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美容院で思う、雄平という少年のこと

最近の美容院は、雑誌を置いていない。
「iPad、どうですか?」
そうして雑誌の“画面”を渡される。感染症対策の一環としてだろうか。その前から、私が通う美容院は、dマガジンだったような気もするが、コロナ前を思い出せない。

女性誌など、どうしても欲しいリサ・ラーソンの付録狙い以外では買わなくなった。どうせ、入るサイズの服などない。ギラギラと情報収集に明け暮れたのは、遠い昔の話だ。
美容院に行ったときくらいしか目にすることのなかったファッション雑誌も、結局スワイプ。

そして目がとまるのは、「ベースボール」の文字だった。

週刊ベースボール 2021年1/4・11合併号
野球浪漫2020『ヤクルト・雄平 36歳の野球少年』

書いたのは、スポーツライター・菊田康彦。いつも優しく、ヤクルトの選手を見守る菊田先生と、もしお話しできるときがあれば、きっと意気投合する自信がある。笑

雄平は「#雄平かわいい」で知る他球団ファンも多いと思う。
ヒットで出塁したときの雄平の笑顔は、無邪気そのもの。つい見ているこちらも笑顔になる。

2020シーズン、ファーム暮らしが長くなってしまった雄平。一度は一軍に上がったものの、9月14日に登録抹消されてから、シーズン終了まで一軍に戻ってくることはなかった。
鎌ヶ谷スタジアムや戸田球場で見る雄平は、それでも変わらず野球をしていた。凡打でも、一塁まで全力疾走なのも変わらない。
ベテランとなっても全力で野球をする姿を見て、若手選手たちは学ぶことが多いのではないだろうか。
オフの自主トレでは、昨季から「チーム雄平」が結成され、松本直樹、大村孟、太田賢吾、渡辺大樹、松本友が雄平の元に集まった。
東北高校から入ってきたあの高井が、後輩たちから慕われるベテランになっている。これもヤクルトの歴史で、私はその歴史の目撃者だ。

雄平は、バッティングが大好きだ。
朝から晩までバッティング練習をして「雄平、まだやってるんか!」と石井琢朗コーチを驚かせ、時間いっぱいまでティーバッティングをしようとして「大人になりなさい」と宮出隆自コーチにたしなめられる。とにかく、練習して、自分ができることを見つけるのが雄平なのだ。

記事でも、バッティングの話が大半を占める。戸田では、かつての同僚だった大松尚逸コーチ、畠山和洋コーチと徹底的にバッティングを見直した。
ファーム暮らしもプラスに捉え、探究心を持って野球に取り組む。
無邪気な笑顔は、野球が好きで続けていることの裏返しなのだ。

野球が大好きな36歳の野球少年、雄平。ヤクルトファンとして、雄平が全力で野球をし続けられるために、私は全力で雄平を応燕する。
そして、めざせ山本昌越え。私は雄平に、50歳まで野球をし続けてほしい。

永遠の野球少年であれ、雄平。

なんてことを、髪染めしながらじんと感じ入る年の瀬だった。

雄平のいない神宮は、つまんなかったぞ。

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▲プロ野球ai 2020年7月号 57ページ(掲載してもらいました)

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