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Queen’s English(2)~ボヘミアン・ラプソディ~
バンド・クイーンを通して学ぶ英語。前回の自己紹介に続いて、第二回目です。今回からは、実際に曲に触れていきます。
方法としては、歌詞を抜粋し、私なりの解説を加えていきます。フォニックス(発音矯正)の視点から、音についても触れます。
歌詞の意味は、あくまで主観なので、こういう人もいるんだ、という感じでお楽しみください。コメントも大歓迎です。
まずは、クイーンといえばこの名曲、「ボヘミアン・ラプソディ」について取り上げたいと思います。
まずは、歌についてです。
「ボヘミアン・ラプソディ(”Bohemian Rhapsody”、Bo Rhap、ボラプとも)」は、1975年発表のアルバム、「オペラ座の夜」(”A Night At The Opera”) にも収載された曲で、作詞者のクレジットはフレディー・マーキュリーです。
実は、傑作とも言われるこの曲ですが、私はクイーンの中では大好きな曲という訳ではありません。
私が好きな音楽は、キラークイーンやボーントゥラブユーなどのような明るめなポップな曲で、こういったどことなく寂しげなバラードはあまり好んで聞きません。
母は悲しげなロマンチックが大好物で、この曲も10年以上前から母に聞かされました。
母は、「ピアノもいいけど、特に最後のギターの入る終わり方が良い」、と絶賛しています。ビデオもカッコいい、と痺れて、友達に布教活動もしていました。10年前くらいなので、あまり功を奏しなかったようですが。
また、彼女はよく、「今が現実か夢なのかわからない時がある、なので冒頭のコーラスの詩に共感できる」とも言っています。(私は彼女をフレディと呼んでいます。)
しかし、私にとっても、この曲は特別となります。前回も触れたように、ある体験によってそうなりますが、長くなるので、後述にします。
最初なので、サンプル程度に、歌詞のほんの一部を抜粋してみていきましょう。
有名なのは、歌詞で言うと、始まりのコーラスパートの次に来る、このピアノ伴奏のバラード部分です。
Mama,
just killed a man,
put a gun against his head,
pulled my trigger now he’s dead.
直訳すると、
「ママ、人をxしてしまったよ。
頭にxを突きつけて、
引き金(トリガー)を引いたらxんじゃった。」
、となります。
※ボラプの場合、直訳以外にできません。比喩だとは思いますが、誰も本当の意味は分からないのです。
ママー、と呼びかけた後に、殺人を告白する衝撃的な歌詞ですが、耳で聴くと、韻(いん)を踏んでいて、穏やかなピアノの旋律と伸びやかなボーカルで、サラッと聞けます。
因みに、詩の作り方ですが、英語の詩は、基本的に韻を踏んでいます。
最後だけ韻を踏めばオッケーです。4行あれば、4行目の最後はどこかで踏んでいたいですが、対になるのは大抵2行目か3行目の最後です。
例えば、イギリス古典の、愛の常套句と言われる詩を例にしましょう。
Roses are red,
Violets are blue,
sugar is sweet,
And so are you.
訳は、
バラは赤く
スミレは青い
砂糖は甘く
貴方もそう(あなたもsweet、つまり、優しいとか可愛いとかの意。)
この場合だと、2と4行目の最後の単語が同じ「ウー」です。(ブルゥーとユゥー)
ボラプの場合は、
まず、3行目と4行目の最後の単語、ヘッド(head)とデッド(dead)で韻を踏んでいます。巧妙なことに、その直前のヒズ(hisとhe's)まで一緒の発音です。
つまり、「ェッドゥ」:発音記号[ed](母音e+子音d)が同じ発音なのです。
※母音とは、日本語でいうと、アイウエオのような音です。
こうやって韻を踏むことでリズム感が生まれます。
しかし、このフレディ作の曲では、特にこのバラード部分は、最低限の韻のルールを踏みつつ、もっと広く、耳で聞いて「似ている」単語をさらに散りばめている気がします。
例えば、最初の2行の、最後の部分、mama〜と、ma〜nも、「ア〜」と伸ばすところ(つまり母音)が似ています。これらは、詩のルールでは「韻を踏んでいる」とは言えません。
3,4行の最初の音も似ています。
もう一回見てみましょう。
Mama,
just killed a man,
put a gun against his head,
pulled my trigger now he’s dead.
たった4行ですが、まさに耳志向の、聴覚のご馳走のような音楽です。
タイトルの「ボヘミアン・ラプソディ」について、
Bohemianとは、「自由で慣習に縛られない(また、そのような人)」、
Rhapsodyは、「形式にとらわれない音楽」の意味があります。
詩のつくり方だけをとっても、形式にとらわれない芸術になっています。
楽曲「ボラプ」の和訳は、今回はここで以上にします。
分析していると、やはり奥深いです。
続きは、また今度書きたいと思います。
以下は、歌詞のリンクです。
読んでくださり、ありがとうございました。
耳の快楽を教えてくれるクイーンに感謝します。