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エスキー!ナイス!

アルシデス・エスコバー。ベネズエラ出身。「オトコハ ダマッテ ナゲルダケ」のDeNA・エスコバーの従兄。他にも従兄弟勢は皆、野球選手。青木宣親とはカンザスシティ・ロイヤルズで同僚。MLB選抜とベネズエラ代表とで来日経験あり。その時の登録名は「アルシーデス・エスコバル」。
内野手。
メジャーリーグでゴールドグラブ賞を受賞している守備の名手に声をかけ、来てくれることになった。ショート不在と言われた2019年のヤクルトにやってくるとなれば、若手はうかうかしていられない。
バレンティンの穴を埋めるのとは違う獲得だった。COCOのようなパワーヒッターではなく、俊足を生かして塁に出る単打狙いのバッター。ヤクルトが、いや、ヤクルトファンが好きそうなタイプだ。9回のヤクルト復活が目に浮かぶ。
あだ名は「エスキー」に決まったらしい。どんな人だろう。でも、一族総出の野球選手なら、きっと楽しい野球を魅せてくれるのだろう。

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ああ、いた。エスキー発見。キャンプ見学2日目、2月8日の浦添だ。

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足が長い!185cm、88kgの体がさらに大きく見える。これだけ足が長いと、腰を落としてゴロを取るなんて無理なんじゃないか?落としたところで、多分腰は高いままだ。こんなに大きくて、内野守備ができるものなのか?足が足手まといにならないかと、余計な心配をしながらエスキーを見ていた。

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ノックから、投内連携へ。腰はやはり高い。でも俊敏だ。送球も安定している。ハラハラしない守備とは、こういうものなのだろう。普通に見てしまっている、そんな守備だった。

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バッターボックスでも、足が長い足が長い、そのことばかりに気を取られているうちに、気づけばエスキーは2塁ベースにいた。

2020プロ野球開幕まであと2日エスキー11

1塁守備の坂口が「エスキー!」と声をかける。「ナイス!」その声に続いて、グラウンドの選手たちから一斉に「エスキー!」という声がかかる。エスキーはその声に、ガッツポーズで応えた。

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ぐっちはいつでもぐっちだな。日本にやって来たチームメイトと、もうこうしてチームを作っている。チームメイトだった青木もいる。通訳の久野くんもいる。久野くんはスペイン語も話せるトリリンガルだ。そして我々ヤクルトファン。エスキーの全力応燕は、もう始まっている。

だから日本がエスキーにとって、心置きなく野球をできる国であってほしいと、そう思った。

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おうち時間。野球のない毎日は、野球選手のインスタライブでその穴を埋めていた。

エスキーも、インスタグラムのアカウントを持っている。そのインスタライブは、バスタブにつかりながら酒瓶をラッパ飲み、大音量の音楽とともにご陽気に歌う姿を延々と流すという、なんとも画期的なものだった。
ある日のインスタライブ。夜9時ごろから始まった風呂スタライブの最中、上田剛史のインスタライブ通知を受けた。そのまま移動し、見る。そのまた最中に今度は、村上宗隆のインスタライブが始まった。
「コラボしたら?」そんなコメントもちらほらあがる中、インスタライブの渋滞を楽しんだ。
さあ、もういい時間だ。そろそろ寝ようかな。ん?

ま だ や っ て る !

エスキーは、4時間前と変わらぬテンションで、風呂につかりながら、爆音の中、歌っていた。ふやけるだろ。いや、上がったり入ったりしていたのか?もしやこれはVTRなのか?リモート会議の背景で、たまに頷く自分の動画をリピート再生しておく、あれか?
そもそもこの音楽ってなんだ?サルサ。サルサかな!合ってるかな?

サルサで、合っているようだ。

ベネズエラのことを調べたのは、私の人生において初めてのことだ。エスキーのおかげで、私はこんな歳になっても新たなことにチャレンジできている。

エスキー!ナイス!

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