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成功者の教え #3 -自分を探す旅-

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最近何かしなきゃ。何か変化を起こさなきゃ。と焦っていますが、その焦りが今の仕事にも影響している気がします。

どうも集中していないというか、クオリティーが下がっているというか。上司が気が付かなきゃいいんですが。

今の仕事に影響が出ているのですか?

いや、影響が出ているほどではないですが、このままではいけないと思っています。

なるほど。

その焦りのせいか、夜は少し眠れません。ただ漠然と答えのないことをぐるぐる考えてしまって。。。
行き詰まっていてモチベーションが下がります。結局疲れ果てて寝てしまうんですけど。毎日こんな調子で自分が情けなくて。

眠れなくなるのは辛いところだね。それで、その気持ちをスッキリさせる方法は見つかったのかな?

いえ。見つかっていません。

そうですか。
普段はどんな時にモチベーションは上がったりするのかな?

そうですね。もちろん新しい契約が取れた時なんて上がりますよね。でも毎日とれるわけでもないですし、、、あとは、うまくいかなかったことがうまくいった時なんて最高ですよね。
やっとできたっ!みたいな。

わはは。そうだね。そういう時は気持ち良いだろうね。

では、何かしなきゃと焦ってはいるけど何をしたら良いかわからないなど、行き詰まっている時のアイディアについて、私から少し話してみようかね。

はい。ぜひよろしくお願いします!

息詰まっている時は、何か次の一手のヒントがあると良いのかもしれないね。

次の一手ですか?

そうだね。息詰まった時って、もうどうしたら良いか分からないといった感情になるよね。そんな時に、これをやれば少しは良くなるかもしれない。と思えたらどうだろう?

そうですね。少し良いかもしれませんが、次の一手なんてすぐ浮かばないですよね。浮かんでいるとすればこんなに悩まないです。

ふむ。そうだね。次の一手を見つけるには確かに時間がかかるかもしれない。
でも他人がとやかく言ってもその一手が本人にとってしっくりくる答えでなければ、次の一手にはならないものさ。だから、一手につながるヒントを自分で見つけなきゃいけないってことになる。

なるほどですね。でもそのヒントを見つけるって簡単なようで難しいです。どうしたら良いですか?

そうだね。私は息詰まった時は、よく書店に行ったものだ。

本屋さんですか?

そう。本屋さん。

え、なぜ本屋さんなんですか?ちょっとピンときません。

わはは。そうだね。それは失礼しました。
書店に行くとね、いろんなジャンルの本があるよね。昔からよく売れている本、最近販売した本、漫画もある。書店を歩き回って、気になる本を手に取ってみるんだ。何も考えずね。
それが次の一手かどうかなんて考える必要はないんだ。とにかく気になったものを手に取って、少し読んでみる。実はそれが今自分にとって気になっていることだったりするわけだ。それをしばらく読んで、途中から話が頭に入ってこなければその本は棚に戻せばいい。また歩き回って、気になる本があるかをみて回るんだ。

そうしているときに、不思議と自分の頭の中にひらめきがあったりすることがあるんだ。それが次の一手になったりする。

え、本当ですか?にわかに信じ難いです。
(次の一手の答えが欲しかったのに、、、本屋さんで答えが見つかるなんて到底思えない。なんなら本屋さんに行く時だってこれまでもあったし。うーん)

信じられないか。そうだね。そんなに簡単にできたなら苦労はしないだろうからね。
確かに、すぐに閃きがあるかどうかは分からない。だが、不思議と閃く時があるんだ。
私は書店で閃く瞬間がとにかく好きだ。手に取った本がその後の自分の重要な本になることもあるし、時にはこれは違った。ということもあるけどね。わはは。
さ、今日のところは私も戻らなくてはならない。また話したいことがあったらここでお話ししましょう。

あ、はい。ありがとうございました。

紳士に会いたくて待ちきれずこちらから押しかけて話したにも関わらず、嫌な顔もせずに親身に話をしてくれた。だが、紳士から聞いたことに納得できずちょっとした拒絶反応が出てしまっている自分に気がついて、なんて失礼な人間なんだ。と反省した。ただ、結局は出口が見えたような感覚は得られず、これまでと変わらない日々を過ごした。

あれからしばらく経って、ふと紳士の言葉を思い出した。あ、そういえば本屋さんに行けって言ってたな。きっとこれまでと何も変わらないかもしれないけど、、、とりあえず行ってみるか。

気になる本、、、あるかな。ふーん、独立した社長の本か。いいなぁ。社長憧れるわ。きっといい車乗ってるんだろうな。美味しいものだって食べるよな。僕は毎日600円でどうやってランチを食べるかの戦いだ。
はぁ。まるで天と地だな。社長になれたらどれだけ良いだろう。はぁ。これはちょっと違うのかな。気になったけど、違うと思ったらもう一度お店を回ってみろって言ってたもんな。
一旦本を戻して、回ってみるか。

おお!これは将来欲しいと思っていた車じゃないか。新型が出たのか。これで彼女とドライブや旅行に行けたらいいな、喜んでくれるかな。友達からもすげーなって言ってもらえそうだ・・・。
あれ?いかんいかん。趣味の本を見にきたわけじゃない。何やってんだ僕は。

おお!これ、欲しい!!

