百日百首(36〜42)

*この企画の説明
友人たちと、百日間、一日一首をつくるという試みをやることになりました。
挫折しないようにnoteでその様子を毎週報告したいと思います。
記事のだいたい半分を無料、それ以降を100円として毎週更新していきます。マガジンは300円で購入できるようにします。(約14週ぶんを読めるのでマガジンの方がお得です)
100首を全部無料で公開することも考えたんですが、それなら冊子にまとめて売るわという気持ちになったので、とりあえずマガジンという形で(モチベーションのためにも)やっていきます。ゆるりとお付き合いいただければと思います。
1週目:1〜7
2週目:8〜14
3週目:15〜21
4週目:22〜28
5週目:29〜35

36日目:3月30日(火)
 真面目に、実直に、ひたむきに、説明と修正と再説明を繰り返して、頭の中にしかなかった形が現実へと落とし込まれていく。投げ出したくなって気が狂いそうになる自分と、投げ出したらそれこそ気が狂ってしまうであろう自分に引き裂かれるように、検討と修正を繰り返してものごとが前に進んでいく。描く線の一つ一つに魂が乗っかり、線は形を得て、実体を得て、重量を得る。ひとりで短歌を作る時間とはべつの時間の流れ方が、日々の中にあって、むしろそれが主の流れになってしまっているときに、どのように抗うか——抗うという言い方は適切かはわからないが、どのように複数の時間を自分の中に並行して流すかが、生きる時間のなかで大切なような気がする。

サイダーの瓶照り返すその春の港はきみの思い出になる

37日目:3月31日(水)
 今日が締め切りだったのだけど、22枚の図面をなんとかシステムに登録して試作発注するところまで進められた。いつもいつも、締め切りを守るというシンプルなことが難しいのでこういう達成感が得られるのは珍しい。

1 shot, 1 killを狙わないと無理 と書かれたメールが届く

38日目:4月1日(木)
 新年度。今日から入社五年目という実感がわかなくてびびる。たとえば学生のときであれば修士一年なんてのはかなり学生生活ベテランという感じがするのだけど、仕事だと全然そんな感じがしない。べつに、仕事に人生を捧げたいと考えるようなタイプではないのだけれど、今年度は仕事をもっと上手くやれるようになりたいなと思う。可動域を増やしたいし、専門性も身につけたい。
 今日はラジオを聴きながら、ラジオと(自分にとっての)短歌は少し似ているかもしれないと考えていた。パーソナリティの話やリスナーのメールには日常の出来事などからフックとなることを拾い上げることで生まれるなにか(喜びであったり、時には毒であったり)を味わうというような感じがあるのではないか。おそらくラジオのリスナーは、ラジオに投稿するネタを作るために日々アンテナを張っているのだろうと思うと、それは僕が短歌を作る行為とそう変わらないのではないかという気がしてくる。もちろん、短歌の場合は単純な意味内容だけでなく、むしろ文体とか韻律とかのフックが肝になってくるのだとは思うけれど。今年度はなにかのラジオに投稿してみようかなと思ったけれど、ラジオネームを考えるだけで何週間かかかってしまいそうで困る。

桜並木を気持ちが先に歩いてる四月まぶしく人事異動は

39日目:4月2日(金)
 飲んで、歩きながら飲んで、ソファに寝転がる。溜まっていたアニメを見ていたらそのまま寝落ちしてしまった。

画面の中のアニメにうるさい男の子のうるささがはかなさになるまで

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