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クイーン和訳「バイシクル・レース」④ただの自転車の歌じゃない!天才フレディが込めた本当の意味とは?~ハリウッド映画との関連考察~"Bicycle Race" by Queen

はじめに

フレディ・マーキュリー作詞作曲のクイーンの楽曲「バイシクル・レース」について和訳分析を行っています。

残りは、2分目から3:01までです。

映画との関連について語り、長くなったのでその前半を語ります。

ネタバレに注意してください。


"Bicycle Race"
Written by Freddie Mercury

詩(verse) 2番

You say coke, I say Caine
You say John, I say Wayne
Hot dog, I say cool it man
I don't want to be the President of America

You say smile, I say please(cheese)
Cartier, I say please
Income tax, I say Jesus
I don't want to be a candidate
For Vietnam or Watergate
Coz all I wanna do is

Bicycle(yeah) bicycle(hey) bicycle
I want to ride my
Bicycle bicycle(come on) bicycle
I want to ride my bicycle
I want to ride my bike
I want to ride my bicycle
I want to ride it where I like


(直訳)

あなたはコーク(コーラ)と言います、私は「ケイン」と言います
あなたはジョンと言います、私はウェインと言います
ホットドッグ、私は落ち着けと言います
アメリカの大統領になりたくない

あなたは「笑って」と言います、私はやめてくれ(チーズ)と言います
カルティエ、お願いします
所得税、私は「ジーザス」と言います
ベトナム志願兵になりたくない
ウォーターゲートもまっぴら
私がやりたいのは

自転車、自転車、自転車
自転車に乗りたい、自転車、自転車
自転車に乗りたい
自転車に乗りたい
自転車で好きなところまで行きたい


詩(verse)の2番

2-A

You say coke, I say Caine
You say John, I say Wayne
Hot dog, I say cool it man
I don't want to be the President of America

また詩に戻りました。

便宜上、2-Aと名付けます。


まずは、あなたと私の掛け合い。


coke(コーク)とCaine(ケイン)

coke(コゥク)とは、コカ・コーラ(Coca-Cola)の略称のこと。アメリカではペプシ(Pepsi)の方が好まれるみたいです。

どうでもいい話ですが、アメリカとかハワイとかのマクドナルドとかで、「コーク・プリーズ」とかいうと、cockと聞き取られてすごい顔をされたりするらしいです。

コーラだと通じてにやにや笑われてサイズを聞かれて「ラージ(large)」というと、またニヤニヤされます。

隠語ですね。語学学校の先生に習いました。発音に注意してください。


次の、Caine(ケイン)。

これは発音注意です。

英語では「カイン」ではなく、ケィンと読みます。

※"ai"の発音は、ローマ字読みでは「アイ」ですが、英語は基本「エィ」です。例:rain(雨), train(電車), pain(痛み)など。 iの語尾バージョンyだと、day(日), may(助動詞や5月)など。


cokeと同じくcから始まる"Caine(ケイン)"は、次に続くセリフの単語(Wayne・ウェイン)と比べてみても、人名だと思われます。

だから歌詞カードは大文字です。

このつづりはあまりないですが、マイケル・ケイン(Micheal Caine)さんというイギリス出身のハリウッド俳優のことだと思われます。

マイケルさんの「ケイン」は芸名です。ハリウッド映画の「ケーン号の叛乱(はんらん)」から来ています。

読みが「ケィン」というのは、イギリス(やアメリカなどで)一般的な姓で、アイルランドではその息子のという意味の、McCain(マケイン)などもあります。アメリカの大統領候補(a candidate for President of American)でもマケインさんがいましたね。

しかし、だいたいのスペルは、Cainで、最後のeなしが多く、あとはKaneとかです。

マリリン・モンローの、「お熱いのがお好き(Some Like It Hot)」(1959年、ビリー・ワイルダー監督作)はフレディとロジャーさんのお気に入りコメディですが、彼女の役名も(芸名)、Sugar Kane(シュガー・ケイン)と、綴りは違う。禁酒時代の話なので、珍しく白黒の映画です。ペーパー・ムーンみたい。

同音異語のsugar caneは、サトウキビのこと。candy cane(キャンディー・ケイン)はクリスマスでおなじみの赤と白の杖型キャンディ。caneは杖や藤(とう)などの茎みたいなのを表します。


