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公務員と災害 vol.4

公務員も「市民」であり「被災者」である

僕が南相馬市を訪れるまでもなく、当然のことですが、災害(特に地震や水害)は広範囲の人々に分け隔てなくダメージを与えます。
それこそ職業にも左右されず、否応なく。

震災当日から僕が初めて南三陸町へボランティアに訪れるまで、少なくとも半年は経っています。杉並で数日間役所に缶詰になるのとは比較にならないほど長く続く災害対応というものを目の当たりにして、公務員として災害に接するとはどういうことなのか、改めて思い知らされました。
それと同時に「この人たちは家に帰っているんだろうか」「家族と会えているんだろうか」という疑問がふっと心に浮かびました。
それこそが、この話の結論(というか現在進行形の課題)として、関わりを持っていこうとしている「アスミー」の活動につながります。

阪神淡路大震災から中越・中越沖、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震などを数多くの巨大地震を経て、日本では様々な対策がとられるようになりました。
※例えば被災自治体の復旧費用軽減などにつながる災害救助法の適用について、昨年の法改正で”災害発生前”に適用することが可能となっていましたが、今回の令和4年台風14号で初めて適用されています。

そのほか、「災害弱者」という言葉が広く知れ渡るなど、それまで目が行き届かなかった”支援のスキマ”を埋めるように、より細かな対応がなされるようになりました。
ただ、南三陸で感じた「公務員(に代表される災害時に復旧業務を担う人々)の家や家族は誰がサポートするんだろうか」ということについては、あまり議論にのぼりません。

被災地の公務員は当然被災者であり、その家族もまた同じ。
冒頭に書いたとおり、「それまで平和な日常に暮らしていたのに理不尽に生活が一変する」ことは誰にとっても同じことです。
「公務員は市民の為に働く」のはその通りでしょう。全くもって正しい原理原則だと思います。
ただ、公務員も市民であり1人の人間であることに変わりはありません。

「大規模な災害が起きたらまず安全を確保の上、すぐさま登庁し緊急対応にあたる」ことが求められる公務員にとって、家族や家の被災状況は「取り急ぎ確認するもの」ではあれど、一度登庁したらいつ帰れるか分からないということもザラにあります。

もちろんこれは公務員に限った話ではなく、業種を問わず災害復旧に携わる人にはある程度通底する話だとは思いますが、こと公務員に限っては、普段から「公平公正」「滅私奉公」といったイメージがついて回ることで、より根深い問題になっているのでは、というのが僕の(そしてアスミーという団体の)課題意識です。

続く(次回は実際の初動マニュアルとかを取り上げてみようと思います)

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