仕組みのことを言います。
とはいえ、2022年現在の日本の現状からいうと、電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHV、PHEV)に搭載されている急速充電用のソケットを利用して、V2H専用の機械を通じて、車から自宅へ送電することを指すことが多いですし、このV2Hを実現するための機械であるV2H装置の事自体をV2Hと呼ぶこともあります。
実は、このV2Hが一般家庭レベルで実現してる国は「日本」しかありません
理由は2つ
1つ目は、V2Hで使える機械の規格が現状急速充電器用のCHAdeMO(チャデモ)規格のみであること
電気自動車の充電方式は2つあって、
一つが普通充電
もう一つが急速充電です。
電気自動車の基本的な充電は家庭で契約している電気を使って車に充電する普通充電ですが、日本の電気は100Vなので例えば新型アウトランダーPHEVの電池20kWhの容量をすべて100Vで満たそうとすると家電に流れる電流量が15Aくらいですから100Vx15Aで1500W。
アウトランダーの広告でもよく見かける家庭の電気が1500Wまで使えます
というのはこういう意味ですね。
1500Wを1時間で使うので1500Whになってこれが1.5kWhですね
20kWhを充電するのに計算上14時間弱位かかるわけです。
リーフの40kWhなら28時間ですから、まる1日充電しても満タンにならない訳で、これでは使い物になりません。
でも実際家庭につながってる電線の電圧は100Vではなくて200Vで来ていますから、一般家庭であっても、電気自動車用に専用コンセントを設置すれば
倍の200Vで充電できます。
こうすると時間が半分になるので新型のアウトランダーなら半分の7時間半で充電できるわけです。
でもいつも7時間も充電していては時間がかかりすぎるので、車に流し込む電圧をもっと上げて、電気の流れ道である電流の量を増やせばもっと早く車に電気が溜まります。
そこでつかわれるのが急速充電器でほとんどの急速充電器が車の持っている電池容量を30分で約80%まで充電してくれます。仕組みを説明するとさらに長くなるので別の機会にして
この電気自動車に接続するコンセントの規格が日本ではCHAdeMO(チャデモ)規格を採用してます。
この規格は2010年に日本が作り。世界統一規格として初めて採用されたのですが、
世界で初めて国家をまたいで一般販売された電気自動車が日産のリーフだったのでそのリーフの採用した規格が世界規格として了承したということでもあります。
ところがこの規格には1つの大きな問題があって、普通充電と急速充電の形が全く違っているのです。
そう2つ目の理由は、世界中の電動車メーカーが車にCHAdeMO(チャデモ)規格を採用しづらくなっているからなのです。
世界の電気自動車の規格の形は大きく4つぐらいのパターンがあるのですが
CHAdeMO(チャデモ)規格以外は、急速充電コンセントと普通充電コンセントの形状を同じ、もしくは急速充電コンセントの中に普通充電コンセントがぴったりはまる形状にしていて、1つのコンセント形状で、急速充電も普通充電も賄える形状になっているという事です。
充電規格を世界統一しちゃえばいいじゃないと簡単にみんな思いますが
CHAdeMO(チャデモ)規格はその形状において2つの充電口をつくらなければならない時点で他の規格陣営からみても簡単には採用できません。
クルマのメーカーとしても、部品を倍、スペースも倍必要ですから問題です。
他にもCHAdeMO(チャデモ)規格自体が10年以上昔の規格なので、大容量電力を充電する規格として古くなってしまっているなど他にも理由があるのですが、つまり世界はすでにCHAdeMO(チャデモ)規格以外の規格に
舵を切ってしまっているのが現状です。
日本自身ですら、世界のEV業界の圧倒的なシェアを誇る中国と共同で超急速充電規格ChaoJi規格の採用に向けて開発を進めており、これが正式に採用されるかどうかはともかく、世界の電動化の流れの中で、日本以外の国はすでにCHAdeMO(チャデモ)規格以外の規格の車両と充電ステーションがどんどん増えているのですね。
ですから、V2Hは電池としてのEVのコンセント形状の理由で、
日本以外では使えないのが現状。もちろん各国向けのコンセント形状のV2H機器をつくればいいのでしょうが、V2H機器は一度決めたらそうそう交換しない機械ですから、10年後に全く使えないかもしれない規格の商品を海外展開するのは怖いですよね・・・今のところは日本が壮大な実験を行っている状況で、世界規格がある程度統一された段階で、次のゲームメーカー的な企業がV2Hビジネスを拡大するんじゃないかと思います。
トヨタさんがPHVには急速充電を付けないとか周りがいろいろコメントする記事もありますが、世界の充電規格を考えると、急速充電器と普通充電器を1つのコンセントで利用できる規格に変更しない限り、世界戦略を考えるトヨタさんとしてもそうそう乗れる話ではないのは良く分かります。
逆にトヨタホームを擁するトヨタ自動車がV2Hビジネスの将来性を無視するはずはないので、次世代充電規格が定まったと同時にトヨタの電動化とV2H化が進んでいくのではないかと期待しております。
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