
雷撃で死ぬことは夢である【自動記述20250117】
午後11時15分
紙のきれはしから血が滴って、
透明な水を濁らせたとき、
私は黄色い空を眺めて物思いにふけっていた。
黄色い物思いにふけっていた。
それから雲が厚くなって、
雷が鳴りだしたから外に出たのだった。
雷撃で死ぬことは夢である。
この指とまれの要領で、
人差し指を空に向けて、
両脇が田で占められたひたすらに真っ直ぐな農道を、
うす暗がりのなか走っていった。
周りに高い建物がないほうが雷が落ちやすいだろうと思ったから。
それから何が起こったのかは覚えていないが、
次の記憶には唐突に青空が現れる。
現れた青空に薄雲が浮かんだ情景を眺めて、
私は川原に寝そべっている。
どこの川原かもわからない不詳の川原で寝そべっており、
どこの川原かもわからない不詳の川原で寝そべる私を私は発見する。
ヒグラシが鳴いていたかもしれない、
まだ日が暮れるような時間ではないというのに。
来ては去り、
それは来ては去る潮騒のように遠ざかったり近づいたりした。
川原のどこにヒグラシなどいるのだろうかと辺りを見渡したら、
河畔林があった。
河畔林は木立の合間に闇を貯え、
貯えられた闇のなかには鋭い眼光がきらめいている。
それは私を狙う雷の眼だろうか、
そう考えると快く思えたので私は立ち上がった。
立ち上がってから、
特にあてのない私の現状を思い出した。
食べものが必要らしかった、
そしてそれがどこにあるのかわからない。
わからないながらも、
前へ進むよりほかにやりようがなかった。
あの黄色い空は次、
いつ訪れるのだろうかと焦がれながら青い空を眺めながら、
ほとんど上を向いたまま歩いていた。
だから案の定足を踏み外したのだが、
それから私がどうなったのか私にはわからない。
空から降ったのかもしれない、
いや地に落ちたのだろう、
しかしどちらかはわからない。
午後11時25分