ケィンは姓じゃなく、名で使う場合もあり、ケイン・コスギさんとかいろいろいます。

聖書のアダムとイブの息子、兄カインと弟アベルの「カイン(最初の殺人者、弟を殺す)」も、英語ではケィンと読みます。Cainとつづります。


とにかく「Caine」の綴りは、マイケル・ケインさんくらいです。

マイケル・ケイン氏(1933-)はロンドン出身で、007のジェームス・ボンドに匹敵するスパイ役で知られます。オースティン・パワーズ(映画ボラプにもloserとして監督・主演のマイク・マイヤーズさんが出ていましたね。)などのコメディにも出ています。サーSirの称号を与えられています。サイダー・ハウス・ルール(アカデミー受賞)やミニミニ大作戦(イギ車ミニ・クーパーがでてくる)など、多くのハリウッドに出演。


これは有名な話ですが、cokeとCaineで、合わせて発音するとcocaineを示すとのこと。

「コゥク」と「ケィン」の発音で、なぜコゥ・ケィンになるのか。

これはまさにフォニックスの世界。

発音記号的にそれぞれ、[kouk], [kein]なので、合わせると、[kouk-kein]となり、[kou-kein]となるわけです。

※因みに、「k」の発音は日本語の「カキクケコ」とは厳密には違います。無声音と呼ばれ、口の奥(のどの手前)で、「クッ」という音を立てる(声は出さない)ことです。いわば無声のカキクケコです。有声のカキクケコになるには、後ろにaeiuoなどの母音が付く必要があります。

※「k」に音が付く有声音は「g」で、「クッ」という無声音を出す要領で声を出して「グッ」といいます。手のひらで喉(のど)に触ると、kと違ってのどが不気味に震えているのがわかります。


分析に戻ります。

そもそもコカ・コーラは、もとはコカイン(麻薬)の原料のコカの葉から作られており、微量のコカインが含まれていたようです。禁酒時代に薬剤師が酒に変わる活力薬として作ったとのこと。ペプシも薬剤師が作り、消化酵素ペプシンが入っており、消化を助ける薬として作られたといいうことです。

今はコーラにはコカインは含まれていません。

また、ハリウッドではその昔はヤクを使うのが当たり前だったようです。「オズの魔法使い」のジュディー・ガーランドは13歳にしてヤクを使わされ、元気になって撮影していたという。娘さんはフレディの大好きなライザ・ミネリさんですね。

ハリウッド俳優だけじゃなく、ミュージシャンも多いです。

ビートルズもそうだといわれるし、ローリングストーンズ、あとの時代も、エアロスミスやデビッドボウイなど、枚挙にいとまがありません。リハブという言葉もあります。現在に至ってはアメリカなど一部では大麻ですが、合法化されています。

とにかく、フレディとは密接な単語かもしれません。

そもそもロックンローラは、「s*x, drug, rock 'n' roll」という言葉もあります。ロジャーさんは否定していて、彼のみがこっそりやっていたというのが通説です。そして最後にはちゃんとやめた。


話が長くなりましたが、まとめるとロックンロールな感じの掛け合いです。ちょっとしたお遊びかもしれません。


次、

JohnとWayne

ジョン・ウェインさんはアメリカを代表する俳優。西部劇によく出ます。アルバムのレコーディングは1978年で、ウェインさんは1979年に亡くなったので予言のようです。引退していたでしょうし、リスペクトを込めていたのかもしれません。

※話は外れますが、よくミュージシャンの追悼をするQueen。

ジミ・ヘンドリクスの命日(1970/9/18)は当日は、ロジャーさんとフレディは、売れない時代にやっていた古着屋ケンジントン・マートを1日閉めます。ジミは米シアトル出身ですが、当時はロンドンに住んでいて、フレディは14回かなんか公演を見たとか。76年には命日にハイドパークのフリーコンサートを開きます。メンバーもファン多し。

愛という名の欲望(Crazy Thing Called Love:1980)は、1977年に亡くなったエルビスの追悼。フレディはエルビスが大好きでした。ロックンロールの元祖、白人によるブラック・ミュージックの元祖です。初期のツアーのしめは「Jail House Rock(監獄ロック)」でした。Great PretenderのPVでもピンクのスーツでコスプレしてます。

その曲でもう一度再起したジョン・レノンが、それで目立ってしまったせいなのか1980/12/8に射殺されてしまいます。追悼の意をこめて、フレディは「Life Is Real」、メイ氏は「Put Out The Fire」を1982年のアルバム「Hot Space」に入れます。クイーンはビートルズやレノン、マッカートニーのファンでした。

戻ります。

前にも曲のボラプで分析したときに、もともとバラードがThe Cowboy Songといわれていたといいました。イーストウッド作品やマカロニウエスタンなどで60年代ごろも世界的に西部劇熱は上がってきたと思われる。映画好きの彼らのこと、往年のジョン・ウェインのことも知ったのではないか。彼について言及し、アメリカ文化への情熱を語っていると思われます。

