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「風が吹けば桶屋が儲かる」~システム思考のすすめ~ (38/365)

「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざをご存知だと思います。直接の因果関係がなさそうな事象もよく観察すると間接的な連鎖で結ばれていることもある、という意味と理解しています。

諸説ありますが、以下のような解釈がよく知られています。

風が吹く
⇒すると埃が舞う
⇒すると目が不自由な人が増える
⇒すると三味線を生業とする人が増える
⇒すると三味線が売れるようになる
⇒すると三味線のために猫の皮が必要になる
⇒すると猫の数が減る
⇒すると逆に鼠の数が増える
⇒すると鼠が桶をかじるので、桶の需要が増える
⇒すると桶屋が儲かる

これは、実際に起きたことを説明しているのではなくて、間接的な因果関係の連鎖で思わぬことが起きるという例えです。図に示すとこう。

風と桶屋の間接的因果関係(因果関係の連鎖)

桶屋の例はたとえ話としても、世の中は間接的因果関係であふれかえっています。そして、それらがさらに入り組んで複雑な連鎖が生まれています。一見よいことが巡り巡って悪いとこにつながることもありますし、その逆もあります。

ある問題に対して対策を施していたつもりだったのに、実は対策すべきことは別にあった、など。それならいい方で、かえって悪化させてしまうこともあります。そう言われてみれば思い当たることもあるのではないでしょうか?

このような事実に着目して、様々な現象の原因と結果の関係をできるだけ見える化して、課題解決の糸口を探ろうというのが、「システム思考」です。

もちろんすべての要因をもれなく調べることはできませんが、時間を使って考え得る原因と結果の連鎖を視覚化しその関係性を俯瞰する「システム思考」の考え方はとても有益です。

先ほどの桶屋のたとえ話は単純な直線的因果の連鎖でしたが、実際の因果関係はもっと複雑です。

① 1つの要因が2つ以上の結果を生んだり(分岐)、
② 結果が表れるのに時間がかかったり(遅延)、
③ 結果が循環して元の原因を強化したり(ループ)

したりします。特に③のループが曲者で、いわゆる「好循環」が作り出せればよいのですが、「悪循環」の強化ループが存在すると、やればやるほど事態が悪化することになります。この場合は、「悪循環」「好循環」に変える対策や、そもそもループを切れないか?などが取り組みのポイントになります。

しかし、ほとんどの人は、「風⇒桶屋」という不可思議な「因果関係」に翻弄されて的外れな対策を施しているように思えます。特に、経営戦略や行政など長期目線が必要な取り組みで誤りが多く見られるようです。

これは、変化のスピードが速くなり、即効性のある対策を求めたり、「原因・結果の法則」の表面的な理解により、「この結果にはかならず直接原因があるはずだ」といって、「風⇒桶屋」のような不可思議な「因果関係」に固執したりすることも関係しているように思います。

それが、結局固定観念を産み、行動を形骸化させる。「パラダイム」の問題につながります。固定観念の打破、パラダイムシフトを進めるにも、「システム思考」は重要な道具になり得ます。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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