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姫路市書写の里・美術工芸館「生誕100年・最後の抒情画家 藤井千秋展」

閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。

2023年の仲夏の過日、兵庫県姫路市の書写山のふもとに所在する、姫路市書写の里・美術工芸館において同年4月15日から7月9日まで開催されておりました「生誕100年・最後の抒情画家 藤井千秋展」を拝覧いたしました。

弊方、本展については全く存じ上げておりませんでした。というよりも、本展が開催されている、姫路市書写の里・美術工芸館というミュージアムのことを存じ上げておりませんでした。たいへん申し訳ありません。

何を隠そう隠しませんが、居住経験もあることから弊方は姫路市にそこそこの土地勘を持っているつもりだったのですが、ほんまに「つもり」でした。改めて申し訳ございません。

それでは、何で弊方が本展を知ることになったのかと申しますと、チラシ(フライヤー)のお陰です。

本展「生誕100年・最後の抒情画家 藤井千秋展」に先立つ2023年の初夏の過日に、和歌山県立博物館において2023年4月29日から6月18日まで開催されていた特別展「きのくにの小浪華-湯浅ゆかりの文人の書画-」展を拝覧いたしましたのですが、このとき、和歌山県立博物館には多くのチラシ(フライヤー)が配布されており、その中に本展チラシがあったのです!

おぉぉぉ、藤井千秋先生の展覧会やってんの? いつから? えっ?! 4月から?! いつ終わんの? えっ?! 7月9日まで? あんまり日があれへん!!!

本投稿時点でも、姫路市ウェブサイト「記者発表・報道提供資料」の「2023年3月 記者発表資料」の中に本展チラシ(フライヤー)データがアップロードされておりましたので、僭越ながらリンクを張らせて頂きます。

https://www.city.himeji.lg.jp/shisei/cmsfiles/contents/0000023/23672/fujii_chiaki_A4_s.pdf

なお、和歌山県立博物館の「きのくにの小浪華」展ですが、ニワカの文人画愛好家である弊方にはたいへん激萌えな展覧会でした。「きのくにの小浪華」展についても何とか note に投稿させて頂きたいと考えておる次第です。

さて、もし開催前から本展「生誕100年・最後の抒情画家 藤井千秋展」を存じ上げておりましたら、老化した脳を絞りひねってスケジュールに組み込めるのですが、突然本展の存在を把握することになり、どうやって本展にお伺いするかたいそう悩みました。

しかも、姫路市書写の里・美術工芸館にお伺いしたことがなく、経路や展示の規模にどれくらい時間を要するのか当たりをつけられないということで、なおさら悩みました。

頭のなかを無駄にグリグリして検討した結果、何とか他の予定の空き時間に組み込むことで、あまり余裕がない感じではあるものの仲夏の某週末に同展にお伺いすることといたしました。

ところで、姫路市書写の里・美術工芸館ってどの辺りに所在されているのでしょうか、ということで調べてみました。

書写の里というくらいですから、姫路の名刹、人呼んで「西の比叡山」、天台宗別格本山の「書寫山圓教寺」の所在する書写山の麓にあるのでは、と思いましたところ、確かにそうでした。書写山ロープウェイの山麓駅のすぐ近くでした。僭越ながら、姫路市書写の里・美術工芸館のリンクを張らせて頂きます。

ムダに歩くことを好む弊方としては、最寄りのJR駅から歩くことも一瞬考えたのですが、どう考えても時間的に無理なので、素直にバスを利用することにいたしました。

姫路市書写の里・美術工芸館ウェブサイトの「ご利用案内」に基づいて、JR姫路駅北口前のバスターミナル10番乗り場から、神姫バス8系統「書写山ロープウェイ」行に乗車しました。終点まで所要時間約25分、かなり距離がありましたね。

弊方の午後というか夕方の予定を考慮して、開館まもないくらいに間に合うように同館にお伺いいたしました。入口前の駐車場の看板ポスターを、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真を僭越ながら掲載させて頂きます。