まとめると、ウェインとケィンで韻を踏んでおり、どちらもハリウッドスターです。


また、ここでメンバー、「ジョン(・ディーコンさん)」の名が出ていると思います。


※これもちょっと分析から外れます。


フレディはよく歌詞にメンバーの名前を入れている気がします。

デビュー・アルバムでマイ・フェアリー・キングのセリフから、マーキュリーに改名すると言い出し、そうしてしまった。昔からうたっていたライアー(当時は「ラヴァー」)も、いつ作詞したか「水星」の単語が。愛という名の欲望で、Ready Freddie?(準備はいい?という意味の掛け声)と掛け声のセリフに名をいれたり。


デビューアルバム、グレートキングラットの、最初の詩、

偉大な王ラットは今日5/21に死んだ。
44回目の誕生日だった。

は、

born on the 21st of Mayで終わるので、メイ氏の名が入っていると思う。

助動詞mayならいっぱい入るが、最後に持ってくるので5月にしたのでは。

today, may, birthday(トゥデイ、メィ、ブーθデイ:誕生日)と韻を踏みます。

この詩は、延命の末45歳で亡くなったフレディに近いものがある。

偉大なラット王はdirtyなold manだったという。フレディも、自分を美しいという一方、偉大なpretenderといったり。年取るくらいなら死んだほうがましとか。悪のリロイ(レロイ)・ブラウンをたたえたり。フレディの思う未来の(あるいは真の)フレディ観かもしれない。まだ20代にして。

21日にしたのは21世紀という意味なのか、彼は21世紀まで生きられなかった。


そして2nd アルバムで「フェリーフェラー」で、テイラーの名が。

本来、マザーグースなどで

Tinker, tailor, soldier, sailor(ティンカー、テイラー、ソルジャー、セーラー:鋳掛け屋、仕立て屋、兵士に、水兵)

と続くところを、

Soldier, sailor, tinker, tailor, (Ploghboy…)

としている。

仕立て屋テイラー(tailor)は同音異語のTaylor、ロジャーさんの姓に聞こえる。ここだけ音がちょっと高くなるのもそうかも。

tinkerには何でも屋、ジプシー、わんぱく小僧などの意味もあり、後ろの単語にくっついているのでしょうか?ティンカー・ベルにも通じているのかもしれません。


因みにキラー・クイーンでのマリー・アントワネットはMary?Marie Antoinetteのセリフでかなり眉根を寄せる。

まるで断頭台の露と消える彼女を暗示しているかのよう。楽しげな雰囲気の曲なのに実は裏の意味がありそう。これも政治色もある大人の曲。子供でも楽しめる。

マリーの発音が早すぎてよくわからないが、そうだとするとちょっと不吉なので違うかもしれない。


そしてついにジョン(・ディーコンさん)の名が。私は興奮した。

テイラーやメイと違ってファンタジーとしても詩に入れにくそうと思った。

フェリーフェラーには御者のウィルは出てくるが。フェリーフェラーは単語がfから始まってたりwやPから始まってたり縛りがあるからjは使えなかったのかも。


もしかしたらもっと前にジョン(もしくはディーコン)が使わていたが気づいてないだけかも。そもそもこの仮説は違うかも。


とにかく興奮しました。

しかし、最近Jazzの歌詞カードをみつめていると、関わる色々な人たちの名前の中に、最後に「John Harris」に捧ぐ、と書かれていた。

調べると、Johnathan Harrisという人物で、ロジャーさんの「I’m In Love With My Car」にもジョナサン・ハリスに捧ぐとなっている。

彼は5人目のクイーンといわれる人物で、ジョン・ディーコンさんの加わる前から、むしろフレディの加わる前からSmileのローディーで、クイーンの基礎を作り、クイーンを支えた人物だったようです。デビュー・アルバムの後ろの写真たちの中にも映っています。

クイーンはたくさんの人々に支えられていたことがよくわかる。そして、クイーンはスタッフを大切にしていた。当たり前だが、私たちの聴いているクイーンは4人だけのものではない。

