真夜中の稲妻
誰しもクライミングを好きになり経験を積んで行くと登りたい課題と出会うだろう。
一つは既に登った瑞牆山にある「阿修羅」という日本では「忍者返し」と並び有名な課題。
そしてもう一つの憧れの課題は、おそらく世界で最も有名なボルダープロブレムであるヨセミテ渓谷にあるMidnight Lightning。
CAMP4に佇む、Columbia Boulderに引かれたラインMidnight Lightning V8(1978年 Ron Kauk FA)
ハイボルダー、ダイナミックなムーブ、テクニカルなマントル、苔むしったスラブと内容満載のライン。
大好きなフィルム「VALLEY UPRISING」で John Bacharが登る姿は印象的だった。
調べていくと色々な歴史があり改めてここはクライミングのムーブメントが生まれた場所なんだと実感。
昔から続く面白い風習がこのラインにはあり、登ったクライマーはその稲妻マークにチョークでなぞり描き完登を祝福されるのだ。
Support Climberの川畑 イサムが完登し稲妻をなぞる。
日本では昨今チョーク痕問題という深刻な問題がある。エリアによって統制されていないが登ってついたチョークは去り際に綺麗にして帰ろうというルールがあり、それを一部のクライマーが過度にチョークをつけそれをそのままにして帰ることが問題視されている。確かにチョークがべったりの岩は美しくない。日本の岩場では楽しく登った後は綺麗にして帰るが基本ルールだし自分もそうしている。何より登っている時のブラッシングは集中することや時間を置くことができ自分の中でのリラックスできるワンシーンだからだ。実際綺麗にするのは気持ちが良い。
だけどアメリカっぽいゆるいスタイルも心地が良い。課題にアイコニックなロゴをチョークで描きそれが何世代も続いているストーリーが大好きだ。実際に世界で一番有名になっているのも納得がいく。
日本で課題にチョークでイラストが描いてあったらきっと即大問題だろう。
一度は消されてしまった稲妻マークもその後に登られた多くのクライマーによってまた今は復活しアイコニックなマークは
今もクライマーたちの憧れとなっている。
自分はまだ登れていないがいつか登れることを夢見てヨセミテに行くことを待ち焦がれている。
AWESOME CLIMBING EQUIPMENT
NAGAYAMA
Photo:SHINPEI KOSEKI