【自己と仕事紹介】私たちが届けたお酒で、誰かが笑顔になっている
こんにちは。
私のお仕事まわりをまじえた自己紹介を書きます。それから、いまちょっと悲しいような怒っているような気持ちのことも。
どうも、神奈川県の酒屋の娘です。
酒屋といってもいろんな酒屋がありますが、本業は業務用酒類卸、ひらたくいえば、酒や飲みものを飲食店に納める仕事です。その他に、一般家庭への配達、酒や食品を扱うスーパーを数店舗、ほんの少しですがワイン輸入業もやっています。働き始めたのは2017年11月から、いま4年目になります。
酒屋で働く前は某ビールメーカーで3年半、営業をしていました。東京のとある地域の飲食店を担当する、いわゆる業務用営業です。自社の商品を扱ってもらっている飲食店さんのフォローをしたり、営業なので当然、飲食店さんが扱っている他社の生ビールの銘柄を変えてもらいシェアを稼ぐなどというミッションも課せられていました。
入社した時、自分で希望しておきながら言うのもなんですが、営業のイメージって、媚び売ったりむりやり説得して買わせる人だった。笑 だから営業なんて絶対性に合ってないし、無理むりって思っていました。でも人と話したりコミュニケーションするのが苦手というか、いつもこわがっていた自分も変えたかったから。3年半の間に、素敵な先輩や同僚、上司、そして営業職を通じてたくさんの人に出会い、刺激を受け支えられて、社会のことを学ばせてもらいました。大切にしたいことをたくさん教えてもらいました。かけがえのない経験、私の原点です。
メーカーお勤めを終え、家業である酒屋に入りました。まずは、本業である飲食店へお酒を配達する部署に配属されました。本業であるにも関わらず、業績に難ある部署でしたので、前職の経験も活かしつつ私ができうる限りを尽くそうと思っていました。
戻ってからまず、ひとりずつ社員のトラックに一緒に乗せてもらいました。酒屋の娘だけど、初めての酒屋さん体験でした。笑 そんな日々のなかで、酒屋として初めてやりがいを感じたときのことを忘れません。私にとって大切なことので、自己紹介からちょっと脱線するけど書いておきます。
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ある居酒屋の配達についていった時のこと。朝方のオープンする前の、誰もいない店内。階段を何回も往復して、瓶ビールや生樽を決められたところに納品します。手際良くこなしている先輩はかっこよく見えたし、うす暗いお店の中はちょっぴり特別な感じ。
夜になり、その居酒屋に連れて行ってもらいました。そこで私たちが一生懸命運んだ酒を、楽しそうにお客さんたちが飲んでいる姿を見て、「酒屋にうまれてよかった」と心から思いました。届けたお酒で誰かが笑顔になっている。当たり前かもしれないけど、ちゃんと社会の役に立っているんだと。
メーカーとして営業をやっていた時とは、またひとあじ違った感情でした。
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あれから3年経って、社内のこともいろいろわかるようになってきたのですが、友達や昔の同僚に「いまなんの仕事やっているの?」と聞かれると、今の私の立ち位置をなんて答えてよいのかいつも困ってしまいます。営業プレイヤーでもあるし経営者サイドでもあるし‥部下もいないから管理職といっていいのかもわからん‥「酒屋の娘」でいいか。
肩書はどうであれ、自分のまだまだ拙いコミュニケーション力や戦略の見える化と実現力不足に辟易したり、旧態依然とした組織やしくみに苦闘しつづけているけれど、週に1回は営業・配達の仕事をするようにしている。直接届けることの喜び。小さくてシンプルなことだけど、私にとって大切なこと。だからとても楽しいし、幸せ。
今はちょっと悲しくて怒っていてやるせない。
この1年ちょっと、COVID-19の蔓延防止のために政府や自治体から要請される飲食店への休業や時短営業の影響を受けて、酒を運ぶ私たちの仕事も激減しました。金融機関からの資金調達の他に、家庭用配達や店舗で収益を支えているのも事実です。本業である業務用をもっと良くしようと頑張ってきたのに。数字がすべてではないけれど、売上の数字をみて、毎日心を痛めています。
今、飲食店は神奈川県から「酒類を提供しないで」という要請を受けています。従う、従わないはそれぞれの態度です。それに対して正しい・間違っているを言うつもりもありません。
ただ、その飲食店に酒を提供している私は、どんなメッセージを受け取ったと思いますか。
まずは会社がつぶれるかつぶれないか、経済的に生きるか死ぬか。自分の身は自分で守るしかない。世の中が甘くないことは、社長である父から聞かされてきました。経営者の使命として従業員の雇用を守るためには、酒以外のものを売っていくことも選択肢としてある。現に店舗では食品も扱っている。リスクヘッジは大切。
でも私は酒屋として生き残りたい。きっと誰しも外で食事をしたり酒を飲んだりしたときの楽しかった・おいしかった思い出があると思う。家庭ももちろんそうだけど飲食店も、空腹やのどを満たすのと、おしゃべりしながら心も満たす場所。人が食べたり飲んだりする場所と文化に、酒も深くかかわっている。酒屋は、そんな場所と文化を作ってきたわき役のひとりだと思っています。飲食店は、訪れるお客さんに喜んでもらえる仕事。それを支えたい。それが、お酒を作っている人の役にも立つと思っている。
だから、飲食店へ「酒類を提供しないで」と要請してきている私の母国は、感染症の拡大を抑える代償として、一時的に食文化の豊かさを否定し、飲食店や酒に関わって働く人の生活を破壊したかもしれないし、誇りをちょっと傷つけたかもしれない。でも、それで救われた命もあるのなら。悲しいやら悔しいやら。いっぺんに全員を救う業はめったに起こせないから、やるせない。
でもこの気持ちを、来たる新しい日常に備えて、会社や酒屋にとって良い方向にもっていくなんらかのエネルギーにできないかなと思っている。ピンチをチャンスに。まだやりたいことがある。こうやってnoteを書くこと以外は何もできてないけど、何もしないよりはマシ。
わーたくさん書きました。自分の仕事についてここまで話すことがあったんだと自分でも驚いている。また新しい自分を発見できました。ありがとう😌