もう一度、異文化と向き合う。
「お!これだこれだ!うおおおお!」
柄にもなく1人の部屋ではしゃぐ。
黄色のアイコンがプチンとスマホのホーム画面に現れて、はしゃぎ回る私は28歳限界OL。
何を隠そう、今日私はカカオトークというものをインストールしたのである。
カカオトークといえば韓国。
ん??
韓国??
14億人の人民を抱える中華人民共和国じゃなくて?
そうです。
韓国です間違えないです。
ことの発端は、
この記事でも主役を務めた韓国人の男の子との出会い、、もありながら。
この記事を書いたあと、会社の部署異動で国際部門へ移動になり、なぜかひょんなことから韓国担当者になったことから話は始まる。
韓国、人口5000万人と少し。
首都、ソウル
これくらいの知識しかないくせに、つるんでる韓国人がオタクなせいで何故か歴代大統領の名前と韓国近代史はガッツリ頭に入ってるあまりにアンバランスな私の韓国知識。
それでも韓国からのEメールやチャットに返信する日々が始まり、
「ああ、このメールは映画の中で見たソウルの街のどこかのオフィスのビル群から届来てるのかあ」
と、考え始めると不思議な気持ちになった。
日本語を流暢に話す取引先の人たちや、彼のことを考えるにつけて。
いつまでも自分の文化圏から一歩も韓国側に踏み出せない自分がもどかしくて、米粒みたいな小さな一歩でも踏み出してみようと考えていそいそと書店に行って何冊かの初級の韓国語の教材とNHKラジオ講座のテキストも買ってきた。
1日15分。
韓国語への第一歩。
ハングルの仕組みと、簡単な挨拶と「はい」と「いいえ」
未知の街ソウルの空気とハングルのネオンサインを頭に浮かべながらひとりぼっちの部屋でラジオから流れてくる音声を大好きなお茶を飲みながら聞いていた。
なつかしい。
なんで懐かしいんだろう。
9年前。
19歳の私は、大学が始まった日。
初めての一人暮らしの夜、京都の下宿先のマンションの部屋でこうやってラジオで中国語の音声を聞いていた。
北京、上海、広州。
見たこともない美麗な都市を頭の中に思い描いて、新しい出会いや世界にぼんやりと思いを馳せた。
ドキドキしながら、中国のチャットアプリwechatをインストールして、怪しい中国人とやり取りをすることにワクワクした。
このメッセージは行ったこともない未知の中国の街から私のところに来てるんだ。
って、そんな他愛もないことでも心臓の鼓動は早まった。
近所の中華料理店で中国人の店員さんにドキドキしながら「おいしかったです」って中国語で話しかけた。「谢谢」って返事をされた時は嬉しくて涙が出そうだった。
そういう記憶たちが、カカオトークをインストールする数秒間の間にビー玉をバラバラと床にぶちまけたときのように鮮やかに鮮明に甦ってきて、
どうしようもない気分になった。
19歳で中国語に出会って、
21歳でこれに全てをかけようと決めて、
中国に対するどんな小さなことや些末なことにも感動して熱狂して追いかけた。
あんなに喜んでたwechatも今はもはや通知が来ると「うええ…なんだろう…こわいよお」なんて言って逃げ回ってるけど、
私と中国の間にも確かにこんなにキラキラとした砂糖菓子みたいな瞬間があったんだ。
今年は韓国にも中国にも出張に行くし、
私の人生はどんどんと異文化に押し流されて遠くへ、それでも着実に飛躍していっている。
ラジオで韓国語講座を聞き終わって興奮してインストールしたカカオトークにまだ友達は1人もいない。
でも、これから急速に浸かり切って、
韓国語や韓国での仕事を通してきっとカカオトークにも友達が増えていけばいいと思う。
そして最後は、カカオトークの通知を見て
「うげ…めんどくせえ…」って思うようになっていけばいいと思う。
未知なる都市ソウルから来るメールに今はまだ日本語や拙い英語でしか返事ができないけど、
いつの日か韓国語で返信できるように。
悠長なこと言ってる場合じゃない、
まあまあ切羽詰まってる、私と韓国。
私の人生における2度目の異文化との出会い。
今回もその甘さも苦さも思いきり味わい尽くして人生の糧にして行こう。
きっと私の人生はまだまだ面白くなるし、
退屈な瞬間なんてきっと訪れない。
昔、道端の占い師に「遠くへはいけない人生だ」と言われたけど、東アジアくらいは手中に収められるはずだ。
私のスマホに並んだ、
緑のwechatに黄色のカカオトーク。
いつだって私の手のひらの中にある異文化とのスピーディーな窓口。
アジアを舞台に思い切り泣いたり笑ったり、、、
いや。
やっぱりできれば涙は少なめにお願いしたい。
甘ったれ、崖っぷち、限界な28歳独身OLの旅はまだまだ始まったばかりなのである。
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