少し前にChatGPT-4oが発表されてかなり便利になり、いわゆる「人工知能」も知能らしくなってきた。カバーできる仕事の範囲も広がってきた。 「クリエイティブな仕事は人間にしかできない」などと言っていた人々もその考えは揺らいできているのではないだろうか。確かに、AIの作るイラストや文章はおぼつかないところはあるが、あの程度のものも作れない人間が大半なので、優秀なクリエイターを置き換えるまではいかなくとも、普通の人間の代わりをするくらいはできる。ちなみにこの記事のイラストはG
前に読んだ『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編集とエッセイ集。 音楽と料理の味は、僕にとっては言語化するのがとても難しい対象だ。 コンサートや食事の後の感想はどうしても陳腐で幼稚なものになってしまうのはなぜだろう。視覚的な対象だとそんなこともないのだが、人によって得手不得手があるのだろうか。 前作とこれは、恩田さんはどのように音楽を言語化しているのだろうというテーマで読んでいた。そのような目で見ると、音楽や音をあまり語るのではなく周囲の描写によって読者の耳に音楽を再現させているよう
村上隆の作品は、ちゃんと見たのは久しぶりだった。 前回見たのは20年近く前、まだ村上隆が今ほど巨匠になっていなかったとき、京都の高島屋のギャラリーで作品の展示販売をしていたとき。 今では有名になった「マイ・ロンサム・カウボーイ」が150万円くらいで売られていて、最後の最後まで気になってたんだけど、物の大きさと値段に負けて買わず仕舞いだった。 しかし数年後、まさにその作品がサザビーズのオークションにかけられて16億で売れてたのにはビビった。金額にビビったというより、自分の鑑識眼
トイレ清掃員の平山は、完璧な日常を繰り返す。長年同じ生活を同じ動作を繰り返しているので、一挙手一投足も無駄なく効率がよくかつ美しい。ここは役所広司の演技がすごいところ。(役所広司の演技は最後の顔芸も凄かった)。 昔観た「ラスト・サムライ」では、トム・クルーズが里の村人が茶を沸かす仕草を見て「この国の人間は朝起きてから夜寝るまで、常に完璧を求め続ける」と言うシーンがあって、実はそれがラスト・サムライの中で一番好きで心に残っているシーンなんだけれど、"PERFECT DAY"はま
現在最も広く受け入れられている「生物の定義」は、(1)外界と膜で仕切られている、(2)代謝を行う、(3)自己複製する、の3つです。 数年後にはロボットがこの要件を満たすかもしれません。しかもそのロボットには人間の人格や記憶もコピーできるかもしれません。気候変動や少子高齢化といった問題を抱える人類ですが、このような方法で危機を切り抜けるのが現実的なのではないかとすら思います。 純粋なホモサピエンスの支配する地質年代は人新世と呼ばれていますが、ロボット化した人間が取って代わる
Universe 25という実験について記事を読んだ。 Universe 25というのは、マウスのオスメス混合の小さな集団に、生きるにあたって何不自由のない快適で閉じた環境を与えると、どんどん繁殖して個体が増えていくのだが、少しずつマウス社会の性格が変わり、ピークが来てからは逆に衰退の道を辿り、最後は集団が滅亡するというものである。 Universe 25はあくまでマウスを使った実験であり、マウスとは違う社会性を持ったヒトが同じ必ずしも行動を取るとは言えないし、学会で認知さ
EV市場の闘いは自動車そのものが売れるかどうかではない。急速充電器規格の標準が取れるかどうかの競争がEVそのものかそれ以上の重要性を帯びている。 急速充電器の標準を獲得し、自社の充電器を全国に配置することで、他社のEVであっても、「何キロ走行したか」「どの地域で走っているのか」などといったデータを取ることができ、それを新車開発にも応用できるし、ひいては沿道サービスなどモビリティに関係するマーケティングにも活かすこともできるのだ。 これまで、欧米勢の"CCS"、日本の"CHAd