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杉並から始まる新世代選挙の試み「ボートマッチ」

久しぶりに杉並区の名を全国ニュースで見ました。

そう、「区の選挙管理委員会が、有権者が選挙行かないor顔がいいからとか適当な理由で選んじゃう問題について、有権者と候補者をマッチングする仕組みを導入してみようとしたら国から止められた件」についてです。
(要素が多すぎてラノベのサブタイっぽくなってしまう…)

完全に保身のためのお断りですが、この杉並区の選管が行おうとしたボートマッチ事業についての是非は僕がどうこういう話ではないので、この投稿は「現在の選挙啓発の限界に対する新たな試み」についての投稿です。
今も杉並区に籍を置いている者としては直接の言及だとめっちゃ怒られる可能性があるのでね(´;ω;`)


さて、今回の杉並区の顛末を時系列で表すとこんな感じでしょうか。
※きっともっと水面下とかで色々動きがあったんでしょうが

2022年11月あたり:投票率アップのための施策として、候補者全員参加の討論会のインターネット配信を構想→予算高い、候補者多すぎで断念
2023年1月:10〜70代の区民12人で構成する「投票率アップ企画委員会」を設置
2月14日:総務省から「公職選挙法に抵触すると認められる恐れがある」
2月15日:杉並区選挙管理委員会が中止の決定
2月19日:候補者説明会で質問案の提示予定
4月17日:事業開始予定日
4月23日:区議会議員選挙予定日

そもそもボートマッチとはなんぞや、ですがざっくり以下の通り。

①候補者が各種質問に答える→一覧化
②有権者が①と同じ質問に答える
③①の一覧の中で、②の回答内容と近い候補者が分かる

※③については、近しい候補者を抽出するパターンと一覧全員を表示して一致度を比較するパターンがあるらしいですね。

言葉だけだと分かりづらいので、各社が行っているボートマッチサービスを並べてみます。ちょっと触ってみると「はぁ、なるほど」って感じ。

■天下のNHK様

■読売新聞様

■毎日新聞様


ABEMAでも取り上げられていましたが、今回の問題点(というか論点)は

①投票率の低下に歯止めをかける必要があるか
②そのための施策としてボートマッチのような試みは適切か
③適切であるとして、「誰がやるべきか」「どうやるべきか」

とかその辺りだと思います。

今回の事例は杉並区選管の取り組みが話題になりましたが、こと今回浮き彫りになった論点で言えば、
①投票率の低下に歯止めをかける必要があるか
これはあまり議論されていないように思います。
「まぁそりゃそうだよね」くらいな感じでしょうか。

個人的にはここについてもちゃんと議論すべきだと思いますが、今回の件ではより争点になった
②そのための施策としてボートマッチのような試みは適切か

③適切であるとして、「誰がやるべきか」「どうやるべきか」

このことについて、東京都や総務省が全く言及していない(もしくはしてるけど報道が全く触れない)という点の方が問題なんじゃないかと。

僕自身、青臭い大学生だった頃、

投票率は向上すべき!
諸外国に倣って部分的に義務化したらどうか

などと黒歴史みたいな主張をして、某弁論部でフルボッコ(言葉でね)にされた苦い経験があります。

それはそれとしても、

・投票率が低いままでは「日本は民主主義国家です」という前提の制度が揺らいでしまうから良くないよね
・でも「80人の候補者の中から自分の考えに合ったような人を1人選びなさい」とか無理ゲーだよね
・わざわざ、紙に個人の名前を書いて箱に入れるとかいう超アナログ儀式のために休みの日に出かけたくないよね
・頑張って広報やCMに費用出しても投票率上がらないよね
・若者選挙行かないよね

という事実に対しては、誰も答えを出せていないのが現状です。

それに対するアンチテーゼとして、何か新しい取り組みを、という姿勢は当然評価されるべきだと思いますが、それが「議会と首長の対立」とか「民間がやってるのは知らんけど、公務員がやったら公職選挙法違反になりかねないで」とかいう杓子定規な見解だけでお蔵入りになるのは、イチ有権者としてもったいないなーと感じます。

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