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「没後300年記念 英一蝶」展(-2014.11.10)・サントリー美術館

閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。

本記事は、2024年9月18日から11月10日までサントリー美術館(東京都港区)にて絶賛開催中の「没後300年記念 英一蝶-風流才子、浮き世を写す-」展について、弊方による雑な飛報とご理解頂けますと幸甚です。

ということで、サントリー美術館ウェブサイトの本展ページに僭越ながらリンクを張らせて頂きます。

https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_4/index.html

サントリー美術館は、著名なミュージアムなのでご存知の方が多いと思いますが、東京都港区赤坂の六本木駅の近くに所在する、東京ミッドタウンガレリアという、関西の田舎もんのおっさんの安易な侵入を拒絶するかの如くオシャレで高級な感じのオーラを放つ建物の3階と4階にあります。

僭越ながら弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した、ガレリア入口付近の本展ポスターの雑な写真を掲載させて頂きます。

関西の田舎もんのおっさんの弊方ですが、ガレリアの格調高いオーラをステキ鈍感力で感じないようにして、何度かサントリー美術館にはお伺いしております。

弊方的には、サントリー美術館は、同じく六本木領域に所在する泉屋博古館東京と並んで、その高級感と上品さとオシャレな感じがするため入りにくいミュージアムという、歪んだ劣等感を持っております。

ガレリア3階のサントリー美術館入口付近を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を僭越ながら掲載させて頂きます。

本記事は、いつも通りのだだ長いヲタトーク記事とは異なり、会期中に間に合わせて諸姉兄(ジェンダーに配慮しました)にとってわずかでもご参考になれば、という意図で、ヲタトークを控えて内容を絞った飛報的な記事とさせて頂いております。

本展については、先日2024年10月6日に放送された日曜美術館「この世を楽しく美しく 江戸のレジェンド絵師英(はなぶさ)一蝶」で紹介されておりました。

弊方も同番組を拝見しており、ご覧になった方々も多いかと思うのですが、敢えて弊方のおススメを飛報的に紹介させて頂きたいと思います。

本展チラシ(フライヤー)に採用され、日曜美術館でも紹介されておりました、作品番号35の重要文化財「布晒舞図」は10月16日以降の展示であり、弊方は拝見できませんでした。

同じく日曜美術館でも紹介されておりました、メトロポリタン美術館蔵の作品番号79と、東京国立博物館蔵の作品番号80のふたつの「雨宿り図屏風」は、ありがたく拝見させて頂きました。

東京国立博物館蔵の「雨宿り図屏風」は、重要文化財に指定されておりませんが、10月14日までの展示とのことでした。「布晒舞図」を拝見できなかったものの、ふたつの「雨宿り図屏風」を拝見できて有難かったです。

さて、弊方の最大の推しが、メトロポリタン美術館蔵で、次の雑な写真に在ります通り、本展で唯一写真撮影可であった作品番号64「舞楽図・唐獅子図屏風」でした。

この作品、六曲一雙で、表面に舞楽図が描かれ、裏面に唐獅子図が描かれております。ということで、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を掲載させて頂きます。

舞楽図屏風右隻
舞楽図屏風左隻

・・・ピンぼけてますね。ガラケー的なガラホだからだと思います。スマートフォン略するとなぜかスマホでも撮影しておけばよかったです。

弊方としては、念願の舞楽図屏風を拝見できて、かなり浮かれていたのかもしれません。

何が念願なのかというと、以前、たまたま狩野派に関してインターネットを安直に検索していろいろ調べていたときに、「日光山輪王寺蔵《舞楽図屏風》についての一考察」(筑波大学芸術学研究誌『藝叢』編:藝叢編集委員会、Vol.34, pp.11-23, 2019)という論文が検出されました。

この論文は、筑波大学の「学術コンテンツデータベース」である「つくばリポジトリ」からダウンロード可能です。僭越ながら「つくばリポジトリ」の「<査読論文>日光山輪玉寺蔵《舞楽図屏風》についての一考察」のページにリンクを張らせて頂きます。

https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/54628

この論文を拝読して弊方「舞楽図屏風」にたいへん興味を持ったのですが、この論文のオリジナルに掲載されている多数の舞楽図屏風の図版は、インターネット公開の論文PDFでは、著作権保護の観点から全て「墨消し処理」が施されており、そのため弊方、舞楽図屏風の全容を存じ上げませんでした。

ちなみにこの論文については、弊方の過去の投稿記事「小山市立車屋美術館「小山を愛した日本画家 齊藤鷗舟」展(-2024.9.1)」において簡単に紹介させて頂いております。僭越ながらリンクを張らせて頂きます。

この論文の著者は古谷美也子先生で、古谷先生は舞楽図の研究によりドクターの学位を得られているそうです。「つくばリポジトリ」に、古谷先生のドクター学位論文「近世武家社会における舞楽図の研究」が要約のみですが公開されております。

さて、論文「日光山輪玉寺蔵《舞楽図屏風》についての一考察」では、日光山輪王寺が所蔵される、同論文において「輪王寺甲本」とされる舞楽図屏風が主題となっています。

この「輪王寺甲本」と同じ図様の作品として、個人蔵で京都国立博物館寄託である、同論文において「A家本」とされる舞楽図屏風も紹介され、さらに、この「A家本系の舞楽図屏風」として、「A家本」も含めて①~⑧の合計八つの舞楽図屏風が紹介されており、この中に「⑦英一蝶筆本(メトロポリタン美術館)六曲一双」が含まれております。

