AWESOME Choices Issue no.017 研究者の姿に憧れたことがきっかけで研究職の道を選び、出産を経てこれからの道を探索中というキャリア
あやねさん
現在は製薬メーカーの安全性研究部門でお仕事をされているとのことですが、高校・大学時代の進路選択の時のお話について聞かせてください
父と祖父が理系職であったため、私にとって理系は自然な選択でした。父は大学で土木を学んだのち、道路会社の研究所で働いており、祖父は中学校の理科の先生でした。また母も割と日常をよく観察しては少しずつ改善するような理系気質だったと思います。また高校の環境に恵まれていたことも大きかったと思います。大学の先生から生物学の出張授業を受ける機会があったり、醤油メーカーの研究所に職業体験をさせてもらったりしたことで、なんだかかっこよくて、面白そうな世界だなと思っていました。
一方で、昔から絵を描くことが好きで、芸術系の道も頭にありました。しかし、進路として選ぶほど自信もなく、親からの賛同も得られなかったため、最終的に理系に進むことにしました。今思えば、もう少し悩んだり、努力してみればよかったかなあと思うこともあります。
大学で農学部を選んだ理由について教えてください
もともと生物の授業が好きだったのと地球温暖化の問題に興味があったからです。また、農学部なら国立大学でも苦手な数学ⅢCが不要と知って、飛びつきました。さらに、筑波大学には高校の評定が一定以上の人が受けられる公募推薦入試がありました。高校2年生の途中からは公募推薦を受けることを目標に学校のテスト勉強を頑張り、なんとか公募推薦で合格することができました。ちなみに試験内容は小論文と面接でした。
現在のお仕事を選ばれた理由について教えてください
就職活動が始まってからも私は何になりたいかわからず、悩みながら活動をしていました。ただ大学・大学院時代に、研究室以外の研究者の方の話を聞く機会をたくさん頂いたことで、研究職への憧れを強く持っていました。自分の研究内容やビジョンを語る研究者の目や表情は輝いていて、話も上手で面白いんです。そういう方たちに憧れて、職業としての研究職に就きたいと思い、今の仕事に辿り着きました。
もともと大学時代は微生物を扱っていたので、抗菌薬をつくる部署を志望していたのですが、実際はまったく異なる分野の部署への配属が決まっていました。大学での研究室時代にも、未経験の実験でも、自分がやりたい実験は、別のラボの実験機器をお借りしてでも取り組んだことがありました。そんな私のチャレンジ精神を評価していただけたのかなと、プラスに解釈しています。安全性の仕事はそれまで知らなかったので、最初は騙されたような気持ちになっていましたが、結果的にやりがいのある仕事に出会えたのでラッキーだったと思っています。
お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じたことがあれば、是非教えてください
日々の仕事が実験やそれに関連するものばかりなので、あまり意識したことはないです。ただ会社に入ってからの仕事は、大学時代のように個人でテーマを持つというよりは、プロジェクトを進める上で必要な実験業務を行うことが多いのですが、そんな中でも、コツコツ取ったデータを学会で発表する機会に繋げられたときは、研究が出来たという実感があり、嬉しかったです。
最後に、これからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言メッセージをお願いします。
まだ私自身もいろいろと模索しながら自らのキャリアを探っているところです。やりたいことがある、というのは素晴らしいことだと思います。あまり先のことは心配しすぎずに、是非その道を目指してほしいです。
私はやりたいことがぼんやりしている中でも、希望する農学部へ進み、研究職という憧れの職業に就けて、本当にラッキーだったなと思っています。それでも、年次が上がるにつれて、仕事を楽しめなかったり、辛いと感じることがあることも正直ありました。
昨年子どもを出産し、これから復帰するというところです。思っていた以上に子供は可愛く、子育てが楽しいということもあり、復職後に子育てに時間を充てられるのだろうか、仕事を楽しめるだろうか、いっそ別の仕事にチャレンジしてみてもいいのではないか、などと思いを巡らせています。まだまだそのイメージはぼんやりとしている状態です。だからといって、これまでのキャリアを後悔しているわけではありません。それはその時その時、望む道に挑戦することができたからだと思います。また「自分は女性だから」という視点でキャリアを考えたことも、これまでありませんでした。幸い、農学部は女性が多いですし、今の会社の部署も比較的女性が多いので、特段肩身の狭い思いをしたこともありませんでした。
それでも以前は、そもそも結婚できるのか、子供を授かれるのかで悩んでいた時期がありました。人生、どうにもならないこともあるし、他人が羨ましくなることもあります。せめて自分で道を選べる時は、挑戦したいと思っています。
最後に
これまでの経験だけでなく、これからのキャリアの探索について率直な言葉でお話を聞かせていただきありがとうございました。先日エンジニア向けキャリアセミナーでの会話の中で、「大学の専門とは異なる仕事だが、理系で培ってきた基礎となる部分や、自分の特性が今の仕事で活かせている」という話を耳にしたことを思い出しました。
子供を持つことは、人生の中で大きなライフイベントだと思います。仕事に対する視点が変わるのは、長いキャリアで見たときに新たな面を開拓できる大きなチャンスだと私は思っています。あやねさんの探索の先にあるキャリアと更なる活躍を応援しています!貴重なお話、ありがとうございました。
あとがき
いかがでしたか?
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