帰化選手獲得・申請の手引き⑤(日本語能力)
帰化選手獲得・申請の手引き③において、「帰化許可を見込み」選手契約をした場合、最低限次の内容は確認しておいた方が良い事を明記しました。
①選手の出入国記録(直近五年間で90日以上、続けて出国歴がない事。)
②過去五年間の交通違反歴。
③日本語能力。
本日は③日本語能力について説明します。
帰化許可に必要な日本語能力の目安として、「日常生活に支障のない程度の日本語能力を有するなど、日本社会に融和していること。」とされています。
法務局からは、小学校二年生程度の国語力が必要と説明を受けていますが、個人的な感触として小学校二年生レベルであれば、市販のテキスト100点満点レベルが求められます。
できれば、小学校三年生レベルの勉強まで踏み込みたいところではあります。
以前は日本語能力試験N2を取得していれば、法務局の評価も高かったのですが、現在はN2でもそれ程の評価はなく、N1を取得していれば多少評価といった印象です。
N1、N2試験とも選択問題が多い為「書く力」が身に付けにくい傾向にあります。
帰化申請に向けた日本語の勉強では「小学一年生のテキスト」「小学二年生のテキスト」などで勉強して、ひらがな、カタカナ、漢字の「書く力」を身に付けた方が効率的です。
また、小学二年生レベルの勉強の他に、面接でよく出てくる単語は覚えておきたいところです。※次回掲載します。
では、日本語能力はいつテストがあるのか?
実は法務局に足を運んだ、初日の法務局担当者との面談からスタートしています。
法務局担当者との会話で意思疎通に問題があれば、それが記録として残ります。
また、初回の法務局への予約ですが、通常ですと私達、行政書士が選手の代わりに予約できるのですが、一部の法務局では代理での予約が認められていません。
いわゆる、選手ご本人から電話をして予約をするといった法務局もあります。電話予約の中で法務局担当者から、いくつか質問をされますが、その時点で意思疎通ができなければ、帰化申請の受付まで辿り着けないといったケースもあります。
最近では初回の法務局の面談で、日本語テスト(プレテスト)をする法務局が増えて来ました。初日の日本語テスト(プレテスト)をクリアしませんと、次のステップに進めず申請の受付をしてくれない法務局もあります。
その為、日本語の勉強は申請前に十分に準備をしておく必要があります。
テストでは筆記試験も行われます。
出題された漢字を「ひらがな」「カタカナ」にするといった問題や、「昨日は何をしていたか書いてください。」「あなたの趣味について書いてください。」といった、短い文章を書くテスト、更に文章理解のテストや漢字をいくつか並べて、これらの漢字を全て「音読み」で書いてくださいといったテストなど、出題形式は様々です。
特に筆記では正確な文字での回答が必要ですので、予想以上にハードルが高いです。
特に注意が必要な内容です。
①ひらがな、カタカナの大文字、小文字の使い分け
⭕️バスケット
❌バスケツト
⭕️びっくり
❌びつくり
②⭕️バッシュ
❌バッツュのように「ツ」と「シ」など、似ているカタカナの使い分け。
③⭕️タクシー
❌タクシィ
⭕️バスケットボール
❌バスケットボウルなど「ー」を使用したカタカナの書き分け。
日本語テストでは小学二年生レベルの漢字を、使いこなせる必要があります。申請時に「帰化の動機書」という、何故、日本人になりたいかという書類を事前に直筆で書くのですが、小学二年生レベルの漢字を使用して作成する必要があります。
申請後、数ヶ月すると法務局より連絡があり、面接と日本語テスト(本試験)があるのですが、面接は行政書士も同席できませんので、いつも以上に緊張します。
日本語テストも法務局担当者の目の前で行いますので、とても緊張します。
通訳は同席できませんし、法務局担当者が面接で選手が理解できるように、ゆっくり話してくれるという事もありません。
ここで、私が帰化申請を希望する選手に必ず教える、面接で「絶対に役に立つスペシャルな日本語」をお伝えします。」
スペシャルな日本語!
それは
「すみません。もういちどおねがいします。」
です。
担当者の話しが聞き取れなかったり、十分に理解できなかった場合、「すみません。もういちどおねがいします。」を使えこなせば、正確にヒアリングができます。
いつもは、理解できている言葉も、いざ面接となると緊張のあまり、パニックとなり忘れてしまう事があります。
そのような場面になりましたら、「すみません。もういちどおねがいします。」で、自分自身が落ち着く時間を数秒でも作りましょう。また、自分から日本語を発する事で緊張がほぐれる効果もあります。
初対面の日本人に自分の言葉が通じていると感じる事で、とても安心する事もできます。
「すみません。もういちどおねがいします。」
これは相当使えます。
これから帰化申請を検討されている方は、小学二年生レベルの勉強をしっかりと行い、日常の日本語練習の会話の中で、聞き取れない言葉があれば「すみません。もういちどおねがいします。」を活用してみてください。