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盗塁!?首位!?たかなっしー!! ●G×S○5回戦

ウチのピッチャーは、打つのだ。

東京ヤクルトスワローズのピッチャーが打って塁に出ているシーンは、結構見るのだ。石川雅規は三塁にスライディングし、ライアン小川はタイムリーを打つ。ファンはそれを「自援護」と呼び、それはそれで楽しむ。

春先の神宮は寒い。塁に出たピッチャーにだけ、ジャケット着用が許される。ネックウォーマーさえ禁止のヤクルトにおいて、その光景は神宮の風物詩となっている。そして、ジャケット姿でリードを取るピッチャーは、かわいい。だからつい、塁に出てほしいと思ってしまう。

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高梨裕稔。千葉県立土気高校では「4番・ピッチャー・高梨」だった。
大抵のプロ野球選手はそうだろう。ピッチャー出身の4番打者。「こどものころからエースで4番」という、アレだ。

それがプロで通用するほど世の中甘くないことくらい、こんな素人でも分かる。ピッチャーか、バッターか。バッターはイコール野手で、ピッチャーは、ピッチャーだ。
高梨がかつていたパ・リーグは、それでよかった。でも、セ・リーグは違う。普通にバッターボックスに立って、普通にバッターの仕事をしなければならない。

今日の高梨は、レフト前ヒットを打った。そして、坂口智隆への初球、

盗塁した!

盗塁!?ベンチの指示か?まだ交代まで間があるから走ってもいいよ、ということか?たしかにウチのピッチャーは打つけども、盗塁まで期待はしてなかった!
結果は、アウト。3アウトチェンジで攻守交代。そのあと急いでベンチに戻り、マウンドに向かった。

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かつて、右の脛と尻が土で汚れた2回裏のピッチャーを見たことはあっただろうか。高梨はその後も、投げ続けた。

今日の決勝打は5回、村上宗隆のタイムリー。そのホームを踏んだのは、高梨裕稔だった。高梨のライト前ヒットから始まった攻撃が、追加点につながったのだった。
その前の4回に、2-2の同点に追いつかれていた。まさにジエンゴだ。高梨は、投球だけでなく、打球にも一球入魂だった。

心配なのは、怪我だけだ。スライディングで指でも傷つけたら、もう投げられない。盗塁のスライディングはもちろん、ホームインだって交錯の危険性は高いのだ。
塁に出たあとすぐに投げなければならないとなれば、体力も神経も消耗するだろう。たった3球投げただけで、大粒の汗が顔から滴り落ちる、ピッチャーというポジション。打席がどれほどの負担か、想像するだけでぞっとする。
しかしそれを今日、高梨はやってのけた。投打に活躍したエースは、盗塁までチャレンジし、今季初の首位奪取を成し遂げ、勝利投手になった。

今季初勝利おめでとう!そして、全力野球を、ありがとう。

ただね、体は大切に。たかなっしーの代わりをできる人は、誰もいないから。野手はもちろん、ピッチャー陣だって。

R2.7.12 sun.
G 2-3 S
ほっともっとフィールド神戸

首位すわほー高梨すわほー!

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