喫茶と酒場あわいものや

日々の雑記とホロスコープから出た言葉 今まで書いていた雑記はこちらからhttp://awaimonoya.jugem.jp/

喫茶と酒場あわいものや

日々の雑記とホロスコープから出た言葉 今まで書いていた雑記はこちらからhttp://awaimonoya.jugem.jp/

マガジン

  • 毎日のように手紙は来るけれど #kurukeredo

    短歌、言葉、その周辺の仕事。興味のあることだけやって二十数年生活してきた歌人の、あやまちだらけの毎日を知ることで気持ちがきっと楽になります。正直さでは負ける気がしません。1日ずつのバラ売りも(たまに)しますが、まとめ売りのマガジンは毎日更新をめざしますので、30本とかで700円。更新できなかった日の翌日は、2本更新します。1日あたり24円。

最近の記事

山と川

飯塚バスセンターも通り 伊田で降りる 起きてから山に向かう 添田まで電車で行き そこからバスを二つ乗り継いで行く バスには両替機がないので「両替はできませんので着いたところの自販機で崩して払いよってください」と運転手さんのアナウンスがある 彦山駅でバスを乗り換え神宮下で降りる 一緒に降りた足が不自由そうな男性は杖を使いながらゆっくりと進んでいる 英彦山神宮の入口まで行くと 土産物屋のおじさんがお店から出てきて「これ持っていきよって」と杖を手渡される「あった方がええよ」と言われ

    • 清陽荘三号室

      家賃二万円雑費千円(水道費込)の張り紙を見て不動産屋に入る 部屋を見せてもらい引っ越しを決める 不動産屋のあるところからは長崎銀座の看板が見える 一駅分の距離なのでほとんどの荷物は自分で運ぶ 玄関入って右手に下駄箱 左手に一号室 廊下には共同の流し 突き当たりに共同のトイレ 二号室通りその隣の三号室 ドア開けると流しと一口コンロ 更にドアを開けると四畳半 押し入れに天袋もある 銭湯にはアパート出て右へ進む 徒歩30秒 引っ越した日 二号室の俊一さんと円さんに挨拶する 「夕飯ま

      • 点在、点滅、

        「だるまさんと転んだ」 「と?」 「が?じゃないの?」 「じゃあ始めからやるよ」 「だるまさんが転んだ!」と絵描きのカワグチさんが言う 八百屋のタナカさんが止まりきれずに足が揺れる 「タナカさんアウト」 タナカさんはカワグチさんの後ろにつく 「だるまさんが転んだ!」 10人は点のように散らばって止まる 清掃バイトをしているヨウさんが 「離婚するのやめました!」と大声で言う 「なんでやめたの?」 「友達の誕生日に8月10日だったんだけど、その日誕生日を祝ってたら全ての出来事は祝

        • 思想よりも信仰か

          ただ考えていることの途中経過を出すのに小説というもので試すことはできないだろうか? 今まで見てきた人や物や事象やらが等しい距離で無数に点在して見えてきて、そこから聞こえてくる誰かが発した音や発しなかった音、自転車で通った道に立っていた高齢の女性や、山道で見かけた小学四年生くらいの女の子とお父さんが話している会話、木々の隙間から差し込む光、商店街の看板が視界から歩く度に消えていく画像、どこかでは微かに聞こえたかもしれない音、確かにそこに在ったものを書き留めることはできないだろう

        マガジン

        • 毎日のように手紙は来るけれど #kurukeredo
          ¥700 / 月

        記事

          お役に立ちませんので失礼します

          最近になって思うことですが、人が人を見る時に利用価値があるかどうか?で見ている人が思っていたよりも多いということです。そうした見方が無意識にくっついて離れなくなっている。無意識なので悪意も執着もないままに無意識に人をジャッジする行動をしていたりするのかも?と考えました。 その背景にはそうせざるを得ない社会構造も関係していると思います。(女性に多く見られる傾向があります。生存戦略として受け継がれてきた部分もあると思っています) 記号として振る舞えている人の方が一定の安心を与える

          お役に立ちませんので失礼します

          その家の記憶

          今いるこの家の最寄り駅から 数駅先にあったその家は もう無い その家の隣にあった 鉄くず屋の焼却炉からは いつも灰色の煙が出ていた その鉄くず屋も もう無い もう一つ隣には ヨウコちゃんとケイコちゃんの 住んでいる家があった 家の前には犬小屋があって 盆栽がいくつも置かれていた ある時見晴らしのよいマンションへ 引っ越していった 家から海が見えるところまで 直ぐに行けたけど 今はもっと先まで 埋め立てられて 海は遠い 家の近くにあった 魚市場には 朝から人が多く出入りしていて

          上野公園行バス 羽田行の飛行機

          早稲田に出て 夏目坂の辺りから 都電の乗り場まで行く途中に 上野公園行の都バスが来たので 歩いていた道を戻って バスに乗る バスの窓から見える景色を見ながら この前福岡空港から乗った 飛行機の窓から見たものを 思い起こそうとしたけど あの時 飛行機から地上の光を眺めながら なんでだか父親の姿が 初めて感じられて 飛行機の窓の硝子一枚向こうに 言葉が行ったらいいのにって 願った 父の姿が自分にはいつも遠くて 捉えようもなかったから 父に向けて出る言葉を 持ったことがなくて 父も

