【Fragment #01】夏の終わりに思うこと
利尻島に移住してから7回目の夏が終わろうとしている。オレンジ色と黒い斑点のオニユリが咲き始め、空が高くなってきた。
利尻に住みはじめた2017年6月。実はその前に、利尻には一度訪れている。2016年の8月末、はじめての離島ひとり旅だった。その時はまだ、利尻に住むという選択肢はなかったけれど、こうして8年後にあの時に感動した景色の中に住んでいると思うとなかなか感慨深いものがある。
そもそも、利尻に住むことになったのは地域おこし協力隊という制度と使って、地域で仕事をするためだった。偶然、自分が所持している資格を活かせそうな仕事内容が利尻町の地域おこし協力隊で募集されていたことがきっかけとなっている。そして、ひとり旅で行っていたこともあり、まち並みの様子も大体わかっていた。
加えて、実家のある札幌には丘珠空港があり、そこから利尻へは1時間もかからず直行で行き来することができる。実家への帰りやすさも離島暮らしを後押ししたかもしれない。
もともとは地域おこし協力隊の最大任期である3年を終えたら、他の地域で地域おこし協力隊をやろうと考えていた(できたかはともかく)。それが、パートナーと出会ったことで定住の道をたどった。
移住してからは7回目、ひとり旅も入れれば8回目の利尻の夏が終わる。
利尻でも一番あざやかでにぎやかな季節。青々とした利尻山、きらめく海、抜けるような空。ウニやホタテ、ソフトクリームなんかもおいしくて、にぎやかとはいえ喧騒とはかけ離れた場所。島民も島外からの来訪者のみなさんも、その多くが忙しないながら活き活きとしている。
私は夏という季節があまり好きではなかった。けれど、利尻に来てからは少しだけ夏をいいなと思えるようになった。あのひとり旅で見た、利尻に広がる「青色」の美しさは今でも忘れられない。
あのときのひとり旅については、『北の浮島、彩初める』というZINEにまとめている。こちらも興味があればお手に取っていただけたら。
酷暑という日もないので、利尻島は避暑地にもおすすめしたい。