史上最高のクリスマスプレゼントを、こんなおばさんになってもらうことになるなんて
夢にまで出張し、仲間を引き留めた新キャプテンは、チームメイトにとどまらず、ファンの心まで救う、大きな大きな人だった。
小川泰弘。ライアン残留。
一つ気になることがある。ライアンのInstagramでの報告だ。
ryan.ogawa29_official
ヤクルト残留決断しました!
皆様、愛とムチの時間を有難うございました。悩んでいた中で1人の人間としてたくさんのことを学ばせて頂きました!
この間暖かく見守って頂き有難うございました。
まだまだ未熟ではありますが、努力を重ねて来シーズン結果を残せるように頑張ります!!
神宮で会いましょう!!
@tetsuto.yamada_1
キャプテンよろしくお願いいたします!笑
愛とムチの時間……
たしかに、決断が長引いていることにイライラを募らせた野球ファンの、「早く決めろ」「どんだけ引っ張るんだ」「即決できない時点でもういいわ」といった辛辣な文字が、SNS並んでいることは見知っていた。
ライアンの言葉を、聞いていないのか?
私はそんな文字たちに、心の中でそう問い糾していた。そしてライアンは、そんな文字たちの存在を、知っていたのだった。
結果の見えない未来に勝手に苛立ち、早く決めろと急かし、もう知らん勝手にしろと見限る。
よくよく考えてみてほしいと思った。
スワローズファン感謝DAYに、ライアンはやって来た。そして、ヤクルトファンに向けて「人生の分岐点」「しっかり決断して皆さんに報告する」と言っていたじゃないか。
えー、お騒がせしております。えー、何も考えてなかったですけれども、まぁ自分の、えー、自分の人生の、まぁ分岐点ということでちょっと、わがまま言わせてもらってます。えー、まあ考え中ですがしっかり決断してまた皆さんに、えー、ご報告したいと思います。よろしくお願いします!
冷ややかな反応があるかも知れない、針のむしろともなり得る危険性のあるファン感で、ごまかさずに、自分の思いをファンに正直に伝えたライアンの誠意に、ヤクルトファンも誠意を持って応えなければならない。それが、選手とファンの信頼関係なのではないか。
今ここで、人生をかけて悩んでいる小川泰弘という一人の青年は、これまで見てきた、神宮のマウンドに立つライアンと同一人物なんだぞ。
ライアンの投球に、今までどれだけ救われ、楽しませてもらったか。
残るか残らないか、そんな結果だけでライアンのこれまでの恩をないがしろにするような薄情な人間には、なりたくない。
残ってくれてありがとう。その気持ちは本心だ。ヤクルトの選手が、私のような一介のヤクルトファンと同じく、ヤクルトという球団に愛着を持ってくれていること。好きな人と好きなものを共有できる。これ以上のよろこびはない。
ただ私は、他球団のユニフォームに袖を通すライアンを見て泣いてしまっていたであろう私を救った「ありがとう」で、この決断を終わらせたくない。
自ら「人生の分岐点」と悩みに悩んで決断したこの結果には、球団とファンにとっての“結果オーライ”だけでなく、小川泰弘の人生の決断に立ち会った重量感と重圧感をひしひしと感じる。
私はこの結果を、重く重く受け止める。ライアンとともに、必ず優勝を勝ち取りたい!そして、ライアンの人生が東京ヤクルトスワローズとともに在り続け、しかもそれが、最高の人生でありますように。そう切に願っている。
泣く覚悟を決めて粛々と待ち続けた12月25日午前3時、明石家サンタ終わりに目にした「ライアン残留」の第一報は、今まで生きてきた中でいちばんのクリスマスプレゼントだった。
おかげで深夜の二度寝ができなかった。今日の仕事は終日、体が傾いたままだった。どう責任を取ってもらおうか。笑
そして未だ、夢の中でてっちゃんになんと言われたのか、明かされていない。いや、ライアンの夢の中にまで入り込んでいく前から、山田哲人はライアンを迎えに行っていた。
すごいね。シーズン前から、立派なキャップだ。もう、チームと人を、引っ張っている。
メリークリスマス!