神宮にいること
夏の神宮は、こんな感じだったか。
覚えているようで思い出せなかった。
春からずっと居続け、いつの間にか汗をかきながら声を出し、気づけばまた、肌寒い。
その段階を経ずに、今日を迎えたからだ、きっと。
泣きそうだ。いや、少し泣いている。
つば九郎さんが、おかえりなさいと言ってくれた。
思えばいつでも神宮はそこにいて、いつでも私を受け入れてくれた。
急に、高校生の私がひとりで見た神宮の風景が浮かぶ。
年齢が倍も違う、年下の友の失恋を知ったからだ、きっと。
やだな、もう。ただでさえ、切ないのに。
プレイボール!