さて、藤井千秋先生に関しては、河出書房新社から「らんぷの本」シリーズで『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』という書籍が発行されており、弊方、本書を購入していたつもりだったのです。

弊方は、迷っているときや遠方のミュージアムにお伺いするときなどでない限り、基本的に展覧会の予習はいたしません。お伺いして作品を見て初めて、おっさん激萌えを感じたいので、今回も予習するつもりはなく、購入したつもりの藤井千秋先生の書籍について事前に確認しませんでした。これが「失敗」でした。

さて、受付でチケットを購入して有料ゾーンに入ると、まず展示室Aでは、常設展として、華厳宗管長、東大寺別当、宝厳院長老を歴任され、書画陶芸の分野で活躍された清水公照先生の「泥仏」とよばれる作品群が、階段状の展示されておりました。この展示室Aは、階段状になっており、1階、中2階、2階とつながる大きな展示室でした。

展示室Aの中2階を奥に進むと展示室Bがあり、この展示室Bから藤井千秋先生の展覧会/企画展となっておりました。なお、通常は、展示室Bでも清水公照先生の作品が展示されている模様です。

展示室Bでは、まず、実業の日本社から発行されていた『少女の友』時代を中心とした作品や資料が展示されておりました。

この中2階の展示室Bからつづら折りのスロープを上がって2階の展示室Cに移動するのですが、このスロープでも藤井千秋先生の作品やプロフィールが展示されておりました。

藤井千秋先生は、岐阜県加茂郡白川町にお生れになり、京都市内でお育ちになり、生涯京都を離れることがなかったそうです。京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)の図案科に入学されたそうですが、学徒出陣されたそうです。その後、『少女の友』でデビューされてたいへんな人気を博することになったとのことでした。

へぇ、藤井千秋先生て美濃のご出身で京都に住んではったんや~、と思っていたのですが、このとき弊方、自分自身の違和感に気付くべきでした。

それはともかく、スロープ部分から展示室Cにかけて、小学館から発行されていた『女学生の友』時代を中心とした作品や資料が展示されておりました。なお、展示室Cでも通常は清水公照先生の作品が展示されているそうです。

展示室Cを出ると展示室Aの2階部分につながっており、ここでは、清水公照先生の作品だけでなく、姫路市内の美術工芸品が展示されておりました。

そして、この展示室Aの2階部分を通って反対側には企画展示室があり、この企画展示室では、「童画の世界」として、小学館や講談社などから発行されていた絵本や童話の本などの挿絵の作品群が展示されておりました。

なお、企画展示室の手前がフォトスポットとなっておりましたので、たいへん僭越ながら、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した、いまいちボケている写真を掲載させて頂きます。

企画展示室を出ると、トイレなどのスペースを介して工芸工房という、ワークショップが開催されている風のお部屋があり、ここでは千秋先生の作品は展示されておりませんでしたが、工芸工房前では、パネル展示のような感じで、千秋先生と吉永小百合先生とのご関係が紹介されておりました。

工芸工房のさらに奥には一般展示室があり、ここでは千秋先生デザインのグッズ類と晩年の作品群、愛用されていた画材類が展示されておりました。また、一般展示室内外では、愛知学泉大学の方が作成された再現衣裳が特別展示というかたちで展示されておりました。

千秋先生は40代のころから体調を崩されたそうで、しかも、その前後くらいの時期が少女マンガの勃興期にあたるそうでした。

少女マンガの勃興と隆盛により、千秋先生の活躍の場であった少女雑誌が次々と廃刊となり、千秋先生は半ば忘れ去られた存在になっておられたそうですが、それでも千秋先生は作品を制作し続けられたそうです。

展示されておりました晩年期の水彩画作品は、弊方の所感ですが、この令和の時代においても十分に評価され得る鮮烈さを放っていた思います。

また、空き瓶などに紙粘土で少女像を造型し、彩色した立体造形作品も展示されており、おっさん激萌えでした。確かご遺族に残された遺品だったかと記憶しております。出品作品リストには明確に掲載されていないようでしたので、メモしておくべきでした。

