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意識発達における「統合」とは、何がどうなることなのか?
インテグラル理論やコーチングについて学び実践している人たちの中で「統合」という言葉が使われることがあります。
「統合していきたい」
「統合できていない」
「統合の先にあるもの」
こういった「統合」という言葉の多くは「人の意識が発達(成長)していくプロセスで起こること」という文脈の中で使われています。
それでは改めて、意識発達のおける「統合」とは、何がどうなることを指しているのでしょうか?
現在、日本で知られている発達心理学の土台をつくった一人でもある発達心理学者のスザンヌ・クック=グロイターは意識発達の一つのモデル(ライン)である自我の発達について次のように述べています。
重要なことは、それぞれの段階が行動(Doing) と存在(Being) と思考(Thinking)の統合から生じるという点を理解しておくことである。
「Ego Development: Nine Levels of Increasing Embrace(自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階)」門林 奨訳より
ここで言う存在(Being)とは感情に関わる領域のことであり、思考(Thinking)とは認知に関わる領域のことを指しています。
「Ego Development: Nine Levels of Increasing Embrace(自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階)」門林 奨訳より
一方、仏教の考え方では「身口意(しんくい)」という言葉があります。
身:行動・為すこと
口:言葉・口にすること
意:意識・思っていること
「意識(心)と言葉と行動が一致するときに奇跡が起こる」とも言われています。
「奇跡が起こる」と言われるくらいですから、一致させるのは容易ではないということです。
どんなに意識が変わったとしても私たちは無意識に身につけている慣習や文化の中に身を置いていて、「思っていること」と「為すこと」を一致させることができないということが多くあります。
「思ってもみないことを口にしている」というのも珍しくはないでしょう。
「身口意」と重ね合わせると、自我の発達においても、行動と存在(感情)と思考(認知)の3つの領域を一致させていくこと、もしくはこれらの間に折り合いをつけていくことが「統合」であると考えることができます。
実際、意識の発達のプロセスでは意識(内面世界)の変化と現実(外面世界)の間で様々な葛藤や衝突が起こります。
そして、それまで対立すると思っていたものたちの対立関係そのものがなくなっていき、行動と存在(感情)と思考(認知)が一致するようになっていくというのが統合のプロセスでもあるのです。
自我の発達というのは意識の発達における一つのラインですが、「統合とは何がどうなることなのか?」を考える一つのヒントにしていただければ幸いです。
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