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経営株主へのプットオプション

Axelage株式会社 - axelage.co.jp

VCとの投資契約の交渉において論点になりやすいことに、プットオプション条項があります。


プットオプション条項(買取請求権)

VCから提示される投資契約のひな型には、以下のような条項が入る場合があります。

第●条 (買取請求権)会社及び経営株主は、いずれかの株主(以下本条において「請求株主」という。)について、以下のいずれかの事由が生じた場合、請求株主の請求に応じて、請求株主の保有する発行会社の株式を自ら買取り、又は発行会社の指名する第三者をして買い取らせるものとする

上記における「事由」とは、通常、表明保証違反や契約における義務違反です。
つまり、違反に対するペナルティとして、会社及び経営株主(主に創業メンバー)にVCが株式を買い取るように請求できるプットオプション行使条項です。
株価は通常時価に近くなるように定められるため、ラウンドが進めば、個人が負担できるレベルの金額ではない場合が多く、個人にとってはリスクが高いです。

政府はプットオプションなしを推奨

これについては、国として個人を外すように推奨されているので、会社としてはVCと交渉できる余地が大きいです。
ご参考までに、日本ベンチャーキャピタル協会とともに経済産業省がまとめた「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」によると(p.2、p.32など)、下記のように明確に言及されております(2022年3月)。

なお、創業株主への買取請求権など個人に発行会社との連帯責任を求める慣行は、グローバルな観点からはあまり例が無く、起業や企業経営へのインセンティブを阻害すると考えられる。また、融資に関しては、「経営者保証に関するガイドライン」(平成25年12月 経営者保証に関するガイドライン研究会)で、経営者の個人保証について、「法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めない」ことを示し、融資慣行として浸透・定着しているところである。以上の点に鑑み、買取請求の対象は発行会社に限定し、創業株主等の個人を除いていくことが望ましい。

経済産業省「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」(2022年3月)

ただし、中小企業庁のウェブサイトに掲載されている投資契約書のひな形には、創業株主への買取請求権が規定されており、経済産業省の上記意見と相違していました。 公正取引委員会はこれを問題視し、中小企業庁に申し入れが入ったとのことです。

中小企業庁が同庁のウェブサイトに掲載している投資契約書のひな形11には、買取請求の対象に経営株主が含まれている。本調査において、このひな形を根拠に個人に対する買取請求が可能な株式の買取請求権の設定を要請したと思われる事例がみられたことから、本年11月、経済産業省を通じて指針の趣旨と整合性を確保することを申し入れたところ、中小企業庁において、指針に沿う契約書の新しいひな形として、改訂された「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」を注意書きにより同庁のウェブサイトに追加した。

公正取引委員会「スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について」(2022年12月)p.7-p.8

日本ではスタートアップ保護の動きが益々積極化されています。VCの方はよく嘆いていますが。。
経営株主へのプットオプションは受け入れない交渉ができる可能性が高いので、顧問弁護士ともよく相談のうえ、VCとの協議を進めてください。

最後に

Axelage株式会社は、世の中の多種多様な領域で興る新規事業を支援することによって、時代を加速させるようなイノベーションを促進します。上記の支援策も含めお気軽にご相談ください。

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