
桐生旅行二日目(高津戸峡、甌穴、古着屋、バーガー)
高津戸峡、甌穴
ふたたびわたらせ渓谷鉄道に乗り、大間々で降り、高津戸峡へ。

遊歩道があるが30分ほどで見終わる程度だとあったので、そこまで期待はしていなかった。
期待はいい意味で裏切られた。
短い散策路のなかで、見所が満載だった。

まずダム。
あれは……なにダムだったっけ。
――高津戸ダム。

堤防から川を眺めたり、ちょっと小高くなったところから俯瞰したり、湖になったところを眺めたり、楽しめた。

それから高津戸峡。
最高。
自分は渓谷、峡谷が好きなのかもしれない。
対岸が崖になっていて、片側に遊歩道が作られていて、高い位置から川面を俯瞰できるような歩道が整備されている。
ここを歩くだけでかなり見ごたえがある。
そして特筆すべきは、甌穴。

人が二、三人は入れるくらいの大きなもので、そこに大人の男が膝を抱えたくらいの大きさの、まるっとした巨岩が一つ収まっている。
甌穴愛好家としては……たまらん……。
つるつるの岩に腰掛けて、甌穴にはまりこんだまま、川のせせらぎを聞きながらしばらくのんびり過ごした。
甌穴の石に思いを馳せて。

光の美的印象に最近興味がある。
渡良瀬川の水面は、さざなみに冬の日差しが照り輝いて
「おだやか~……」
といった様子。
夏の強い日差しが至高、と思っていたが、冬の日差しには冬の日差しならではの良さがあるのかもしれない。
夏の日差しには攻撃性があるが冬の日差しにはそれがない。
冬に浴びる日差しはあたたかでやわらかく安堵がある。
光の印象そのものにも、そんなところがあるように思われる。
川を渡る風が陽光をさーっと輝かせてゆく様、いとをかし。

途中、齢90にもなろうかという老婆と、その息子だろうか、車いすを抱えた男と、老婆を介抱する男の三人と行き会った。
老婆が歩くにはアップダウンがあり過ぎ、その先が不安になったが。
その他、カップル。
男二人。
おじいちゃんと娘?
などと行き会う。
甌穴まで来る人は少なかったが、遊歩道はさすがに人がいた。

大間々から桐生へふたたび戻る。
その後は桐生で古着屋巡り。
どこで何をしようか、そのまま帰ろうかと、車内で調べていたら桐生の駅近くの商店街に古着屋が密集していることが判明、せっかくなので見て回ることに。

4、5店舗くらい回っただろうか。
ふだんセカストやトレファクといったリサイクルショップを巡回している身には、あまりに高価に過ぎる価格設定だった。
結局買ったのはスウェット一着だが、これは前日偶然見つけて入るのをためらった、ちょっと高級感のある店構えの古着屋で見つけたものだった。

お手頃価格なのだが、プリントされた夜の海の情景が非常に良い。
毛玉だらけでくたくたになった感じ、プリントにもひびの入った感じ、色味、もろもろ含めてヴェイパーウェイブ味がありとてもよい。
額装したいくらい。
あまり柄の入ったものを買わない自分にしても、購入せざるをえない魅力があった。

昼食は近くの名物バーガーショップでバーガー。
狭い路地にあるのだが、肉を焼く良い匂いがしたので入店。
ソースがもう少し濃くてもよかったかな、と思いつつ。
ポテトでなくチュロスを頼んだらあまりの甘さに少々飽きる。
と言いつつ、概ね美味い。

栃木経由で帰宅。
湘南新宿ライン、人身事故につきダイヤ乱れとのことで、来た時とは別ルートで帰ることに。
なんだかんだでずっと座って帰ってこられたのでよかった。
まとめ
うーん。
旅行というのは、行く前は
「調べればわかるようなものを何時間もかけてわざわざ観に行くほどか」
とか
「行って何もなかったら骨折り損だな」
とか考える。
しかしいざ行ってみると、見どころというのはあるものだ。
正確には、見どころがあるというよりも、それを見どころと見なしうる素地が自分にある、と言うべきかもしれない。
同じ道のりをめぐっても、まったく面白くないという人は当然いるだろうし。
自分は鉱物が好きで、自然が好きで、渓谷が好きで、甌穴が好きで、川のせせらぎが好きで、古着が好きなのでまあ考えてみれば好きの詰め合わせみたいな旅行をしたことになる。
一人旅なので当然と言えば当然なのではあるが。
これまでの人生を振り返ると、ものを見る目を養うばかりで、実際にものを見ることをおろそかにしてきたように思われる。
もっとものを見ることそのものに注力すべきかもしれない。
補遺





