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1 隣は推しメン

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〇〇「はい、お疲れさまでした!」


ノートPCで接続していた会社のオンライン会議を無事に終えた喜多川〇〇は、ゆっくりとデスクチェアにもたれ掛かって身体を伸ばした。


新卒で今の会社に入社して1年が過ぎようとしていた。

ようやく仕事にも慣れてきて、こうしてテレワークもできるくらいにはそつなく仕事をこなせるようになっていた。



少し早いけど仕事は終わりにしよう。

〇〇はPCをシャットダウンして、デスクチェアからたちあがると座りっぱなしだった身体を再び伸ばしながら、窓辺に向かって歩み寄る。


窓からはオレンジ色に彩られた夕焼けの眺望が広がっていた。


都内のそれなりに高級なマンション。
一人暮らしにはすこし贅沢な広めの2LDKの間取り。

家賃はそれなりに高かったけど、この景色が気に入って会社に入るときに引越しを決めた。


家賃は半分は会社が出してくれるし、それなりにお給料もよかったからそれなりに余裕もある。


家にはそれなりにお金をかけたかった。

やっぱり住環境は大事というのもあるけど、インドア派の〇〇にとってはアウトドアにお金をかける趣味を持ち合わせていなかったというのもある。


しかし、そんな〇〇だったが、唯一趣味といえるものがあった。


ピコン


〇〇「お、カッキーのメッセージ更新されている」


そう
〇〇の唯一の趣味、それは乃木坂46の推し活だった。

特にそのなかでも〇〇は、4期生の賀喜遥香を加入当初から推している古参のファンでもある。

当時は高校生だったが、おこずかいを切り崩したり、バイトをしたりして、グッズを買ったりライブやイベントに参戦したりしていた。


もちろんそれは今でも変わらず、賀喜遥香を推し続けていた。



賀喜遥香メッセージ
『プライベートなことですが今日はお引越しをしました!

 早く慣れて心機一転、これからも頑張れるように頑張ります!

 みなさんも、頑張っていきましょう!(^^)!』



〇〇「(カッキー、引っ越しか。頑張っていきましょうか。よし、明日からも仕事頑張ろう、っと!)」




ピンポーンピンポーン


スマホを見ながらそんなことを思っていると、不意にインターホンが鳴った。

二回鳴ったということは1階のオートロックではなく、部屋の前のインターホンを推されたということだった。


珍しいな。


そんなことを思いながらも、〇〇はインターホンに出る。


〇〇「はい」



??「あ、すいません、本日隣に引っ越してきた者なのですが、ご挨拶だけさせていただいても大丈夫でしょうか…?」



〇〇「あ、はい。すぐ行きますね」


インターホンを切ってサッと最低限の身だしなみを整えて、玄関へ向かう。

しかし、その最中にもなぜか感じる違和感。


なんだろう、なんか聞いたことある声だった気が…


その違和感の正体は次の瞬間、すぐにわかることになる。



〇〇「お待たせしまし……た? …え!?」



遥香「あ、すいません……  え…?」


〇〇が玄関のドアを開けると、そこには賀喜遥香が立っていた。


ドアを開けた瞬間、お互いの顔をみてフリーズする。

そして次の瞬間


〇〇「カッキー!?」
遥香「〇〇!?」


ほぼ同時にお互いの名前を呼びあっていた。

まさかの推しメンの登場に、状況把握が追い付かない〇〇


遥香も同様に、目の前に自分の昔から推してくれているファンが目の前にいることに驚きを隠せない。

何回も握手会やミーグリなどであったり話したりしたことはあるけど、プライベートで会ったことなどあるわけもなく、まさかこんな形で会うことになるなんてお互い想像もしていなかった。



〇〇「え、な、なんでカッキーが!?」


遥香「え、私今日ここに引っ越してきたの。っていうか〇〇こそなんで?」


〇〇「いや、だってここ俺の家だし…」


遥香「え、私の家そこ…」


そういうと遥香は〇〇の家のすぐ隣の部屋のドアを指さした。


〇〇「っていうことは…もしかして…」


遥香「私たち…お隣さんだね///」



〇〇「(マジで!? 隣が推しメン!?)」


こうして、〇〇の日常に大きな変化が起きていくのだった。





つづく
※この物語はフィクションです。
※実在する人物などとは一切関係ございません。



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