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日記風小説:続々々・白
2022.3.2wed
いよいよお互い忙しい年度末。あなたのことがとても心配。立場的にも人柄的にも無理するのがオートメーションみたいなところがあるから、嫌だ。あなたの上司同僚全部呪いたくなる。ぼくの大切なひとを大切にしないひとは苦しんで死ねばいい。本当に。
2022.3.17thu
隔絶されてた頃、メールやLINEでやりとりしてたけど、あなたの脳は起きているようで寝ていたんだって最近確かめてる。あなたが覚えていないことは、何度でも話すよ。ひとつずつ確認していけばいい。だって隔絶されてたんだから。機械やネット回線で繋がれるわけないんだから。
2022.3.18fri
金曜日、あなたは病院へ行く。たくさん血液を採って、いろんな検査をするらしい。疲れるし具合も悪くなるから会えない。そういう日は僕はとても寝る。
2022.3.19sat
今日もあなたは本調子じゃないから会えない。美容院に行った。
2022.3.20sun
久しぶりにデートした。あなたがくれたピアスを付けた。職場で異動になるひとにプレゼントを買ったり、クリスマスぶりに外食したりした。あなたが食べられないものは僕が食べた。飲み物は半分こ。不謹慎だけどわかってるけど、嬉しかった。
2022.3.21mon
仕事で遅くなったから今日は会えない。でも昨日のデートを反芻する。僕とあなたは、これから食べ物や飲み物を半分こしていく。味の濃いものはあなたの体調を悪くするけどおいしいから、半分こ。それってとても、あなたに僕は必要で、ふたりで生きてるって感じ。
2022.3.25fri
今日もあなたは病院。僕は仕事を終わらせて、来週休みを取ることに成功した。人間ドックで精密検査を受けろっていう封筒がきてる。いつものことで、どうせ経過観察になるだけなんだけど。
2022.3.31thu
精密検査を受けた。いつものとおりの経過観察だった。伝えるまでもないよなと日常を過ごしていたらあなたが家に来た。嬉しくて驚いていたら、検査は、ときかれて、ありのまま伝えた。僕の目は歪んでいて、いつか失明するかもしれなくて、しないかもしれない。あなたは、そっか、と言った。
2022.4.1fri
わざわざなにもこんなエイプリルフールに言うことないのに。そう詰ったら、だって急いだ方がいいかなって思ったんだよ、とあなたははにかんだ。嬉しい、じゃなく、しあわせ、ってこういうことだとおもう。あなたと同じ家に暮らす。あなたと家族になる。そうしよう、とあなたが言って、僕が、うん、と言った。奇跡みたいな日は、こんなふうに日常に紛れて訪れるんだな。僕は今日を忘れられない。だって叶う日なんて来ないと思ってた。つねりすぎて、手の甲が赤くなってる。真っ白なバラのブーケが、本当に綺麗。ずっと綺麗。また泣きそう。(今日はちょっと長く書かずにはいられなかった。)