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PERFECT DAYS

トイレ清掃員の平山は、完璧な日常を繰り返す。長年同じ生活を同じ動作を繰り返しているので、一挙手一投足も無駄なく効率がよくかつ美しい。ここは役所広司の演技がすごいところ。(役所広司の演技は最後の顔芸も凄かった)。
昔観た「ラスト・サムライ」では、トム・クルーズが里の村人が茶を沸かす仕草を見て「この国の人間は朝起きてから夜寝るまで、常に完璧を求め続ける」と言うシーンがあって、実はそれがラスト・サムライの中で一番好きで心に残っているシーンなんだけれど、"PERFECT DAY"はまさにそのシーンを掘り下げて1本の映画にまとめ上げられたものなんだと思った。
文化住宅での生活、トイレ掃除の作業がなぜかあまりにも美しい。それと、出てくる各種の道具類がこの映画のもう一つの主役じゃないかと思うのだが、年季が入っていて、その扱われ方と片付けられ方の美しさも気持ちがいい。これらは全て茶の道にも通じるものがある。僕は茶道はしていないが。
完全に同じルーティンを繰り返していても新しい日は昨日とは違う。同じ街並みも、かける音楽が変わると風景も変わって見える。そうやって人生は流れて行く。
そんな淡々としてシンプルな映画なのに退屈せず観られるどころか感動すら覚えてしまう。

そして、パンフレットがかっこいい。
判で押したような"PERFECT DAY"のロゴが表紙の中央ではなく右肩に16個縦に並んでいる。全部同じだけれど、かすれていたり歪んだりしていて少しずつ変化があり、全体として一つの作品になっている。まさに映画そのものでもあり、人生そのものかもしれない。
あと、出てくる渋谷のトイレは16個、映画の中の日数も16日くらいではなかったかな?次観る時は数えてみよう。

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