絶筆、といってよいのかわかりませんが、未完の遺作である「ゴンドラ」が、千秋先生の愛用画材とともに展示されておりました。1985年に62歳でお亡くなりになったとのことで、もし健康を害しておられなければ、平成に入って再び注目される機会があったのではないか、と弊方、妄想いたしました。

いずれにせよ、ムリヤリ時間を作って拝覧して甲斐が十二分にあり、たいへん満足したというか、本展を拝覧していなかったらたいそう後悔したであろうと思うほどに充実した展覧会/企画展でした。

さて、夕方の用事もあるので、1階に下りて売店を見ておりますと、グッズ類の販売だけでなく、「ランプの本」シリーズの『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』も販売されておりましたが、弊方すでに購入していたつもりでしたので、クリアファイル類を購入させて頂いて、同館を後にしたわけです。

なお、クリアファイルの中には千秋先生の晩年の作品も含まれておりましたので、そのうちの1作品を、僭越ながら弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真を掲載させて頂きます。

ちなみに、本展、混み合っているというほどではないにせよ、かなりのオーディエンスがおられました。また、弊方が同館を後にするときに入れ替わりに入ってこられた何人かのオーディエンスの方々が、もうチラシはないんですか、と受付の方に尋ねておられて、受付の方が申し訳なさそうに、もうないんです、とおっしゃっておられました。

弊方は、ありがたいことに和歌山県立博物館でチラシ(フライヤー)をゲット済だったのですが、やはり本展かなり人気であったらしく、かなり早い時期にチラシ(フライヤー)はなくなったようですね。

さて、弊方、帰宅して夕方の用事も済ませて、本展を「反芻」しようと思って、『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』を探したのですが、無い! 無い!! 無い!!! あれ?! なんでや?!?!

いや、ちょっと待てよ、もしかして最初から買ってなかった???

そうなんですわ、弊方購入してなかったんですわ。せやから、千秋先生が美濃のご出身であったことも、京都に住まれていたことも、晩年のことも知らんかったんですわ。購入済やったらバッチリ読んで覚えているはずやのに!!!

アホかーーー!!! 何をやっとんじゃーーー!!!

まぁ、仕方がないということで、一般の書店で『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』を購入しようと思って念のため、インターネットで調べてみたところ、「現在お取り扱いしておりません。」

マヂかぁーーー!!!

調べてみると発行は2014年ですので、それほど古くないと思うのですが、実質的には絶版状態の模様でした。

さらに調べてみると、『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』は、愛知県刈谷市の刈谷市立美術館で開催された展覧会の図録のような位置づけで発行された書籍のようでした。

飽くまで弊方が安直にインターネットを検索した限りですが、藤井千秋先生の展覧会として確認できたのは、次の通りでした。

(1)藤井千秋展「清らかな乙女たち~青春の輝き」
開催:弥生美術館(東京都文京区弥生)/2001年3月31日から7月1日まで

(2)爽やかに清らかにエレガントな抒情世界 藤井千秋展
開催:刈谷市美術館(愛知県刈谷市)/2014年9月20日から11月9日まで

(3)刈谷市美術館・アートシステム企画協力・藤井千秋展

(3-1)安曇野市制10周年記念 藤井千秋展~美術館はオトギノクニ~
開催:安曇野市豊科近代美術館(長野県安曇野市)/2015年4月25日から6月7日まで

(3-2)~輝き続ける少女の夢~ 藤井千秋の世界
開催:富山市民プラザ(富山県富山市)/2018年5月26日から7月8日まで

(3-3)姫路城世界遺産登録30周年記念 生誕100年・最後の抒情画家 藤井千秋展 《本展》
開催:姫路市書写の里・美術工芸館(兵庫県姫路市)/2023年4月15日から7月9日まで

(4)最後の抒情画家 生誕100年記念 藤井千秋展
開催:菊陽町図書館 少女雑誌の部屋(熊本県菊池郡菊陽町)/2023年5月18日から7月17日まで

このように、刈谷市立美術館で開催された「藤井千秋」展は、同美術館とアートシステムという企画会社? の企画協力により随時巡回している模様で、『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』は一般書籍としては絶版となっていても、巡回用の「図録」として在庫が確保されているように妄想されました。

そうすると、『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』を入手するためには、本展が開催中に、もう1回、姫路市書写の里・美術工芸館を訪問するしかない!!!

