感動的な試合

感動的な試合というものは存在する。私はいつも何かしら感動しているが、そんな中でも、じんとくる試合が不意にやって来る。

今日の試合が、そんな試合だった。

理由ははっきりしている。今日のバッテリーだ。

ピッチャー・金久保優斗は4年目、キャッチャー・古賀優大は5年目の、若いバッテリーだった。
勝ちが続いたヤクルトは、2番にキャッチャー・中村悠平を据え、打線が当たっていた。
讀賣に2連敗した後の、横浜3連戦。連敗の痛手を引きずらず、勝ちに行かなければならない大切な初戦で、中村ではなく、古賀を出してきた。

金久保とは、古賀が組む流れになっている。私は、あるキャッチャーの証言を聞いてから、相性というより、采配の意図を感じている。

若いバッテリーを育てるため。勝ち続けなければならない状況で、それでも、育成の場を実践の場に置く。そこまでして、この二人をスワローズを担うバッテリーに育てたい。そんな、高津臣吾の意思を感じるのだ。

古賀は、打撃の結果が出ていなかった。バッティングの課題に取り組みながら、春季キャンプではレジェンド・古田敦也臨時コーチの直接指導を受け、キャッチャーとしての技術も磨かなければならなかった。
どのキャッチャーもしていることかも知れない。だが、その過酷さに、古賀への心配は尽きなかった。古賀の苦悩に寄り添いたいと、いつも思っている。

金久保は、6回無失点。入団直後のトミー・ジョン手術から、球団はずっと見守ってきた。
昨季、神宮で初登板の金久保を、夢のような、奇跡のような、ほっとしながら胸騒ぎを抑える、不思議な感情で見守った。
4年目の今年、プロ初勝利をあげた金久保。しかし、前回の登板は、5回2/3で降板し、試合は勝ったものの、自身に勝ちはつかなかった。
ヒーローインタビューでは、今後の課題として「7回8回まで投げたい」「完投できるようになりたい」と口にした。

これからの二人。若い二人が工夫して、相手打線をゼロ封した。

どこにでもある「とある勝った日」かも知れない。しかし間違いなく、感動的な試合だった。

R3.4.30 fri.
DB 0-4 S
横浜スタジアム

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