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 天気雨に洗われた
 夏の手前の夕方の空が
 透きとおって きらきらして
 少しだけ歪んだ 硝子瓶みたいだった

 自分を生きられない 誰かの影を
 美しい夜が拭い去る
 私は 私のサンプルを
 均等に集めて 休日を待つ

 嘘の甘さより
 無味無臭の本当が欲しい
 全てを 空白で塗りつぶす
 そんな生活を、人生を
 
 私は 今日も待っている

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