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補強人・田村強の見た風景 ~第92回都市対抗野球大会

JR西日本硬式野球部は今季、都市対抗野球大会の中国地区予選で、伯和ビクトリーズ(東広島市・第一代表)、三菱自動車倉敷オーシャンズ(倉敷市・第二代表)に敗れ、本戦への切符を手に入れることができなかった。

都市対抗野球には、「補強選手」という制度がある。都市対抗野球大会予選に出場した同地区のチームから、最大3名までを本大会に補強選手として呼ぶことができるというものだ。

JR西日本からは、佃勇典投手が伯和ビクトリーズへ、田村強内野手が三菱自動車倉敷オーシャンズへそれぞれ補強選手として招聘され、本大会に出場することとなった。

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12月1日。師走の始まり。田村強は東京ドームにいた。
補強選手として指名された者は、それを拒否することができない。だが、拒否する理由もないだろう。
社会人野球最高峰の全国大会だ。いつもとは違うユニフォームでも、最高の舞台を踏むという経験は、何物にも代えがたい。

田村は、補強という名にふさわしく、4番ファーストでのスタメン出場だった。
2回、内野安打で出塁すると、6番渕上大地がレフトへタイムリーヒットを放つ。先制のホームを踏んだのは、田村だった。

補強選手として都市対抗に出場したことのある野球選手が言っていた言葉を思い出す。

ひとり、補強選手が試合に出るということは、ひとり、元のチームで出られなくなる人がいるということ。だから、絶対に結果を出さなければいけない。

田村も、そんな思いを抱え、今ここにいるのだろうか。
仲間の笑顔に迎え入れられる田村を見て、田村がこのチームの一員になっていることを確認できたような気がして、少しホッとした。

残念ながら、三菱自動車倉敷オーシャンズは三菱重工Westに敗れ、今年の都市対抗野球は今日で終わってしまった。
田村も、広島に戻る。今日は、4打数1安打1死球という結果だった。補強人としての責務はどの程度全うできたのか。野球の評価方法を、私は知らない。

JR西日本硬式野球部は、17年の出場を最後に都市対抗野球出場から遠ざかっている。
今日見た景色を、田村強はチームに持ち帰る。それが、チームの未来につながる。

来年も、東京ドームで会いましょう。今度は、いつも着ているユニフォームでね。

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