同論文には「輪王寺甲本」の画面構成について具体的に解説されております。ちょっと長くなるのですが、「日光山輪玉寺蔵《舞楽図屏風》についての一考察」から僭越ながら下記の通り引用させて頂きます。

総金箔地の画面には、装飾が施された舞楽装束を身に纏った舞人が、曲ごとに4人以内でまとまり(胡徳楽を除く)、それぞれ特徴ある舞姿で描かれている。その数は両隻合わせて24曲72人である。まとまりごとに曲名が墨で書かれ、右隻右より「安摩」「二舞」「春鶯傳」「秦皇破陣楽」「延喜楽」「胡蝶」「皇仁庭」「採桑老」「迦陵頻」「退走禿」「泰平楽」「狛桙」、左隻は「青海波」「還城楽」「新靺鞨」「胡徳楽」「胡飲酒」「林歌」「抜頭」「散手破陣楽」「崑崙八仙」「貴徳」「羅陵王」「納曾利」とある。これらの舞人を挟むように右隻右下と左隻左上には、赤黒で染分け、窠文が入った幔幕を廻らせた幄舎が、向かい合うように配されている。両幄舎の前には、火焔模様の装飾が施された大太鼓と大鉦鼓が置かれ、内部では、楽人達が笙、篳篥、笛、鞨鼓などの楽器を演奏している。

『藝叢』 第34巻 第11ページ左カラム第41行-右カラム第10行

弊方のピンぼけた雑な写真ではよくわからないので、本展図録で確認すると、「まとまりごとに曲名が墨で書かれ」ていないこと、人数が66人であることを除いて、「輪王寺甲本」の画面構成と同じように思っております。

曲名と舞姿との対応関係はまったくわからないのですが、なんとなく対応がありそうかも♡♡♡ くらいの推測がつくのはありそうです。

詳細は、同論文「日光山輪玉寺蔵《舞楽図屏風》についての一考察」をぜひご拝読頂きたいのですが、この論文によれば、英一蝶先生のメトロポリタン美術館蔵の写真の舞楽図屏風も含め、この「A家本」とされる舞楽図屏風に関して次のような指摘がなされております。

舞楽の故実に則した着装の方法を確認し、それを継承するために、絵師は舞楽装束を正確に描写する必要があったのだろう。中世以来の舞楽図が、鑑賞だけでなく故実の継承を目的としたことの裏付けとなろう。

『藝叢』 第34巻 第14ページ右カラム第41-44行

これら[引用者補足:山科言緒著『言緒卿記』や、⑤狩野安成筆本(左隻のみメトロポリタン美術館蔵)と楽人安倍季尚編纂『楽家録』の記載の一致]は、輪王寺甲本と図様を同じくするA家本系の舞楽図屏風が、少なくとも17世紀末には、宮中で使われていたということを示している。しかも、A家本系の多くが、狩野派の特徴を持つ。

『藝叢』 第34巻 第17ページ右カラム第27-30行

同論文を拝読した弊方の雑な解釈では、英一蝶先生の舞楽図屏風を含む「A家本」と称される作品群は、舞楽を描いた「美術作品」としてだけではなく、舞楽の情報を記録伝達する「実用品」としての側面を持ち、これら舞楽図屏風の制作を主に担ったのが狩野派の諸画人であろう、ということです。

一蝶先生の「舞楽図」は表面で、その裏面には先ほどの通り「唐獅子図」が描かれているのですが、この「唐獅子図」は、偉大なる狩野探幽先生作をモチーフにしているものだそうです。本展では、表面も裏面も見放題という「屏風の裏愛好家」の弊方としては、まるで極楽の如く超絶激萌えの展示形式でした。

英一蝶先生は、三宅島に島流しされた後に奇跡的に江戸に戻ることができて、お名前を「英一蝶」に変えてから、「謹直な仏画、狩野派の画法を順守した花鳥画や風景画、古典的画題に実直に取り組んだ物語絵や故事人物画などが増えて」(同展図録第127ページ第7-8行)いくそうで、この観点では、本作「舞楽図・唐獅子図屏風」は、表面の「舞楽図」は故実に基づく実用品兼コテコテの狩野派であり、裏面の「唐獅子図」もコテコテの狩野派という、狩野派超絶濃厚仏恥義理!!!(by 俺のミルク・ノーベル製菓)みたいな作品だと思いました。

こうなると、改めて本展にお伺いして「舞楽図・唐獅子図」を拝見したいのですが、しかも本展は大幅な作品の入れ替えがあることも考えると、もう一度お伺いする価値は十分にあると思うのですが、何せ東京の六本木ですので、資金面からも時間面からも関西から気楽にお伺いすることができませんのですわ・・・ あぁ、もう1回拝見したい!!!

いちおう飛報ですので、ヲタトークを控えて、弊方の雑で一方的で個人的なおススメのみとさせて頂くつもりが、ヲタトークを全く控えておりませんでした。たいへん申し訳ありません。

本展についても改めて通常運転のもっと長文の自己満足ヲタトークを投稿させて頂きたいなぁと思っております。

以上、簡単ですが閲覧頂きありがとうございました。

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