中山翔太が振り切るまで ○D×S●13回戦

4回2アウト満塁。ここでくるか中山翔太。

中山翔太は、ヤクルトの筋肉マンだ。趣味は筋トレ。あだ名は「きんにくん」。本人が新入団発表会で志願した呼び名で、ファンは心置きなく「きんにくん」と呼んでいる。まぁ、あだ名というより、事実を述べているだけだ。

躍動する筋肉が放つ打球に、力がない訳がない。きんにくんの打席で満塁ならば、ファンが頭に思い描く光景はひとつ。広いナゴドのスタンドに消える満塁弾だ。

1球目ストレート見送りボール。
2球目ストレート見逃しストライク。
3球目ストレートファウル。
4球目のスライダーを打たされ、結果4-6-3のダブルプレー。

私は、満塁のチャンスを逸したことより、きんにくんが3球のストレートを振り切らなかったことが頭に残った。
配球を読んだ結果だ。きんにくんの考えでバットを振ったのだから、これが現場にしか落ちていない答えだ。

野球を知らない私は、何が正解なのか分からないが、変化球を待ってストレートが来た?では、たとえばストレートの配球を読めていたとして、きんにくんはあの場でしっかりバットを振り切っていたのだろうか。

きんにくんは、今季2年目。2017年ドラフト2位。法政大学から来てくれた即戦力は、1年目の昨季から1軍に帯同している。コンディション不良で今季の1軍合流は遅れたが、スタメンを任せられる選手であることは間違いない。

そんなきんにくんに期待すること。それはホームランだけでなく、潔いバッティングなのだ。

きんにくんの背番号「8」。ヤクルトのオールドファンの記憶には、この背番号とホームランがセットになって刷り込まれている。大杉勝男、広沢克己。太古の昔からパワーヒッターが付けてきた背番号なのだ。
だからなにより、大卒ルーキーにこの一桁番号を与えた球団の期待が、ファンには痛烈に伝わった。パワーヒッターの証として背中に背負い込むすべてのものは、さぞかし重いことだろう。

だからこその、その筋肉なんじゃない?きんにくん!その筋肉があるのなら、そんな重圧も跳ね除けられる。
きんにくんが野球で躍動すること。その筋肉でしっかりバットを振り切ること。それがたとえ三振だったとして、私はその振り切ったバットから目を離せない。

思い切って、振ってほしい。振り切ってほしい。後悔してほしくない。

「筋肉は裏切らない」。筋肉マンは、よく言うじゃない。笑

いや、きんにくんは今日、大活躍だったんだよ。2回のセンター前ヒット、6回の犠牲フライで得点にも絡んでいる。
9回にはデッドボール!いくら筋肉で跳ね返せるとはいえ、あの硬球が当たれば痛い!体を張って、得点のため、勝利のため、きんにくんは塁に出た。ちゃんと戦っていた。明日もあるよ。また明日。

R2.9.21 mon.
D 9-3 S
ナゴヤドーム

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