風景を書く
図録の制作をお手伝いした京都市京セラ美術館の「奥村厚一展」が2024/9/8までなので、観に行ってきた。
内覧会以来2度目。
奥村さんの絵は大きな屏風に描かれたものも多いが決して派手ではない。
とにかく細部までよく観察されていると思う。
冬枯れの枝。その枝についた雪。それは風によって、どの枝も一方向になっていて、しかも少し溶けかかっている。きっと夜中じゅう吹雪いた翌朝だ。
木立の中に伸びる小径は、うっすら見える三日月が照らしている。
紅葉した葉は水面に揺れて映る様の方を大きく描いてある。
どの絵も風景を広く切り取った風景画というよりも、奥村さんの視線を感じる風景画だ。
自然にわけ入り、どっしりと座って、夢中でスケッチをした、その視線を感じるのだ。
何に注目して、何を描きたいとかんじているのか。
そんなことを考えながら観ていると、
木は単に緑ではなく、
空はいつも澄み切ってはいない。
光が当たるところは煌めき、
当たらないところは、暗くしっとりしてしまう
そんな当たり前のことに
気づくだろう。
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