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#スーツケースのおはなし vol.2〜工場探しとサステナブルなモノづくりへのこだわり〜

前回の#スーツケースのおはなし では、私が「スーツケースを作ろうと思った時の一番のこだわりポイント」や「一番人気のホワイトカラーができるまで」を記しました。
こんな「スーツケースを作りたい!」という方向性はイメージできたものの、それを実際に形にするのはなかなか大変な作業...
今回は実際にスーツケースを形作るにあたっての過程や苦労話をシェアできればと思います。

工場探しとまさかのロット数問題

まず一番の山場は、やっぱり工場探し。
まずは国内で、スーツケースを作ってくれる鞄専業のOEM企業(工場との仲介をしてくれる会社)を探してアポを取りまくりました。
インターネットで「スーツケース OEM」で検索してヒットしてくる会社にひたすら連絡してアポを取ります。
夢を語ることしかできない無名の私にも、丁寧に返信をしてくださる企業様がたくさんあることに感動。

しかし、いろんな会社で話を聞けば聞くほど、スーツケースは生産ロットがかなり大きいという悲しい現実を知ることになります。
雑貨や洋服なら少ないロット数で作れるところも多いのは知っていたけれど、スーツケースのような大物製品になるとかなりロット数が大きい...
そしてコストは、初期投資で何千万もかかるような計算になってしまう...
もちろんいきなりそんな大型投資できるわけもありません。

ここで諦めるのは簡単!
なぜか昔からやると決めたら不屈の精神で挑むタイプの私は、OEM企業を介するのではなく、工場に直接コンタクトを取り交渉する戦略に変更しました。
そう、実は私は元商社マン。
それなりに海外企業とのお仕事もこなしてきました。
もちろんスーツケースを海外で作った経験はないけれど、昔お仕事でご一緒した方に「こういうスーツケースが作りたいけれど、作れるところ知らないか?」相談を持ちかけます。
ラッキーなことに中国で何社か工場を紹介してもらうことに成功!
ここで私は挑戦に出ます。
中国に直接行って工場に交渉しに行くことに決めたのです。(笑)



もちろんメールやスカイプでもやりとりはできるけれど、ミスコミュニケーションが生まれやすく、話がいきなり頓挫しがちな海外とのやりとりは、直接Face to Faceで話をし、自分たちの誠意を見せつつ、その場で判断まで行うやり方が一番いいと思っていました。

なんと、実際に訪問させていただいた工場で、実際に作りたいスーツケースのイメージやブランドを通じて叶えたいビジョンを伝えると、かなりの小ロットで生産を引き受けてくれることになったんです...!

サステナブルなモノづくりへのこだわり

実は工場を探すにあたって、生産ロット数以外でもう一つこだわっていたポイントがあります。
それは、「サステナブルな生産ができること」
モノづくりの仕事をすればするほど、大量生産大量消費主義の世の中に疑問を感じていた私。

「たくさん作ってたくさん売る。余ったものは捨てる。」
「売り手や消費者至上主義。作り手が搾取され、労働者の人権や働く環境は保証されない。」

そんな無駄の多い、そして地球環境にも人権という観点でも悪でしかない負のスパイラルを打ち切るやり方でモノづくりがしたい。
そう強く思っていました。

工場を実際に訪問することに決めたのは、直接話をして交渉したいというのもありましたが、工場の環境を自分の目で見て確認したいという思いもありました。

「工場で働く人たちの環境や人権はきちんと守られている?」
「働く人たちは思いを込めてモノづくりを行っている?」

こういったことって、認定機関の認証を受けているかどうかといった第三者機関の保証でももちろん判断できるのですが、やっぱり自分の目で見て確認することがとっても大事だと思っています。


こういったモノづくりの世界は自動化がいくら進んでいくとはいえ、最後はやはり人の手によってなされるもの。
働く人たちがいかにイキイキ楽しく、そして安全を保証された環境で働いているかは、商品にも表れると本気で考えています。

実際に訪問させていただいた工場の一つは、ワーカーさんがとても楽しそうに働いていたことが印象的で、ここで私のスーツケースを作ってもらいたいと直感的に思いました...!(もちろん上記で記した第三者機関の認証をきちんと取得していたこともあります。)

素材に関しても、無駄がないモノづくりができないか工場と相談しました。
これはどんな商品においてもそうですが、生産においてロスが生じるのは当たり前のこと。
もちろん作る数が増えれば増えるほどロスの数も増えます。
そうやって生産過程で生じたロスは「無駄なもの」として破棄されているのが現実。
破棄することでもちろんエネルギー消費も行われ、地球環境にも負担となります。
Awwのスーツケースは、このような生産工程で生じる原料のロスを破棄することなく、再利用する仕組みで生産をしてもらうようにしました。一方、"サステナブル"という観点で改善しなくてはいけないやできることはまだまだあると思っています。
みなさんとそういった課題意識もシェアしながら、少しずつ実現していくことで、みんなで"サステナブル"に関して考える機会となればいいなと思っています。

最後に

今回はスーツケースを実際に形作るに過程を書き連ねてみました。
次はスーツケースのパーツに込めたこだわりポイントや、各カラーのスーツケースに込めた思い出の旅についても記していきたいと思います。
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