Queen’s English(4) ~ボヘミアン・ラプソディにまつわるある体験~
今回は、前述していた楽曲ボヘミアン・ラプソディにまつわるある体験を書きます。
これをきっかけに私のQueen研究が始まります。
前述の通り、私はこの名曲を手放しで大好きななわけではありませんし、母のように聞いたときに衝撃を受けたわけでもありません。
しかし、ある体験をして、この曲のすごさがわかりました。
映画ボラプを見た時のことです。
映画は、Queen大好きの母が封切から2年越しにやっと見ました。
私も一緒に見たのですが、見た時も、特に大した感動もせず、フゥンと思いました。
母は、さすがセンスがいい、ユーモアがある、とほめていて、アンティーク小物などまでチェックしていました。
そして、最後のショー・マスト・ゴー・オンを初めて聴いて、また衝撃を受けていました。
私はというと、この10年ほどグレーテストヒッツを聞かされて育ったので、曲の順番などや背景が、視覚的かつ詳細にわかって興味深く見ていました。
そもそもこの2年間の間に、ドキュメンタリーなどをやっていたのをみたり、いろいろな番組を見て、何となくフレディの生い立ちなどのことや、歴史については知っていました。
映画では、70年台初期の雰囲気がわかって新鮮でした。当時のQueenの曲も全く古びていなくてとても良くて、意外だと思いました。
ラブ・オフ・マイ・ライフのような美しい曲をフレディが作っていたことも知りませんでした。
あとは、アンダー・プレッシャーがQueenとは知らず、驚きました。(ボウイとの共作ということも後から知りました。)ショー・マスト・ゴー・オンも、映画ムーラン・ルージュで知って、何かのカヴァーとは知っていたものの、改めてQueenだったと知りました。リブ・フォーエバーもです。
また、女装ビデオでテンションが上がりました。
しかし、ライブで終わったのでがっかりはしていました。もっと生きざまというか、死にざまというか、他の伝記映画のように、そういったものを期待していました。
ライブエイドも、この2年で、HMVの近くを通ると本物の映像を流していたりして、知ってたのです。
しかし、映画自体はとても面白く、興味深かったので、2回目もすぐに見ました。ハリウッド系は何度も見る派です。1回だと理解できないので。
そして、2回目か3回目か、途中でDVDをとめて、トイレに行きました。
うちのトイレでは、電気をつけると換気扇が動いて、ゴーという音がします。
私にはよくあることですが、途中で音楽を止めたりすると脳内で流れ出したりします。たいていはトイレなどの騒音のする場所です。
無意識に聞いていた音楽(夕焼け小焼けなど)の続きが流れたりしますが、遠くで聞こえるような小さい音だったりして、本物と区別がつきません。トイレから実際の続きは聞こえてないはずなので多分脳内音楽だと思います。
あまりこの現象も真剣に考えたりはしていませんでしたが。
しかしこの日、多分映画で曲のボラプが流れているあたりでDVDを止めたのかと思います。ケニー・エヴェレットがラジオで流すと、壁が暗くなり、浮かんだ4つの顔が歌いだして、批評が浮かんでは消えるあのシーンかな。
トイレに入ると、脳内でボラプが流れ出しました。
それが完璧だったのです。
脳内で流れた時は、コーラスが流れ出した、と思いましたが、そのまま聞いていたところ、結構はっきりと流れました。
あの複雑なオペラ部分も完璧に流れたのです。
自分の耳を、疑いました。
冷静になって、最後まで途切れないか、聞き続けました。
ギターソロまで完璧な演奏でした。
トイレから出てきても、まだ信じられないような気分でした。
はっきり言って、ボラプを聴きこんだことはありません。
悲しげな寂しげな曲は避ける方です。
確かに、グレイテストヒッツの1曲目であり、リピート再生して何度も母がかけていましたが、長いし、複雑だし、完璧に歌えるような歌ではありません。
さらに、ここ最近は全く聞いていないのです。
映画でも、丸々1曲は流れません。
オペラパートも途中までだし、コーラスも途中までだし、全て断片的です。
それなのに、まったくCDを聴いているように自動に流れたのです。
恐らく、この体験は、この曲の完璧さを物語っていると思います。
大好きでもない曲なのに、脳のどこかに、いつか聞いた「音」がしまわれていたのだと思います。
映画を見て、視覚的効果が加わり、知らずに興奮状態になっていたのかと思います。
そして脳の引き出しから流れ出たのだと思います。
私はこの曲が名曲といわれる理由を、理性ではなく感覚で知りました。
デジャブくらいしか不思議体験をしたことのない私ですが、この体験は不思議で楽しく、ここから、Queenやフレディーに興味が出ていろいろと調べ始めました。
特に最初にチェックした女装PVの影響が大きいと思います。
曲は、"I Want To Break Free"(ブレイク・フリー)ですが、PVではひげをそったフレディがバレエを踊ります。
バレエやオペラやクラシック音楽などに憧れをもつ私にとって、ロックスターがバレエを取り上げたことでテンションが爆上がりしました。かっこよい(と世間で認められているような人が)人が、バレエ好きと知ってうれしかったのです。演技も容姿も見惚れてしまいました。ロン毛や髭のフレディが苦手な私にとって初めてのことです。初めて、「この人ってかっこいいんだ」と気づきました。精神も含め、です。
このように、今はいくらでも動画が見れる時代も手伝い、あらゆる映像を見て、アルバムを買い、本を読み、インスタをフォローし、etc、映画を見てからこの5カ月、Queen漬けになりました。
ある体験については以上です。
耳の快楽を教えてくれる彼らに、今日も感謝です。
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