それでなくてもムリヤリ時間を作って訪問したのに、もう1回ムリヤリ時間を作って再訪するんか?! と弊方、自問自答しました。

弊方、新たなひらめきを求めて、偉大なるあばれはっちゃく先生のレッツシミュレーション! のごとく逆立ちして深く検討しようかと思いましたが、そこそこ高齢なので逆立ちはやめました。

得られた結論は、もう1回訪問しちゃうぞ!!! ということでした。

いろいろあった予定をこれまた強引に組み替えて、赤穂市立美術工芸館 田淵記念館において、2023年6月7日から8月7日まで開催されていた「長安義信vs.長安雅山~祖父と孫との対決~」展とハシゴすることにして、強引に2回目にお伺いいたしました。

地図で見ると赤穂市と姫路市は近いように見えますが、結構離れております。少なくともJR姫路駅から播州赤穂駅は30分はかかりますし、電車の本数も、昼間なら1時間に1本程度と多くありません。時間的には少々厳しい展覧会ハシゴにならざるをえませんでした。

再び神姫バスで姫路市書写の里・美術工芸館にお伺いして、売店で早速『藤井千秋 爽やかに清らかに。エレガントな抒情世界』をゲットしました。

ということで、ISBNは付与されているのですが、本投稿時点では実質的に絶版状態にあるということで、僭越ながら同書を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真を掲載させて頂きます。

さて、このとき、同館受付の方から、売店の利用だけでしたら入館チケットは不要ですよ、とお声がけ頂きました。

どうしましょう?! 1週間ほど前に拝見した展覧会をもう1回見ますか? 展示替えもないのに! 時間的に厳しく次の予定もあるのに!

見るに決まってまっしゃろ!!!

ということで、当然のごとくチケットを購入させて頂き、同じ展覧会/企画展をバッチリガッツリもう一度拝覧させて頂きました。

良い絵は何度見ても良い絵なのであり、萌える作品は繰り返し拝見しても萌えるのであるということを、僭越ながらいちヲタクとして申し上げさせて頂きたいと思います。

なお、前回投稿させて頂いた「赤穂市立美術工芸館 田淵記念館「赤穂ゆかりの日本画展」(-2024.3.4)」の中で、田淵記念館にお伺いするときに初めて神姫バスを利用させて頂いたというのは、こういう事情でした。僭越ながら前回の投稿についてリンクさせて頂きます。

もしかすると、今後もいずれかのミュージアムにおいて、刈谷市美術館・アートシステムの企画協力のもと、再び藤井千秋展が開催されるのではないか、と期待しております。お伺いできそうであれば、再びぜひお伺いしたいと弊方考えておる次第です。

なお、個人的には、熊本県菊池郡菊陽町で開催された「生誕100年記念 藤井千秋展」もメッチャ気になっております。会期が本展と重なっているので、刈谷市美術館・アートシステムの企画協力の展覧会/企画展ではないことは明らかであると思われるためです。

最後に、またクリアファイルの写真になりますが、弊方としては非常に珍しく、A4サイズではないA5サイズのクリアファイルを購入させて頂きましたので、これを弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影させて頂いたものを掲載させて頂きたいと思います。

このクリアファイルの一方には、千秋先生の童画作品「にんぎょひめ」が掲載されているのですが、千秋先生の描く人魚は非常にオリジナリティがあるとのことで、腰にヒレを持つ姿で描かれております。おっさんたいそう激萌えしましたので、恐れながら掲載させて頂きます。

・・・また長くなってしまいました。前回の田淵記念館は短くまとることができた(つもりやった)のに。たいへん申し訳ございません。

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