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大勢が集まって何をしているのかと見てみれば、一匹の芋虫を眺めているらしい。人だかりをかき分けてその中心をのぞくと、小指ほどの大きさの、緑色をした芋虫が地面をせっせと這っている。幾分焦っているようで、一刻も早く心休まる木陰に入りたいといった様子。しかしなぜ人々はこの、何の変哲もない芋虫に寄ってたかって注目しているのだろう。不思議に思われて人だかりから抜け出て、外から全体を眺めてみたものの何もわからない。ただただじっと地面に見入っているようだ。そうして人だかりを眺めているとまた、どうにも信じられないような気になってくる。さっき見たのは何かの間違いではないか、と思えてきたのでまた人だかりをかき分けてその中心をのぞいてみたのだが、やはりそこには一匹の芋虫がいて、地面をせっせと這っている。確かに彼らはこの芋虫を眺めているのには違いないと確信して、また人だかりから抜け出て、外から全体を眺めてみたものの、腑に落ちない感じはどうにも拭い去ることができない。
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