a writer

京都で小さなライター事務所を経営している、とあるライターです。社長で、部長で、社員で。…

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京都で小さなライター事務所を経営している、とあるライターです。社長で、部長で、社員で。迷いながら書き続けるあるライターの雑記です。好きなテーマは、歴史、文化、そしてローカル。

最近の記事

風景を書く

図録の制作をお手伝いした京都市京セラ美術館の「奥村厚一展」が2024/9/8までなので、観に行ってきた。 内覧会以来2度目。 奥村さんの絵は大きな屏風に描かれたものも多いが決して派手ではない。 とにかく細部までよく観察されていると思う。 冬枯れの枝。その枝についた雪。それは風によって、どの枝も一方向になっていて、しかも少し溶けかかっている。きっと夜中じゅう吹雪いた翌朝だ。 木立の中に伸びる小径は、うっすら見える三日月が照らしている。 紅葉した葉は水面に揺れて映る様の

    • この世とあの世をつなぐ部屋

      ゴールデンウィークの間に、おばが亡くなった。 「間に」としたのは、いつか分からないからだ。 いつの間にか、人知れず、亡くなっていて、あとでそれが判明した。 「〇〇ちゃんをよろしくね」 おばのお母さん(つまり私にとってはおばあちゃん)は、まだ大学生だった私に言った。 それほどに、自分が亡くなった後の、その人が心配だったのだ。 正直、「そう言われてもな……」という気持ちもあったけれど、 多分私は「うん」と言っただろう。 このことがずっと心に引っかかった。 だからその人が一人

      • もっと人に関わるインタビューをしよう

        ゆっくりしようと思っていても、おかげさまで仕事もあるし、考えたいこともあるし。時間はいつも足りない日々。 朝のうちに一つでも仕事をと思って、文字おこしをしてみる。俳優さんにさせてもらったたった10分のインタビューなのだけど、なんだか聞くのが怖くて、なかなかやる気が起きず。少し温めてしまった。 思い切って今朝聞いてみると、とっても一生懸命に答えてくれようとしているのが、言葉の選び方や話し方から伝わってきて、さらに反省する。 もっと聞きやすい聞き方はなかったのかなとか、このあ

        • 私が『はだしのゲン』を図書館に置いておいてほしい理由

          私も子どもの時に読んで恐ろしくて眠れなくなった記憶があります。 確かに絵はグロテスクというか、少女漫画を読んでいた自分にも受けれ難いものだったけれど、 自分から手に取ったのです。 そして原爆や戦争がどんなものかを、その絵から「感じ」させてくれました。 そしてその描写の悲惨さに加え、ゲンとその家族の物語を自分を置き換えて「感じ」ました。 辛い状況から立ち上がっていく美しい物語としてではなく、 こんなことになっては大変なんだと子供に伝える、素晴らしい作品だと思います。

        風景を書く

          人の言葉を信じて、相手の心を想う

          漢字って表意文字だと言われますが、こんなに時間がたってもその言葉に込めた想いを伝えられるって、漢字を考えた人はいい仕事をしたなと思います。 信=人+言 想=相+心 そんなことに気づいてから、漢字を分解しては、その文字を生み出した人のことを考えています。ほかにも解釈はあるのかもしれません。でも自分なりに飲み込んで、一人納得しています。 私はちゃんと、信じられている? ちゃんと想えている? 口から出した言葉を、意味に立ち返るべく、再び脳内に取り込んで、もう一回、口から出した

          人の言葉を信じて、相手の心を想う

          計画引退説。

          書かなきゃいけないものはどんどんたまっていくのだけど、なかなか向き合えない時間が、だんだんと長くなっていく。これはいわゆるお年ごろの症状だと思われるのだけど、昔よりも難しくて、長い原稿が多いので、腰が重いと言うか、筆が重いと言うか、心が重いと言うか。書くのが嫌なわけじゃない。書くのは好きだけど、書くまでが重い。こんな日が来るとは、去年まで思いもしないことだった。コロナで立ち止まったせいかもしれない。冷静に見て、私って幸せか?とか。 そんな時は音楽の力に頼って、なんとか気持ち

          計画引退説。

          a writer

          4年前、2019年に「a writer」というnoteを始めようとしていました。 「ある ライター」ですって。 その時とりあえず書いた文章がこれでした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私はライターです。普通の。普通のって? 普通じゃないのって? そんなこともよく分からないけれど、きっと普通のライターではないかと思います。 文章を書くことは、とても気を使います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 気を使いすぎて4年ほど放置した

          もうそろそろ、おしまいだから。

          私はライターです。小さいながら会社を経営しています。 お仕事でいろいろな文章を書くので、自分の想いを書く時間と場所がなく、少しストレスを感じていました。 だけど、私が私の個人的な想いを書いたところで、誰が読むのかな? 誰か読んだとして、面白いのかな? とか思うあまり、書く勇気がでませんでした。 そして2023年に今日なりました。 2000年になってもう23年にもなるのかと思うと もうすぐ、人生も終わるんだな、 そんな気持ちになりました。 実を言うと40代の後半に入った、こ

          もうそろそろ、おしまいだから。