休日オフモードの一日
久々にやることのない土日だ。こういう日には何かを頑張るときと頑張らないときがある。今週は仕事で色々あったので、頑張らないモードでいこう。
のんびりあんまんを食べ、ユーチューブで生き物系の動画をのぞいてから、予約していた美容室へ。
今日は疲れているから完全オフモードだ。なので服はいつものフリース。僕の場合、オフモードになると見知らぬ人とまともに話せなくなる。そして人と話すモードの起動には30分かかる。
でも大丈夫。この地に来てから1年になろうとしている。この美容室にもなじんだ。おしゃれなお兄さんにお酒の好きなお姉さん。人となりがわかっているから、オフモードでも大丈夫だ。
さて何を話そうか、そんなことを考えながら扉を開ける。
「こんにち……ァ」
発した挨拶がしぼんだ。そこにいたのは知らないおばさん。
でもどこかで見たことある見た目だ。そうだ、「ワタシってサバサバしてるから」のあの人。太い感じがそっくりだ。
挨拶の返事も返ってこず、ただ「席へどうぞ」と無機質に案内される。
笑顔一つなく、明らかにこの店の道具に手慣れていない感じで不安が募っていく。
散髪が始まった。
突然頭をぐっと押される。
「頭倒してください」
頭押す前に言ってよ。
『フルメタル・パニック!』で宗助がはじめて床屋に行ったとき、お店の人に無防備に首をさらすことに緊張しているときの気持ちがわかった。
結局、一言もしゃべれんかった。
最近仕事以外のコミュニケーションがうまくいかないことが多い気がする。考えすぎだろうか。
頭をぶんぶん振って忘れよう。そのままスーパーへ。
チラシにあった100グラム98円の鶏もも、2割引きのヨーグルト、そして大葉をかごへ入れる。今日は時間があるので鶏ももの大葉包み揚げをしてやろうという魂胆だ。
袋が重いと何かやり遂げた気持ちになれてお得だ。財布は軽くなってるけどね。
家に帰り昼食。塩ラーメンを作り、そこに鶏白湯鍋のあまりをぐしゃーっとのせたら絶品ができあがった。
こうやって余り物をうまくいかすと生活力が上がった感じがしてとても心にいい。
ぐだぐだしたあとはいつものランニングへ。川沿いを走っていると、桜が赤色に染まり紅葉顔負けの存在感を放っていた。そういえば桜って秋にちゃんと見たことない。
左の腿がわずかに怪しかったので、無理ないペースで12キロ走って終わり。
末端の冷えを抱えたまま帰宅し、すぐに風呂を沸かす。入ろうとしたら熱湯ができあがっていて慌てて冷ます。
冷えたときはいまだに指先の温度センサの精度がつかめず、いい気温で沸かせないときがある。これもいつか慣れるかな。
風呂を上がるともう日が落ち始めている。さあ夕食の準備を始めよう。鶏肉を10等分し、これを大葉にくるんでいく。なぜか大葉が1枚余った。数えると、1, 2, …, 11枚。
「10枚入りの大葉 中身は11枚」
こういうニュースだけ見ていたい。ほっこりした。
次はバッター液を作ろう。容量通りに入れると、なぜか生地のように固いものができあがった。レシピ通りなので明らかにレシピの間違いだ。本はいつも正しいと思いがちだが、そんなことはないのだと改めてはっとする。
水を1.8倍ぐらい足したらそれっぽくなった。
さっそく揚げていく。揚げ物は経験が少ないのでまだわからないことが多い。本の写真にある色を参考に揚げていく。
「うおっ」
口元まで油が襲撃してきた。慌てて買っておいたオイルスクリーンを置く。3カ月前に買ったけど活躍するのは今日が初めてだ。頼んだぞ新人。
こうして無事揚げ物ができた。
できあがったものはとてもおいしかった。というか、大葉を食べたくて忘れていたけど、今日作ったものってほぼ唐揚げだ。唐揚げの時点でおいしいに決まっている。
揚げ物を食べ終わると、こんなおいしくできるのだからまた作りたいという思いと片づけるのが面倒だから当分はいいかなという思いがレスリングを始める。
片づけは手袋+高温のお湯+洗剤ケチらない戦法で意外とスムーズにできた。また今度やろう。
夜に何かしようかとも思ったが、走った疲れが出て眠気に負けたので10時台に布団にもぐった。