ジョンはこのジョンかも。しかしジョンはいすぎてよくわからない。

ライバルであり親友のエルトンや、彼のマネージャーで「オペラ座の夜」の成功のカギともなったリード氏(映画にも出ましたね)、他にもジョンだらけ。


しかし、私の中では4人全員の名が入って、すっきり安心しました。

戻ります。

ここまでまとめると、ケインとウェインで韻を踏む。

1番では1-Aに当たる部分は、最後がwhiteとbiteだったので同じ構成。


ホットドッグとクール、イット

ホットとクールで反意語。


ホットドッグは、コーラと同じく、アメリカの代表的な食べ物みたいなもの。

ホットドッグは、そもそも中身のソーセージのみを指す言葉。

ソーセージも犬の名がつく前は、frankfurterといわれていた。

ドイツの都市、Frankfurt am Main(日本語ではフランクフルトという)から名前がついているようだ。

ドイツでは主食に近いようなソーセージだが、熱々のホットなソーセージを外でフォークなしで食べれるように、屋台で加熱してパンにはさんだ食べ物がこれ。

英語でその屋台のソーセージをfrankfurter(フランクファーターのような発音が近い、日本語ではフランクフルター)といい、略してfrankともいう。

そして、ホットな犬の名が付き、こっちが主流になったようだ。


ホットドッグには、「スキーなどスポーツですごい技を繰り出す選手」の意や、アメリカの古い表現として、驚いたり喜んだ時に挙げる歓声ともある。


そのあと、クール、イットというし、アメリカ大統領になりたくない、とソロで応じるので、ホットドッグは「すごい」、という意味なのかもしれない。また、フレディのステージは歌いながら弾きながら激しくダンスしているのでスポーツとみなすこともできるので、それをいうのかも。もちろんメンバー全員がすごい技を繰り出すというたとえかもしれない。

cool itはクールが動詞のしゃべり言葉、落ち着け、という意感じ。ワイルドになっている観客をなだめる感じか。


※ちょっとそれます。

フランクフルトに話を戻すと、1番の歌詞にもある、bite(歌詞カードにはここだけI sayでなくYou sayになっている)、Frankenstein(フランケンシュタイン)を総合的に判断すると、「ロッキー・ホラー・ショー」が思い浮かぶ。

1973年ロンドンでリチャード・オブライエン脚本のショーが開幕し、1975年映画化。カルト的な人気を誇る。映画バージョンはアカデミー女優スーザン・サランドン(NY生まれだが、イングランド、アイルランド・ウェールズ人の父とシチリア島の母を持つカトリック教徒とのこと)が出ていて、評価される。

倒錯的で自由な世界。B級ホラーや映画へのオマージュがたくさん。

主人公はティム・カリー演じるフランクン・フルター(Dr. Frank N. Furter)博士で、「私はただの、トランシルバニア国(星)のトランスセクシュアルから来たスウィートな異性装者(トランスヴェスタイト)」と歌う。歌の中で「軽食でも(bite)」という(nightと韻を踏み、しもべのようなコロンビアが繰り返す)。

彼は、トランシルバニアのドラキュラ伯爵というアイルランドのブラム・ストーカーの小説の格好をして現れる。小説ではロンドンに現れ、ヴァン・ヘルシング教授に退治される。映画化し、アメリカでも有名になる。

トランシルバニアは現ルーマニアの地方。ドイツの影響が大きい。実際のワラキア(トランシルバニアにある)の冷血な王、串刺し公「ブラド・ツェペシュ」がモデルという。

フランクは博士なので、フランケンシュタイン博士のように人造人間を作り、名前はRocky Horror(ロックなホラー)、ターザンがモデルだという金髪マッチョ美青年。

※10/29追記、ロッキーのモデルはヘラクレスでした。※

名前もフランケンシュタインみたいだし、前述のホットドッグの名前とかけている。ドラキュラもフランケンシュタインもイギリス近くで作られた話でアメリカで映画化しヒット。恐怖映画の金字塔といえる。フランシス・コッポラはどちらもリメイクしている(娘のソフィアはマリーアントワネットを監督)。フランケンシュタインはいかにもドイツ語っぽい。

Frank N. Furterの名は、ドイツのフランクフルト(Frankfurt)と、ソーセージのfrankfurterと、Frankenstein博士に、Rock 'n' Rollの手法のまざったドイツ語っぽい名前だと思う。すごく練られている。

フレディがインスパイアされたお気に入りミュージカルで、フランクを演じたティム・カリーさんとも仲良くなったという。

これら一連のやり取りは、ロッキー・ホラー・ショーへのオマージュではないか。


まとめ

長くなったが、まとめ、「いくら素晴らしいといわれても、アメリカの大統領にはなりたくないぜ。」

Cool it manは、1番のHey manと同じ場所。

最後のしめも、1番はジョーズもスターウォーズも好きじゃないと否定。


因みに当時のアメリカ大統領はジミー・カーターで、ロックンロール大統領といわれる。ホワイトハウスにロックスターを招いた。これを言っても許されたはず。


2-Aがやっと終わりました。


次回も波乱の予感です。

ここまでお読みくださり本当にありがとうございます。

お楽しみに。

追記、以下、次回のリンク(最終回)です。



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