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横尾俊建はこれからも握り続ける

驚いた。電撃トレードだった。

北海道日本ハムファイターズ・横尾俊建と、東北楽天ゴールデンイーグルス・池田隆英のトレード。開幕まで1か月を切ったタイミングだった。

横尾俊建を知ったのは、ファイターズファンになった2018年だった。
日大三高出身。なんと、2011年夏の甲子園優勝メンバーだった。慶應義塾大では、六大学優勝を果たしている。高・大と侍ジャパンのユニフォームに袖を通し、国際大会の経験も積んだ。2015年、ドラフト6位でファイターズへ入団した。あの、「真中満フェイクガッツポーズ事件」でちなヤクとすれ違った阪神・高山俊は、日大三高の同級生だ。

ファイターズを知って驚いたことは、とにかく選手が若いこと!30代の選手がレギュラーを張っているヤクルトとの違いに、焦りを感じるほどだった。
そして、とにかく背が高い!ヤクルトでは超絶ノッポさんだった189cmの杉浦稔大が、移籍先には何人もいるのだ。

そんな中、横尾は175cmと、それほど身長のある選手ではなかった。体重は、90kg超。「ファイターズっぽくないな」。まずはそんな印象だった。

だが、そのバッティングフォームに、目はくぎ付けとなり、一気に魅了された。ダイナミックな大振りだが、ボールにきっちり合わせにいくバットコントロールに、私は森友哉と同じようなミートのセンスを感じたのだ。

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指導者の白井一幸は、コーチ在任中のインタビューで、横尾のバッティングを「すべての理にかなっている」と、そう表現していた。なんとワクワクさせてくれる選手なんだろう。

横尾自身も、打てないことに悩み、試行錯誤した時期もあったようだ。しかし、ある日のホームランをきっかけに「やはり自分はこれでいいんだ」と、自分のバッティングスタイルをそのまま貫く決意をし、自信を持って取り組んでいるようだった。

横尾のあだ名は、「おにぎり君」。名付け親の白井一幸が、3塁コーチャーとしてホームランを放った横尾を迎えるときに握る「おにぎりポーズ」は、すぐにファンに浸透した。
しかし、本人はあまり気に入っていないようだった。東京出身の慶應ボーイにとって、おにぎりのイメージはきっと不本意だったのだろう。自らおにぎりを握り3塁を回るようになったのは、しばらく経った後だった。今ではグッズも発売されている。私も、タオルとTシャツを買った。

チームづくりのことは分からない。球団同士の合意ということならば、ファイターズは投を、楽天は打を、それぞれ強化しなければならないチーム状況なのだろう。素人には、分からない。

電撃トレードだった。しかし思えば、「予告トレード」なんて、ない。電撃なのが、トレードだ。本人もファンも、いきなりきた衝撃に驚き、傷つく。コロナ禍で札幌ドームに足を運ぶことなく終わった昨季。今年こそ、その勇姿を北海道まで見に行く予定だったのに、あのアシンメトリーのファイターズユニの横尾を見ることは叶わなくなった。新しいユニフォーム姿に慣れる日が、いつかは来るのだろうか。

横尾選手コメント
「ファイターズでの5年間、貴重な経験を積ませてもらいました。満員の札幌ドームでホームランを打ったときの大きな声援はとても印象に残っています。ファイターズファンの皆さんには今まで温かい声援を送ってもらい、本当に感謝しています。新天地でも皆さんに自分らしいプレーを見せられるように頑張ります」

清々しく、飛び立つこと。野球選手に求められる潔い姿勢に、頭が下がる。
横尾の「自分らしいプレー」は、やはりあのダイナミックなバッティング。
ユニフォームの色が変わっても、おにぎりを握り続けてほしい。

キャラ変しても、いいけどさ。今年の交流戦。楽天戦は、神宮か。

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