賢者の過去と現在(吉田健司/4years.編集後記)
大学スポーツ界の名将の半生や指導哲学を紹介する、4years.の連載企画「監督として生きる」。
昨年、大学バスケ界の名将として陸川章さん(東海大)と恩塚享さん(東京医療保健大)について書かせていただきましたが、今年は編集部のたってのリクエストで、筑波大男子部の吉田健司さんに取材を依頼しました。
筑波大はご存知の通り、昨年末のインカレ覇者。近年は、Bリーガーの輩出率もどんどん増加しています。
「筑波の吉田さん」と「東芝の吉田さん」を近づける
私より年配のバスケ関係者・ファンにとって、吉田さんは「筑波の吉田さん」というよりも「東芝の吉田さん」という認識だと思います。
一方で、若い世代にとっての吉田さんはあくまで「筑波の吉田さん」で、東芝(現在の川崎ブレイブサンダース)の選手で、監督で、ついには代表監督にまで上り詰めた方だということを知らない方も多い印象です。
今回の連載は、そういった若い方に、吉田さんがどのような道のりを歩み、どのような経験を積み、どのような思いで母校を指導しているかを知ってもらいたいというねらいを持って執筆しました。
といっても、私がバスケを本格的に見始めたのは、吉田さんが院生として筑波を指導し始めた2004年のこと。それ以前のことは、買い集めた月刊バスケットボールのバックナンバーでしか知りません。
池袋出身のシティボーイだということ、ケガで早く現役を離れたこと、未練を断ち切るように社業に専念したこと、マニアとも言える資料収集家であること、日本人おそらく唯一の第一回U17世界選手権の現地観戦者であること……。エピソードの1つひとつが初めてうかがうことばかりで、とても楽しかったです。
唯一無二の個性を持ち始めている部員たち
日本の未来を見据え、長身者のオールラウンダー化を推進する筑波大には、今後が楽しみな大型選手がたくさん在籍しています。個人的には、中学時代にやたらコーディネーション能力が高かった山口颯斗選手、超大型シューター候補の浅井修伍選手、木林優選手あたりが将来どんな選手になるかが楽しみです。
また、新たな筑波らしさになりつつある、"独自性の発露"も楽しみにしています。自らの意思をもってチームをよくしていこうとする部員たちが、どのようなアクションを起こしていくのか(4years.副編集長の松永さんが、その1つを取り上げられています)。
普通の進学校からプロ選手になった、卒業生の山本柊輔選手や大友隆太郎選手のように、既成概念に縛られず力を発揮できる選手たちの登場にも期待したいし、優秀な学生スタッフ陣たちの未来にも注目しています。
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今回の取材・執筆に際して、唯一の後悔があります。このようなご時世とあって、取材が対面でなくオンラインになったこと。研究室の壁を覆いつくすように並べられていた資料たちを、生で見てみたかったなあ。
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