やっぱりあきおはキャッチャーで ○S×C●3回戦
浦添キャンプで、あきおはぐっちとファーストにいた。前日の投内連係ではマスクもかぶっていたが、捕手の居残り練習にはいなかった。
2017年の契約更改で「準備不足」「(ポジションは)出られるならどこでも」という西田明央の後悔を聞いているヤクルトファンは、「あきおがそこまで言うのなら」と、代打やファーストのあきおを後押ししてきた。
キャンプ中の野手会動画でも「バッティングを頑張っている」と言っていた。バッティングで試合に出る。まずは試合に出ること。試合に出たい。
あきおの夢は、私の夢。あきおが野球でしたいことがすべて。だから私は、ファーストのあきおに「頑張れ」を送り続けてきた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
浦添キャンプの投内連係。キャッチャーは嶋基宏、松本直樹、古賀優大の3人だ。様々なシチュエーションで連係動作を確認する。今度は古賀の番だ。ピッチャーは同級生の寺島成輝。古賀が寺島に声を掛ける。
「なるき!1アウト1・2塁。ゲッツー!」
内野から声が出る。「1アウト1・2塁!」
1プレーが終わったとき、ファーストから声が掛かる。
「ゆうだい、自信持っていいよ」
あきおの声が浦添球場に響く。今のプレーのどこが“自信がなかった”のか、素人の私には分からない。ただ、古賀くんの守備に先輩のあきおがアドバイスしていた。捕手組の、普通の光景だ。普通の光景でないのは、プロテクターもレガースもマスクもつけていない、あきおだけだった。
その後も「ゆうだい、今のは捨てていい球」「今のでいいよ」と声を掛け続ける。
扇の要が90度、左回転したようだった。
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去年、神宮のファーストにいた村上宗隆が、19歳という若さに臆することなく、マウンドのお兄さんピッチャーへ積極的に声を掛けに行く姿が話題になった。
「さすが、元キャッチャー」
そんな印象で、ファンは見つめていた。
やはりキャッチャーというものは、声を出し、仲間を鼓舞し、チームをまとめたいものなのだ。そう思わずにはいられなかった。
扇の要が、扇の要の位置にいないこと。私はやはり、さみしかったのだと思う。
あきおがキャッチャーとして出場していれば安心し、オフには、藤井亮太のように内野手登録されるのではないかと、毎年ひやひやしていた。
3回裏、代打で出てきた西田は、4回からマスクをかぶる。今日は代打要員では終わらなかった。
キャッチャー・西田は、星知弥の大きく逸れた変化球に、大きな体を振り切って右に跳び、後逸を防ぐ。プロ野球選手の反射神経に、思わず声が出る。
フジテレビoneの解説は、キャッチャー・達川光男。配球の分析、助言も多い。
「スライダー、チェンジアップ、チェンジアップ、スライダー。面白い配球をしますね」
「キャッチングもだんだん思い出してきましたね」
「星のフォークもよく止めてますよ」
「よー考えてます」
西浦直亨の連日連打のホームラン、村上宗隆のサヨナラ満塁ホームランに話題をかっさらわれた今日も、あきおの退場時のワンショットに向け、こう労った。
「この西田もよー頑張りました。途中から出てね、相当しんどいと思いますよ」
帰宅したのは4回裏。ちょうど村上宗隆のタイムリーから視聴できた。私は、その前のあきおのホームランを見ていない。先にダイジェストで見てしまったが、今から録画でリチェックだ。あきおのホームランと、あきおのキャッチャー姿と。
あきおが野球をできるなら、どこに居たっていいけれど、
やっぱりあきおは、キャッチャーが、いい。すわほ。
R2.7.2 thr.
S 9x-5 C
明治神宮野球場