ほらやっぱり本屋に行ったって意味ないさ。というか、むしろ僕が欲しい車を乗っている人を見ると少し嫉妬してしまう気分さえ出てきた・・・。
あの紳士は何が言いたかったんだろう。

紳士とは会わない期間がしばらく続いた。どうも自分にはピンとくる答えではなかったから、また会いたいと思わなかった。会わないなら会わないで特に生活に変化もなく過ごしていた。
また寝るときになって、色々考えてしまった。そして、ふと紳士を思い出してしまった。

何も変化がない自分は紳士のせいだと言わんばかりの考え方だった。
(あの紳士は何が言いたかったのだろう。あの紳士が何を言いたかったのか、答え合わせがしたい!絶対答えを教えてもらうぞ。次の休みの時にあのカフェに行ってみるか。)

前回と同様にカフェに行って紳士を探した。キョロキョロ見渡してもいない。くそぉ。何でいないんだ。肩を落としてソファに座った。すると後ろからトントンと肩をたたかれた。

振り返ると紳士が立っていた。

いやぁ、久しぶりだね。元気だったかな?

何だろう。紳士の顔見たらなんだか安心した。長らく待っていた人に再会できたかのようだ。

ご無沙汰しています。あれからすっかり時間が経ちました。私なりに試したり考えたりしてみたのですが、答えが見つからないというかスッキリしないというか。。。
この間教えていただいた通り、本屋さんに行ったのですが、何もヒントがなくて。何が間違っているのか、どうしたらいいのか、答え合わせがしたくてきました。

そうかい。スッキリしなかったか。ところで、書店に行って何か感じたことや気づいたことはあったのかな?

あ、はい。感じたというか、嫉妬したというか。好きな車の本を見て、買うのには程遠いな・・・って落胆して帰りました。

好きな車を買えない自分にがっかりしたのかな?

はい。買えなくはないのですが、無理して買わなきゃいけない感じです。

そっか。買えなくはないんだね。なのに何がスッキリしないのかい?

だって、結婚を考えている彼女とのことを考えると、これからたくさんお金かかるじゃないですか。好きな車なんて後回しですよ。余裕がなくなります。こんな平凡な自分にがっかりなんですよ。
本屋さんにあるような社長みたいになれたら僕が欲しい車なんて簡単に買えるんだろうなー。なんて考えたらさらに自分を追い込む感じになってしまって。。。

そうか。ではどうしたらその気持ちが良くなるのかな?

そりゃぁ、社長みたいになって、自分の好きな車がゆとりを持って買えるようになれば、彼女も喜ぶし、自分も大満足ですね。夢のような話ですけどね。

どうやら書店で見た本のようになったら嬉しいけど、それが遠い夢のようでがっかりした。ということかな?

はい。そうです。
(だからそう言ってるじゃないか!)

では、それを目指さないのかな?

へ?いや、それは難しくないですか?だって、平凡な会社員ですよ。無理です無理です。。。

平凡な会社員でいることを受け入れている。ということなのかな?

そうは言ってません!難しい。と言っているのです。
(この人、僕の気持ちなんだと思ってるんだ??)

そうでしたか。では夢を目指さないのですか?

そ、それは、、、

それ以降脳が停止してしまった。全身からはムッとしている雰囲気が出ているのを隠しきれなかった。

それを察したかのように、ああ。約束の時間だ。今日はこちらで失礼するよ。また会いましょう。と言って席を立った。

しばらく僕は放心状態になった。答え合わせをしにきたはずなのに、頭を何かで殴られて何も考えられない状態になったかのようだった。完全に思考が停止してしまった。

その日、カフェからどうやって自宅に戻ったかなんて覚えていない。気がついたらベットの上で朝になっていた。
(あの紳士、何を言ったんだ?夢を目指さないのは何故か?と言ったかな。)

くそ!そんなの分かってる。でもできないんだよ。できるならもうやってるはずだ!!
はぁ、、、相談なんかしなきゃよかった。あの紳士に僕の気持ちなんかわかってもらえるはずないさ。そう、僕はあの紳士と住む世界が違うからね。さぁ気持ちを切り替えて仕事に行くか。

こうして今まで通りの仕事をする毎日だった。

今日は仕事が終わったら彼女と食事をする日だったな。あともう少しで仕事も終わるから、一気に片付けちゃおう!

仕事を終わらせて待ち合わせの場所へ向かった。

次号へ続く




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