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「『プラットフォーム資本主義を解読する』を解読する」についていくつか①

 10/1(日)京都伏見「絵本のこたち」にて、スナック社会科meets絵本のこたち#02「『プラットフォーム資本主義を解読する(以下プラ解または本書)』を解読する」を開催致します!

 プラ解、3回読んだけど本当に面白くて、当日は未読の方でも問題ないようにお話しようと思っておりますが、この面白さを経済学やメディア情報学などの先生や学生さんだけのものにしておくのがとても勿体なく、誰にもフックになることが散りばめられているし、何よりもう否応なしに常時接続の世界を生きる我々が、それはどういうことであるのかを知らないでいるのは恐ろしいことでもあり、大人として無責任でもあるとの思いから、まったくアカデミア外の本共同企画でやる意義はあると思いました。

 この書籍はどんな内容であるかを述べるまえがきに始まり、プラットフォーム資本主義とはなにか?という第一章が続き、この後続く各章は、「就活」「労働」「アルゴリズム」「ギャルの自撮り文化」「人種化」と資本側、ユーザー側、とりまく環境、と視点を変えながらそれぞれの筆者の専門を生かしたものになっており、経済学と社会学、メディア論、環境や生活…それらを架橋する作りになっているので、頭さえ読めば、どこからどういう順で読んでも楽しめるものになっていると思います。

↑こちらのオオバ氏の感想がまさに!という内容で、本書を未読の方はこちらをまずお読みいただいても良いかもです。
 読了した方に「何章ぐっと来た?」って聞いて回りたいほど、上記オオバ氏の文章にもあるとおり、その人それぞれの問題意識や興味などが反映されると思うので、沢山の人に読んでいただいて、あちこちでそんな話をしたくなる一冊でもあります。

 で、今回は直前ではありますが、私が本書を読んでいて過去に読んでいたものが参考になったり、思い出したりしたものがあったので書き連ねてみようと思いました。研究者の人が引用する文献とは全く違うと思いますので、そこも誰かのなにかのフックになれば。

 まずはこちら、起業家で作家というアンドリュー・キーン著「インターネットは自由を奪う〜無料という落とし穴」(2017年)、原題は「Internet Is Not Answer」現在はハヤカワ文庫から「ネット階級社会──GAFAが牛耳る新世界のルール」という書名で文庫化されています。(ちょっとださい)
 もうこれも6年前なのか、と思うけど、この中でキーン氏が訴えている問題はいくつもあるのですが、既にこの時に「ユーザーは使うことで搾取される」ということを強く訴えており、また世代がちょっと上の方なのでインターネットに希望があった黎明期を生きてきているので、当時の企業名や人名が具体的にバンバン出てきて、ハードを作っている会社からシステムやソフト(アプリ)を作る会社へと資本や力が移動しつつある今から少し前の時代のことを知ることが出来、日本からだと分かりづらい、かつてのインターネットがプラットフォーム資本主義に辿りつくまでを繋げてくれる一冊だと思います。
 こちらを読んだときも危機感を感じましたが、数年を経て今回プラ解を読み、あれがあのまま既定路線としてここまで進みプレイヤーも完全に入れ替わったんだなあと思いました。

echoユーザーは(略)さながらキマイラのように『消費者』『労働者』『資源』『製品』からなる混成的な対象と捉えられる

Chapter10 プラットフォーム資本主義の光景と新封建主義の傾向 p142 水嶋

と本書にもあるとおり、もう現在は、ただのユーザーではいられない状況であることを6年前に(取材、執筆時期を考えたらその前から)突っ込んだ取材をされているのは今読んでも凄いと思う。

 アンドリュー・ロス・ソーキン著「リーマンショックコンフィデンシャル」上下(2014年)ハヤカワNF文庫
 もうそんなに経つか〜と思うけど、日本からはとても分かりづらかった「リーマンショック」について、各関係者・関係機関・各国政府の対応が実名で書かれており、時系列で何が発端で、誰が逃げて誰が逃げられなかったかが手に汗握りながら読み進めていくうちに分かるルポ。
プラ解に絡む部分はそんなにありませんが、認知資本主義※から派生したものに「金融化」があり、今の日本政府は周回遅れを何周も遅れて、この当時のような金融化(投資の活発化)を日本でしようとしているので、この大きな失敗の歴史は読んでおくと、プラ解と同じく山本泰三氏が編著の「認知資本主義」を読む際にも参考になると思います。

とりあえず今日は病院でクタクタだったので、また明日続きを書きます。おやすみなさい。

※認知資本主義
旧来の資本主義(大量生産・大量消費)が行き詰まった後に生まれた従来の「モノ」という商品のやり取りではなく、人間そのものやその知識、情報、コミュニケーション力が商品や無形資産になること(金融化も一側面)。

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