          上野公園行バス 羽田行の飛行機

          再度見る 発見の後

          八月の終わり 四周年を迎えた 遠くの友人と 近くの友人に 感謝を 時間軸が 変わったような 体感は 九月に入って 保坂さんの 小説的思考塾に 久しぶりに行ったら 離れていた時間軸が からだに戻った 何かを信じ続けるような 時間の流れが 戻ってきたように 風が通った お店を始める時 どうしたらよいものか 本当にわからず わからない中 作り続けた わからない場所を歩くのは 心細いので いくつかの文章を 繰り返し読みながら 作業した 今年になって 青山真治監督の 「ユリイカ」を二度

          再度見る 発見の後

          どこへも辿り着いてない

          大門にあるうどん屋で  ごぼ天うどんを食べる  ビールはグラス一杯 Hはごぼ天うどんに  おにぎりが付いたセットを 食べ終わり  人が流れてくる列をすり抜けて  御成門駅の方へ向かう 途中にあった中華料理の店を眺める  今度誰かを誘ってみようか? 駅より手前にある歩道橋を渡る  東京タワーが見える  公園を抜けて  このまま真っ直ぐ行くと神谷町だけど  どうする? 愛宕神社はこっちかな?  別の歩道橋の上で指をさす  このビル見覚えあるなとHが言う  ここだ愛宕って  結構鬱

          どこへも辿り着いてない

          巳の日の弁財天と海

          巳の日に弁財天詣でをしようと Hと鎌倉に向かう 鎌倉駅で降りて駅にある地図で弁財天の位置を確認する 「こっち方面ですね」とHが言うので 言われるままに歩く Hはバイクで来たことがあるという 「鎌倉ってこんなだっけ 景色がいいよね」「違いますね」 弁財天へ行ったのはもうだいぶ前で 鎌倉を歩くのも久しぶりなので 初めて来た感じで歩く 住宅街にあるカフェの前を通り 弁財天の入口まで来ると 犬が一匹繋がれて飼い主を待っている 「こんなだったかな」小さな社に参拝し 小銭を洗う場所に入る

          巳の日の弁財天と海

          消失 、 続く

          高田馬場のホームでHと合流し 地下鉄を乗り継いで清澄白河へ 美術館へ向かう途中に大通りの角にある定食屋を見つけて中を覗く 展示を先に見ようと信号を渡り 美術館に入る 「あ こんな展示もやってたけど まあいいか?」「いいでしょ」とHも言うので目当ての企画展示の部屋に入る 建築家の展示なので 模型や 設計図 映像もあるけど 発していた言葉もたくさん展示されている Hは吉阪隆正は知らなかったと言っていたけど 歩くのが好きな人には 面白がれる展示のようで よく見ていた 山小屋の設計図

          乙女座満月から出た言葉

          苦い記憶 距離や時間や空間も飛び跳ねて 微かに気配を覚えている あの場所にも 祈りが 届きますように 雨が降って 全ては繋がって 流れるだけで 月は浮かんでいる 僅かに  螺旋階段をまた上がって 新しく 慈悲を知って 進もうとしている

          乙女座満月から出た言葉

          微かに聞こえている

          数日  数字ばかりを追っていた  寝るときに微かに聞こえる  水流の音で  よく眠れた  Iが以前滝とか川の音のCDをかけて寝るとか言ってたっけ?  それがすこしだけわかるくらいに  ここは静かだ  今は  洗濯機が作動している音を  聞いている   中野から歩き出して  江古田まで行ったので  椎名町まで歩く  江古田駅の近くで  ご自由にお持ちください。 と張り紙があって  使われていなさそうなグラスを六つ鞄にしまう  そばに  烏龍茶をおいしくいれられるポットもあったけ

          微かに聞こえている

          アーケードを抜けて歩く

          16時40分に到着して Iに言われた通り人の流れに沿って改札を出る 予想通りIの姿は見えないので Iに連絡をするも繋がらず しばらくしてIから連絡がきて「歩きながら待ってて」というので歩いていると もう一度連絡があって 「アーケードを進んで そのうち合流するから」と連絡があったので アーケードを歩いていたら 合流しないままアーケードを出てしまい もう一度連絡すると 「わかった わかった」と言っていて ぼやけてIが見えたので 手を振る 「これお土産また珈琲」「ありがとう」 「ど

          アーケードを抜けて歩く

          ドライブ・マイ・カーから

          映画 「ドライブ・マイ・カー」を観ていたら 母が亡くなった時のことを 思い出した 20年前 その日 江古田駅の近くで 内橋和久さんが出ていたライブを見に行って 自転車で東長崎のアパートに帰った 固定電話に留守電が入っていて 姉に連絡したら 驚かずに聞いてと言われ 母が誰もいない時に 亡くなったという知らせだった 姉が朝仕事に出る時も普段と変わらず そして その日も いつもと同じように お店をやっていて 片付けも終わっている状態で 倒れていたとのことだった 朝になったら向かいま

          ドライブ・マイ・カーから

          そこの夕日に音楽が聞こえる

          今週末 Iの職場からならたぶん そう遠くない場所で好きな音楽家のライブがあるんで またそっちへ 行けたらいいんだけどと 思いながら ライブで演奏されるかもしれない音楽を 聴いてる たぶん 今の季節と そちらの風景に合うんじゃないかと 思っている 八月に話したかもしれないけど バイト先は 同僚の人がしばらくはお休みするらしく 日数が増えたよ バイトだけで一日三万歩弱 歩いている 散歩とは違うんで 仕事終わりにまた歩いてしまったりしている そっちはそう変りないですか? バイトの報

          そこの夕日に音楽が聞こえる