「今年はこのメンバーで」という決意の日 ○DB×S●14回戦
四国アイランドリーグから、ピッチャーがやってくる。
ヤクルトファンにとって「香川オリーブガイナーズ」といえば、三輪正義だ。独立リーグからやってきた足の速い選手は、今、ツイッターとつばみちゃん担当として、忙しく神宮で広報活動をしている。
私は、歳内という選手を知らなかった。けがで苦しんだピッチャーらしい。しかし、香川で復活を果たし、SNS上では「歳内無双」と騒ぎになった。投壊ヤクルトを救ってもらうべく球団が声をかけ、目標のNPB復帰を達成することができた。
投壊ヤクルトの立て直しは、オフから力を入れていた。
まずはドラフト。高津臣吾は運命の日前日、「僕のわがままを聞いてもらいました」と発言した。蓋を開けてみれば、6人中4人がピッチャー。うち3人は大卒の即戦力。そして自らの手で手繰り寄せたヤクルトの未来が、スーパー高校生・奥川恭伸だ。
即戦力の移籍は、今野龍太(楽天)と長谷川宙輝(ソフトバンク)。外国人選手はクックとイノーア。ドラフト指名が育成なしの少数精鋭だった理由は、積極的なピッチャーの獲得にあった。
高津臣吾の思い描く投手王国のために、たくさんの人が動いた。すべては優勝するために。2020年リスタートは、こうして始まった。
そして、今。5連敗。最下位。ずっと70人枠を守ってきたヤクルトが、ついに立ち行かなくなった投手陣営に迎えたのが、歳内だ。
私が好きな光景に、明治神宮野球場で撮影される全体写真がある。シーズン前、明治神宮参拝の後に撮影される写真だ。
(東京ヤクルトスワローズ公式ホームページ・選手紹介トップより)
引退、FA、契約満了、戦力外。オフにはこの中の誰かは退団する。今目の前でプレーしている選手のうち誰かはいなくなる。
だから今年は、このメンバーで。この写真を見た日は、このメンバーで戦うことを誓う、決意の日でもあるのだ。
今年は、その決意の日がもう一日増えた。今日もまけほ。ピッチャーがいないと揶揄される球団に、ピッチャーがやってくる。ともに闘おう。歳内も加わった、71人で。
R2.8.29 sat.
DB 9-3 S
明治神宮野球場